島崎社長は「熟成を文化として考える」と表現した。
日本酒には、「ひやおろし」と言って、冬出来た新酒を、ひと夏おいて秋に売るという、「寝かせる」という文化があったんです。我々は、「きれいな甘さ」を目指してきました。こってりではなく、さっぱりでもない。スッキリしているのにコクがある。飲みやすいけど旨味は残る。
それに、熟成の経験と技術が加わり、文化として華を咲かせた。それが「大吟醸古酒」だと確信しています。
塩味の強い料理が好れた土地柄、料理に合う日本酒、甘い酒を得意としていた島崎酒造。島崎社長がこだわったのは、きれいな甘さだった。ほんの少しでも感じる嫌な味を取り除いて取り除いて突き詰めてきた甘さ。磨きに磨かれたダイヤモンドの輝きのような甘さの大吟醸酒だ。そして熟際させることにより旨味に深みが増していく。
5年目まではまだみずみずしいフレッシュな若い味。5年を過ぎるとだんだん角が取れ、円熟の味に変わり、10年を経て芳醇な味になっていくんです。 そこまでは丸くふくよかな味なんですが、15年を過ぎるとガラッと変わる。骨太というかがっちりした味になる。いぶし銀の味、これが熟成なんです。
島崎社長は、自信と誇りに満ちた表情で、10年熟成の大吟醸をグラスに注いだ。 芳醇な香りと共に、「大吟醸酒」がキラキラと煌いた。
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