近年目立つようになったと思う新しい「商品」があります。
「あなたが主役の物語を作ります」というようなサービスで、いわば結婚式のプロフィールムービーのようなもの。
これを、結婚式ではなく、誰でも個人で作ってもらおうというのです。
定年退職や還暦など節目となるタイミングで制作を依頼する人が多いようですが、主役となる本人が自分自身のために、あるいは自分の歴史を家族や友人に知ってもらうため、あるいは、家族が記念としてプレゼントするということもあるのだとか。
インタビューや写真などで構成された「ドキュメンタリー映像」のほか「小説」や「パラパラ漫画ムービー」など、仕上がりの形態は色々あって、いずれも主役となる人やその家族にしっかりとした取材をした上で作られます。

例えば、銀婚式の記念にプレゼントしたというケース。
ビデオの形式が古くご両親の結婚式の映像ももううまく観ることができないというご家庭で、お子様たちからご両親に贈られたのは、ドキュメンタリー映像。インタビューを含めた数時間のロケ撮影と、結婚式の前後からお子様たちの成長のわかる家族写真などで構成された10分か15分程度のムービーに仕上げられました。
ご両親が互いに感謝を伝え合ったり、これからそれぞれ独立してだんだん集まる時間が減ってしまうかもしれないお子様たちにとっても記念となる貴重な機会となったようです。

ほかにも、お父さんがお仕事を定年退職する日にフォトグラファーが密着して、アルバムを作ったケースがありました。
新卒から定年まで勤められた職場への最後の出勤の日。お母さんもお子様たちも、職場でのお父さんの顔は見たことがありませんでした。人望があり、周囲の理解のおかげで密着が快諾され、制服姿も、花束を受け取って帰る姿も、帰宅して家族に迎えられるまでの1日がすべて写真に残りました。映像ではありませんが、いつか覗いてみたかったお父さんの職場での後ろ姿を目撃できたような、そんな素敵なアルバムでした。結婚式の撮影をしたことがきっかけで、お子様たちがプレゼントで撮影することを提案したのだそうです。

家族のことは、知っているようで知らないことが意外とあるものなのかもしれません。親子間では照れくささもあって、聞けないこともありますが、お父さんやお母さん、おじいちゃんやおばあちゃんにも、迷ったり悩んだりしたことがきっとあったはずですし、そのときにどんなことを考え、どんなふうに乗り越えたのか、この道を選んでよかったと本人から聞いてみたいというようなこともありますよね。
写真がなくても、あるいは、ニガテでも、小説やパラパラ漫画など、カメラの前に立たなくても素敵に再現してくれるものもありますし、第三者に話すことによって、思い出すことや、残せることがあるのだと思います。
銀婚式や金婚式のプレゼントにも、おすすめです。