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Wine Columnワイン コラム

  • 伴良美のオススメ!

期間限定販売 世界を席巻する日本シラーの実力
シャトー・メルシャン 椀子シラー2018

ラベルが語るワイン物語

CDやDVDにジャケ買い、という言葉があるように、ワインもラベルが奇麗なものや、興味深いデザインのものには、つい手がのびてしまいます。実際にワインのラベルは、ワインの歴史やエピソードを伝えるものが多く、そこにはさまざまな情報や物語が隠れています。ラベルのささやきを聞きながらワインを飲めば、いっそう美味しく楽しく感じられることでしょう。

情熱ある生産者の多彩な日本ワインが揃う「NIPPON no SAKE」コーナー

写真:リニューアルされた「NIPPON no SAKE」コーナー。日本の気候風土に根ざした個性豊かなSAKEを幅広く紹介。
渋谷 東急フードショーの和洋酒売り場は7月にリニューアルされ、美術館のような広々とした美しいスペースになりました。中でも売り場を広げて注力するのは「NIPPON no SAKE」コーナー。従来の、日本酒、日本ワイン、焼酎、のカテゴリーにとらわれず、日本ならではの気候風土に根ざし、卓越した技術と繊細な感性を表現した「SAKE」をご紹介しています。

その中でも今回はシャトー・メルシャンが、世界に誇る「椀子(まりこ)ヴィンヤード」から生まれた「椀子シラー2018」をご紹介。上品なスパイス感と瑞々しく凝縮した果実感がみごとに融合。「日本のシラーもここまできたのか!」と驚くほどの気品と深みを感じさせます。稀少な椀子シラーは生産本数わずか2000本。首都圏のみの販売となり、東急フードショーでも期間限定でご用意しております(5,500円税込)。みなさま、ぜひこの機会にお買い求めください。

椀子皇子の領地が由来のヴィンヤード。強風の丘で鍛えられた病害に強い葡萄樹

写真:丸子地区の小高い丘に広がる椀子ヴィンヤード。6世紀は皇子の領地、1990年代までは元桑畑の遊休荒廃地だったが、調査の結果、葡萄栽培に最適であると判明。2003年に開墾された。
葡萄の実が描かれた和紙のラベルには、金と毛筆で「Chateau Mercian椀子シラー」の文が。このワインは、日本最古のワイン造りの歴史をもつシャトー・メルシャンが、長野県上田市丸子町の椀子ヴィンヤードの、シラー葡萄100%で造り上げたワインです。「椀子」の名は、6世紀後半に欽明天皇の皇子である「椀子皇子」の領地であったことから命名されたもの。丸子町の古代名も椀子であったと伝えられています。

椀子ヴィンヤードは、風通しがとてもよい標高650mの丘陵地に位置し、東京ドーム6個分もの広さの29㏊を有しています。メルロ、シラー、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、カベルネ・ソーヴィニヨンなど8種類の素晴らしい国際品種を栽培。中でも2003年に植樹されたシラーは樹齢が高くなるにつれて豊かな個性が現われ、椀子では非常に注目すべき品種となりました。

豊富なロタンドンがもたらすシラーに大注目。気品あるスパイスの芳香と豊かな果実感が魅力

写真:欧州式の垣根仕立で栽培する椀子シラー。果皮が厚くロタンドンが世界的にも豊富。
シラーは、元来フランスのローヌ地方が銘醸地とされ、現在はオーストラリア、カリフォルニア、チリなど世界中で栽培されますが、日本での栽培は未知数でした。しかし、椀子ヴィンヤードは標高が高く陽当たりが良い一方で、夏は涼風が吹き抜ける冷涼な気候であること。シラーの樹齢が高まり、年々質の高い葡萄が生まれていること。さらに、“強粘土質”の特殊な土壌によって、秀逸なシラーに必須の「ロタンドン」というスパイシーな含有成分が世界的にも非常に高いこと。など傑出したシラーのワインを生まれる条件がそろっていることで近年注目を集めています。

さらに今回推奨する「椀子シラー2018」は特に気候に恵まれた良年のワイン。気品あるスパイス感と果実味がみごとに融合し、絹のように滑らかなタンニンが特徴です。一本の木から特に良い房を12房のみ残すように剪定。実が多くつきすぎないようにあえて収量をおさえることで、凝縮した果実味を備え、厚くなった果皮からは質の高いタンニンが生まれ、類まれなシラーワインが出来上がりました。

2020年ワールド・ベスト・ヴィンヤード・トップ30位に輝く

写真 上:畑のピクニック、醸造所見学、試飲など、洗練された大人のワインツーリズムが楽しめる椀子ワイナリー(現在はコロナによりズーム見学のみ)
写真 下:椀子ヴィンヤードのワインは伊勢志摩サミットで提供され、国際ワインチャレンジでは金賞を受賞。畑を一望できるテラス席でワインを楽しめる。

もちろん葡萄はすべて手摘みで収穫・選果されます。さらに2019年には葡萄畑を四方に見渡せる丘に、「椀子ワイナリー」を新設。ここは最新型の醸造施設を備え、すべての葡萄果汁を優しく扱うために、果汁をポンプではなく重力で移動させる最新式のグラヴィティフローの技術を採用。特にこの椀子シラー2018は新ワイナリーで醸造されており、よりフレッシュで優雅さが魅力のワインとなりました。

さらに椀子ワイナリーは昨年、世界で最も優れる「ワールド・ベスト・ヴィンヤード・トップ50」の30位に選ばれました。これは日本のワイナリーでは初の入賞。世界500人以上のソムリエ・ワイン専門家が1500以上のワイナリーの中から「ワイン、畑、レストラン、料理、景観、ガイドツアー」の内容を基準に、一人7つのヴィンヤードを選んで50ワイナリーを厳選するもの。ちなみにベスト50位内にはシャトー・マルゴー(22位)、シャトー・イケム(31位)ロバート・モンダヴィ(5位)もランクイン。椀子ワイナリーも非常に質の高いワインと洗練されたワインツーリズムが高く評価されました。現在はコロナ禍のため、オンラインで体験するバーチャル・ヴィンヤード・ツアーを期間限定で行っています。椀子シラーを飲みながら楽しんでみるのもいいですね。
<写真協力:シャトー・メルシャン>

渋谷 東急フードショーのおすすめ

シャトー・メルシャン 椀子シラー 2018
(750ml) 5,500円

産地:長野県上田市丸子地区陣馬台地
葡萄:シラー100% 椀子ヴィンヤード
タイプ:赤・フルボディ・凝縮した豊かな果実感と心地よい酸味

1949年(昭和24年)創業で日本ワインの原点ともいえる「メルシャン」。その名前はフランス語の「Merci(メルシー)=感謝する+an(アン)=人」に由来しています。「良いワインとは、その土地の気候・風土・生産者によって育まれる葡萄を、素直に表現したもの」という信念のもと、シャトー・メルシャンでは日本のワインでしか表現できない個性を育み、上品で調和のとれたワインを生み出してきました。
この「椀子シラー」も上田市丸子地区陣馬台地の自社管理畑の椀子ヴィンヤードのシラー100%を使用。ブルーベリーやカシスなどの黒い果実や上品なホワイトペッパーを思わせるスパイシーな芳香が感じられ、心地よい酸味と果実感が調和します。程よい酸を感じた後、豊かなタンニンと果実のニュアンスが美しく長い余韻を与えています。

著者近影

伴 良美(ばん・よしみ)

ライター&ワインエキスパート。映画、食、旅を中心に執筆。ワインと食の情報誌「ヴィノテーク」、北海道新聞、岐阜新聞などの取材記者としても活躍。世界の銘醸地や映画の舞台を訪ねた連載コラムに、フジサンケイビジネスアイ「世界銘酒紀行」「名画の舞台」のほか「男と女 名画とお酒」「シネマの名言」などがある。