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Wine Columnワイン コラム

  • 伴良美のオススメ!

クラウドライン ピノ・ノワール オレゴン ウィラメットヴァレー2019

ラベルが語るワイン物語

CDやDVDにジャケ買い、という言葉があるように、ワインもラベルが奇麗なものや、興味深いデザインのものには、つい手がのびてしまいます。実際にワインのラベルは、ワインの歴史やエピソードを伝えるものが多く、そこにはさまざまな情報や物語が隠れています。ラベルのささやきを聞きながらワインを飲めば、いっそう美味しく楽しく感じられることでしょう。

第2のブルゴーニュとも称され、ピノ・ノワールの世界的銘醸地としても有名なアメリカのオレゴン。今回はオレゴンのパイオニアともいわれる、メゾン・ドルーアンのコストパフォーマンスに優れたピノ・ノワールの赤ワインをご紹介しましょう。ベリーの風味広がる瑞々しい味わいは、残暑の厳しいこの時期にふさわしいワインです。

雲海に覆われた渓谷で生まれるワイン

写真:オレゴン州ウィエラメットヴァレーの風景。朝の雲海が晴れると葡萄畑が現れる
ワインの名前は「クラウドライン ピノ・ノワール オレゴン ウィラメットヴァレー 2019」。葡萄栽培の名産地であるオレゴンの中でも、特に秀逸なピノ・ノワールを生み出すウィラメットヴァレー地域のワイン。ラベルには、生産地の様子を表した風景が描かれています。自然豊かなカスケード山脈が悠然と広がり、手前のウィラメット渓谷には雲海が広がっています。ラベル全体に漂うブルーの色彩が、夏でも涼しい葡萄畑の風景を伝えています。

ラベルに描かれた雲海は、早朝に現れるもの。昼の10時ごろになると雲はさっと晴れ、やがて太陽が燦燦と畑を照らします。そのため真夏でも早朝は涼しく10℃位、昼間は27℃ほど。この昼夜の寒暖の差は、良いワインが生まれるために非常に大切で、フレッシュな酸と豊かな果実味を合わせ持つ、秀逸なワインが出来上がります。

繊細なピノ・ノワールの新天地を求めオレゴンへ

写真:オレゴンの名産ピノ・ノワールの葡萄
このワインの生産者は、実はアメリカ人ではなく、フランスのブルゴーニュでも屈指のメゾン・ドルーアン。当主ロベール・ドルーアンは1970年代前半、豊かな風景が広がるオレゴンがピノ・ノワール栽培に最適な土地であることを直感します。葡萄の果皮が薄く雨や暑さに弱いピノ・ノワール種はどこでも丈夫に育つわけでなく、非常に繊細で気難しい品種でした。

そこでロベール氏は何度も試験栽培を行い、中でも土壌に石灰を多く含みミネラルが豊かで、夏でも冷涼なウィラメットヴァレーが最適地であることを確信したのでした。そして1986年、醸造学科を卒業した娘とともに、ピノ・ノワールを初めて植樹しワイン造りを成功させたのです。

ブルゴーニュのコピーでないワイン 伸びやかで瑞々しい果実感が魅力

写真:ブルゴーニュからオレゴンに新天地を拓いたヴェロニク・ドルーアンさん
父の後を継いだ娘のヴェロニクさんは、「ブルゴーニュのコピーのようなピノ・ノワールワインを造ろうとは思いません。オレゴンらしい伸びやかで瑞々しい果実感、タンニンは柔らかくなめらかな質感のある味わいを目指しています。そして、多くの人々に愛されるためには何よりもコストパフォーマンスの高さも大切です」と語ります。

ヴェロニクさんは、ブルゴーニュが地価の高騰で非常にワインも高価で気軽に手を出せない価格になる中、30ドル以下でどれほど美味しく素晴らしいワインを造れるかを研究しました。ラベルの紙材や瓶をリサイクルし、太陽光発電や水などのエネルギーのリサイクル、広告費の削減もはかりながら、この価格を実現させています。

ピノ・ノワール100%のロゼも販売

写真:ピノ・ノワール100%のロゼも販売されたクラウドラインのワイン
さてこのクライドラインのワインには、同じピノ・ノワールの葡萄品種から造る「ロゼワイン」もあり、8月から東急フードショーでも販売を始めています。そのラベルにはウィラメットヴァレーに昇る朝日が描かれていて、ロゼ色のワインと相まって渓谷を染める茜色の風景が美しいラベルとなっています。

赤、ロゼいずれのワインもお料理との汎用性が高く、どのようなお料理ともよく合います。ロゼはサーモンや生ハムやトマトを使ったアペリティフに。赤は照り焼きやソテーなどの鶏肉料理、ハンバーグステーキ、赤身のお刺身、マルゲリータのピッツァなどと気軽にお楽しみくださいね。

渋谷 東急フードショーのおすすめ

クラウドライン ピノ・ノワール オレゴン ウィラメットヴァレー 2019
(750ml) 3,520円

生産地:アメリカ・オレゴン州・ウィラメットヴァレー
生産者:クラウドライン メゾン・ドルーアン
葡萄品種:ピノ・ノワール100%
タイプ:赤・ミィディアムボディ 瑞々しく美しい果実感

第2のブルゴーニュとも称される、オレゴンのウィラメットヴァレーで生まれたピノ・ノワール100%ワイン。フランス・ブルゴーニュの歴史あるメゾンが1980年代から、拠点を移して精力的にワイン造りを行ってきました。輝きのあるルビー色の色調、ストロベリー、ラズベリーなどの赤いフルーツの香り、柔らかいタンニンとフレッシュで瑞々しい酸を備えています。ミィディアムボディで気品もあり、この価格帯のピノ・ノワールワインとしては非常にコストパフォーマンスに優れた逸品です。

著者近影

伴 良美(ばん・よしみ)

ライター&ワインエキスパート。映画、食、旅を中心に執筆。ワインと食の情報誌「ヴィノテーク」、北海道新聞、岐阜新聞などの取材記者としても活躍。世界の銘醸地や映画の舞台を訪ねた連載コラムに、フジサンケイビジネスアイ「世界銘酒紀行」「名画の舞台」のほか「男と女 名画とお酒」「シネマの名言」などがある。