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Wine Columnワイン コラム

  • 伴良美のオススメ!

オーストラリア初の日本人女性醸造家が造る情熱のワイン
スモールフォレスト アッパーハンター シャルドネ 2016

ラベルが語るワイン物語

CDやDVDにジャケ買い、という言葉があるように、ワインもラベルが奇麗なものや、興味深いデザインのものには、つい手がのびてしまいます。実際にワインのラベルは、ワインの歴史やエピソードを伝えるものが多く、そこにはさまざまな情報や物語が隠れています。ラベルのささやきを聞きながらワインを飲めば、いっそう美味しく楽しく感じられることでしょう。

今月はオーストラリアで日本人女性醸造家が造るプレミアムワインをご紹介しましょう。
シャルドネ100%の白ワインで、秋にふさわしく芳醇でまろやかな味わいが魅力です。

自らの姓と藤の家紋を描いたラベル

写真:オーストラリアで初の日本人醸造家小林敦子さん。
ワインの名前は「スモールフォレスト アッパーハンター シャルドネ」。これはオーストラリアのアッパーハンターヴァレーにて、日本人女性醸造家の小林敦子さんが造ったワイン。スモールフォレストという名前は、彼女の姓を英語名にしたもので、ラベルには家紋でもあるという藤の花のスケッチが素朴に描かれています。

小林さんは東京農大卒業後、日本酒造りの道に進みました。しかし1980年代当時は、日本酒業界では女性が中心になって活躍する場が少なく、彼女はもっと自由闊達に自分を表現できるワイン造りの道に進みます。

日本とフランスのワイナリーで研鑽を積み たどり着いたのがオーストラリア

写真:アッパーハンターヴァレーにはカンガルーが行きかう自然豊かな葡萄畑が広がる
都農ワイナリー、ココファームなどの日本のワイナリーでワイン造りを行った後、フランスで研鑽を積み、やがてオーストラリアのアッパーハンターヴァレーでワイン造りを行うことを決意します。そこはシドニー中心部から北西約250㎞。雨が少なく気候が安定して葡萄栽培に最適、オーストラリア随一のワインの銘醸地でした。

7年間地元のワイナリーで働いた彼女は、2012年念願のワイナリーを設立。初ヴィンテージのワイン造りに向けて、葡萄も実りいよいよ収穫という頃、不幸にも葡萄畑を山火事が襲います。

山火事がきっかけで自然環境に配慮したワイン造りをめざす

写真:2012年に念願のワイナリーを立ち上げた。
山火事の煙害によって葡萄はダメージを受け、小林さんはこの年のワイン造りをあきらめかけます。しかしそれを助けたのがこれまで繋がりがあった葡萄農家でした。地元の葡萄農家が、一番良い区画の葡萄を小林さんに提供。おかげで初めてのワイン造りが達成できたのです。

これを機に小林さんは、より一層農家との連携を深め、地球温暖化を防ぐためにCO2削減に努め、自然環境に配慮したワイン造りに励んでいます。

豪州のコンクールで優勝 限定入荷のシャルドネは気品と華やかさを合わせもつ

写真:シャルドネの他にもシラーズ、カベルネ・ソーヴィニヨンなどの国際品種のワインも生産する。
小林さんのワイン造りは今年で10回目を迎えます。ますます磨きがかかってゆき、このシャルドネの白ワインはオーストラリアのワインコンクールで優勝。非常にふくよかな味わいと深い趣を備えています。ワインの藤の花のラベルのように、日本人らしい緻密さや凛とした気品も合わせもち、限定入荷のワインはこの秋に楽しみたい奥深いワインです。

ホタテなどの魚介類、チキンなどの白身のお肉、キノコやホワイトソースを使ったお料理ともよく合います。樽の香りもほのかに感じられる香しいワインを、この秋ぜひお楽しみください。

渋谷 東急フードショーのおすすめ

スモールフォレスト アッパーハンター シャルドネ2016
(750ml) 3,960円

生産者:スモールフォレスト
生産地:オーストラリア・ニューサウスウェールズ州アッパーハンター地区
葡萄品種:シャルドネ100%
味わい:白・辛口・ふくよかでクリーミィ 酸がやわらか

オーストラリアでは初となる日本人女性醸造家が手掛けるワイン。シャルドネ100%で、リンゴや白桃のようなまろやかな口当たりと美しい酸を備えています。25%使用した樽と香ばしい果実味も魅力。飲みごたえがあり、気品があり華やかで香り高いワインは、料理との汎用性も高く、魚介類はもちろん、鶏肉、揚げ物、ハーブを使ったお料理とも好相性です。

著者近影

伴 良美(ばん・よしみ)

ライター&ワインエキスパート。映画、食、旅を中心に執筆。ワインと食の情報誌「ヴィノテーク」、北海道新聞、岐阜新聞などの取材記者としても活躍。世界の銘醸地や映画の舞台を訪ねた連載コラムに、フジサンケイビジネスアイ「世界銘酒紀行」「名画の舞台」のほか「男と女 名画とお酒」「シネマの名言」などがある。