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渋谷 東急フードショー

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Wine Columnワイン コラム

  • 伴良美のオススメ!

愛する妻の名前を冠し 飛躍を願ったペガサスのラベル
クロ・ペガス ミツコズ ヴィンヤード メルロ 2018

ラベルが語るワイン物語

CDやDVDにジャケ買い、という言葉があるように、ワインもラベルが奇麗なものや、興味深いデザインのものには、つい手がのびてしまいます。実際にワインのラベルは、ワインの歴史やエピソードを伝えるものが多く、そこにはさまざまな情報や物語が隠れています。ラベルのささやきを聞きながらワインを飲めば、いっそう美味しく楽しく感じられることでしょう。

渋谷 東急フードショーではお正月に向けて、アメリカワインのアイテムを増やしお客さまをお待ちしております。今回はその中でも、特に人気の高いカリフォルニアのワインをご紹介しましょう。ミツコさんという日本人妻の名前を冠した葡萄畑から造られた秀逸なワイン。ぜひお正月にお楽しみくださいね。

妻の名前を畑につけて 葡萄がたくさん実ることを願う

写真:妻の名前を冠したミツコズ・ヴィンヤードの畑。
ワインの名前は『クロ・ペガス ミツコズ ヴィンヤード メルロ』。ラベルにはワイナリー名であるクロ・ペガスを象徴するペガサスを力強く描いています。そして「ミツコズ」という名前。これはオーナーのイアン・シュレムさんの妻、ミツコさんの名前を冠した葡萄畑から造られたことに由来し、葡萄が沢山生るように複数形で記されています。
葡萄品種はメルロで、非常に果実味が豊かで芳醇な味わい。タンニンはきめ細やかで香り高い風味を備えています。

ボルドー大学で勉強し 世界を巡って実践を積む

写真:世界中を巡って選びぬいたカリフォルニアのロスカーネロスにワイナリーを設立。
このワインは二人の夫婦の苦労と愛の結晶ともいえるワインです。
1970年代、二人は日本で出会い恋に落ちます。やがて結婚を決意しますがミツコさんのご両親が大反対。悩んだすえ、イアンさんの故郷のヨーロッパに駆け落ちをして結婚。二人は翻訳業で成功しましたが、やがて、ミツコさんの大好きなワインを造る仕事をしてみたい、とボルドー大学に入り醸造の勉強に励みます。

卒業後ふたりは、フランス、オーストラリア、イタリアなど世界中のワイナリーを10年かけて巡って醸造の実践を積み、栽培を学び、やがてたどり着いたのがカリフォルニアのナパヴァレー。そして見つけたのが葡萄栽培に最良と確信した、ロスカーネロスの畑でした。大西洋からの風が爽やかに吹きぬけ、温暖で日当たりもよく石灰粘土質の優れた土壌。イアンさんはその畑に妻ミツコさんの名前をつけて葡萄栽培に打ち込みました。1984年にはその葡萄でワインを醸造するためにクロ・ペガスのワイナリーを設立。天に向かって飛躍していこうとラベルにペガサスの絵を描いたのです。

ホワイトハウスの晩餐会で饗され 世界に知れるワインに

写真:二人が選んだロスカーネロスのワイン産地は、ナパヴァレーの最南端、海に近くサン・パブロ湾からの涼風が吹き抜ける好条件の銘醸地。
毎年毎年丹精込めて葡萄を栽培、丁寧にワイン造りに励んだことでワインの評判は年々高まっていきました。そしてとうとう2006年、小泉元首相がホワイトハウスを訪れた晩さん会にて、ミツコズの畑から生まれたシャルドネのワインが採用。それほど有名なワイナリーに成長したのでした。

クロ・ペガスのワインは、樽で熟成しすぎず、アルコール度も高すぎず、凝縮しすぎることも避けています。それゆえ、十分な果実味がありバランスに優れエレガントな味わいがクロ・ベガスのメルロの魅力です。

多彩なお正月料理にぴったり

写真:和洋中と多彩なおせち料理とも好相性。
最近のおせち料理は和洋中華とそろった多彩なものが多く、必ずしも和食とは限りません。そのため、お正月の様々なお料理とこのワインはよく合います。ローストビーフやパテや生ハムなどの前菜だけでなく、筑前煮や黒まめ、のし鳥やごまめ、などの甘めのおせち料理とも楽しめます。ラベルのペガサスの絵のように飛躍の年を願って、ナパヴァレーのミツコズのワインをお楽しみくださいね。

渋谷 東急フードショーのおすすめ

クロ・ペガス ミツコズ ヴィンヤード メルロ
(750ml) 5,280円

生産地:アメリカ カリフォルニア州 ロスカーネロス
葡萄品種:メルロ
味わい:赤・辛口・フルボディ・豊潤で果実味豊か

1984年にナパヴァレーで設立されたクロ・ペガスワイナリー。オーナーの妻は日本人で、ともに力を合わせてワイン醸造・葡萄栽培の勉学に励み、世界を巡り選び抜いたカリフォルニア州ロスカーネロスに畑を取得しました。その畑は妻のミツコさんの名前をつけて有機栽培で葡萄を育てています。メルロの葡萄から生まれたこのワインは、プラムやリコリスのアロマが感じられブルボディで深みと気品を備えたワイン。豊かなフレーバーが口内に広がり、バランスの取れたフレッシュ感溢れる酸と細やかなタンニンが長い余韻へとつながってゆきます。

著者近影

伴 良美(ばん・よしみ)

ライター&ワインエキスパート。映画、食、旅を中心に執筆。ワインと食の情報誌「ヴィノテーク」、北海道新聞、岐阜新聞などの取材記者としても活躍。世界の銘醸地や映画の舞台を訪ねた連載コラムに、フジサンケイビジネスアイ「世界銘酒紀行」「名画の舞台」のほか「男と女 名画とお酒」「シネマの名言」などがある。