世界遺産カルカッソンヌ城で人気 フランス最古のワイン生産地

牡蠣やホタテ、カニや鮭など、冬の味覚がぐっと美味しくなる季節。この時期は、コストパフォーマンス優れた南仏ラングドックの白ワインと楽しんでみてはいかがでしょうか。近年世界的にも注目される素晴らしいワインが次々と生まれるラングドック地方。その魅力と東急フードショーおすすめワインをご紹介しましょう。

南フランスといえば「プロヴァンスは知っているけれど、ラングドック地方ってどこ？」と思う方も多いかもしれません。ラングドックはプロヴァンス地方の南にあり、アヴィニヨンからスペイン国境の地中海沿岸に広がる地域。世界遺産で有名なカルカッソンヌ城やミディ運河があり、豊かな自然と温暖な気候から、ヴァカンスに訪れる観光地としても人気です。

ラングドックは、約2000年前のローマ時代から続くフランス最古のワイン産地で、栽培面積もフランス最大。かつては、リーズナブルで日常的なワイン産地というイメージがありましたが、近年ではグルナッシュやルーサンヌなどの地中海品種、シャルドネやカベルネ・ソーヴィニヨンなどの国際品種から、非常に高品質なワインを産出しています。

長崎16聖人の子孫が造る 日仏を結ぶ壮大な物語

その中でも東急フードショーで特におすすめしたいのが「ドメーヌ・ペイリエール」のワイン。売り場のスタッフが、100種類近いワインをブラインドでテイスティングした中から選ばれた、非常にコストパフォーマンスに優れた逸品。東急百貨店のネット通販でも、たいへん人気が高いワインです。さらにこのワインには、日本とフランスの歴史を結ぶ壮大な物語が秘められていることでも興味深いのです。

表のラベルにはドメーヌが所有する美しいシャトーが、そして、裏をみると「聖人ギヨーム・クルテ」の人物画が描かれています。実はこのワインの生産者であるペイリエール家は、長崎で殉教した聖人ギヨーム・クルテを先祖にもつ一族。クルテは江戸時代にキリスト教の司祭として、日本に初めてやってきたフランス人でした。ラングドック出身の彼は、日本で弾圧されているキリスト教信徒を助けるために、島原の乱の最中に日本に上陸。慈悲深く高潔な人柄で多くの人々に慕われましたが、キリスト教を禁じていた江戸幕府に捕らえられ、1636年9月29日に斬首され殉教しました。

それから300年以上たった1987年。日本からの嘆願を受けて、バチカンでは長崎で殉教した16名を列聖し、そのひとりクルテ司祭にも聖人の称号が与えられました。禁教のさなか、厳しい弾圧に耐えながらも、信者を励まし、つねに神のみことばをのべ伝えた司祭ら16名は、今も長崎の地に静かに祀られています。

ピュアな果実味と豊かなアロマ 減農薬＆減SO2のワイン

こうした日本との深いつながりをもつペイリエール家は、現在ラングドックのラ・リヴィニエールを起点として葡萄栽培とワイン生産に励んでいます。ここは「南仏のグラン・クリュ」とも評されるワインを生む、素晴らしい土壌と自然環境。栽培は化学的なものを極力使用しない減農薬にて行われ、SO2を極少量に押さえて醸造されます。またワインラベルには、聖人クルテのためにバチカンから特別に与えられた「ORATIO ラベル」が貼られ、ワインの収益の一部は教会修復などに寄付されています。

ペイリエールはラングドックで初めて、シャルドネやカベルネ・ソーヴィニヨンなどの国際品種を植えたパイオニアとしても知られ、12種類もの葡萄を土壌との適正を研究しながら栽培。現在は海外のワイナリーで研鑽を積んだ子息ニコラさんがドメーヌに戻り、テロワールのポテンシャルをさらに引き出した、果実味豊かな素晴らしいワインを生産しています。

進化するラングドックワイン 偉大なグラン・ヴァンが次々誕生

さて、ラングドックでは近年、ボルドーのようにワインの階層化が行われ、下から「AOCラングドック」「グラン・ヴァン」「クリュ」の3階層に分類。各階層の個性を生かした素晴らしいワインが生まれています。グラン・ヴァンに位置するフィトー、コルビエール、リムー、サン・シニアン、ミネルヴォアなどは、多くは3,000円台から5,000円台の中価格帯ながら、ボルドーのグラン・クリュワインにも負けない、高品質なワインとして世界に注目されています。

また最上位の、フォジェール、コルビエール・ブトナックなど、傑出した特異なテロワールを反映したクリュ・クラスには6つのクリュが認定。その頂点には、今年新たにAOCを獲得した「ラ・クラープ」の赤と白ワインが格付けされました。ラ・クラープは地中海沿岸の美しい自然公園の中にあり、ミネラル豊かな石灰質土壌に恵まれた葡萄産地。ワインも生き生きとした酸と豊かなミネラルを備え、特に白ワインは地元の牡蠣と楽しまれています。

人気の白ワインは生牡蠣や魚貝のグラタンと

近年、健康志向の高まりから、魚貝に合う白ワインの消費が高まっていますが、ラングドックの白ワインはパリでも大人気。また、9月には東京でもラングドックの白ワインを中心とした試飲会が開催されました。

舌を刺す（＝ピクプール）ほどのピュアでフレッシュな酸が魅力の「ピクプール・ド・ピネ」、シャルドネやモーザックの葡萄品種を使って優しい泡立ちと白い花の香りをもつ「リムー・スパークリング」、樽を使いシャルドネのふくよかさと美しい果実味を表現した「リムー・ブラン」、フードフレンドリーで親しみやすい「ラングドック・ブラン」など。

これらのワインは、日本でも魚介の寄せ鍋や生ガキ、ホタテのバター焼き、タルタルソースでいただく鮭や牡蠣フライ、シーフードグラタン、など冬の食卓を彩る家庭料理ともピッタリ。冬の味覚に合わせて、是非ラングドックの白ワインをお楽しみくださいね。

東急フードショーのおすすめ

ドメーヌ・ペイリエール レゼルヴ シャルドネ2014
（750ml）1,512円

生産地：フランスラングドック
葡萄品種：シャルドネ100％
味わい：白・辛口・ミディアムボディ

生産者のペイリエール家はラングドックでは初めてシャルドネやカベルネ・ソーヴィニヨンなどの国際品種を植えたパイオニア。広大な320haの畑の土壌を分析研究し、その土壌に合わせて12品種の葡萄を栽培。このシャルドネのワインは、洋梨や白桃などの香り、しなやかで柔らかい酸、ふくよかな果実味をもちます。非常にバランスに優れているため、料理と幅広く楽しめ、ホタテのバター焼きやフライ、牡蠣フライやフリット、魚介のグラタン、エビやカニなど甲殻類を使った料理、さらに鶏肉料理にもよく合います。

ドメーヌ・ペイリエール レゼルヴ ソーヴィニヨン・ブラン2014
（750ml）1,512円

生産地：フランスラングドック
葡萄品種：ソーヴィニヨン・ブラン100％
味わい：白・辛口・ライトボディ

長崎で殉教した長崎16聖人のひとりである、ギヨーム・クルテ司祭を先祖にもつペイリエール家が生み出すワイン。ソーヴィニヨン・ブラン特有の、グレープフルーツ、青りんご、フレッシュハーブなどの香りをもち、バランスがよく、溌剌とした果実味とクリスピーな酸が印象的。サラダやマリネなどのアペリティフのほか、生牡蠣、刺身、カルパッチョ、などの生の魚貝類とよく合い、レモンやハーブや薬味を添えて食べると一層よくマッチします。レモン果汁を加えた寿司飯との相性もよく、ちらしや手巻き寿司ともお楽しみください。