厳しい乾燥環境でも潤いを守る「貯水※2化粧水」として支持を集める「エスト ザ ローション EX」や、「エスト ザ エマルジョン EX」が8年ぶりにリニューアル。今回のリニューアルに込めた思いや、チリ・アタカマ砂漠で行った実証実験についてなど、ブランドマネージャーの清原麻紀子さんにうかがいました。
※1 アタカマ砂漠。ギネス世界記録「Driest desert」に認定(2025年6月末時点)ギネス世界記録(R)はギネスワールドレコーズリミテッドの登録商標です。
※2 角層のケラチン線維に水分を補い、肌の潤いを保つ
実直に肌と向き合い、皮膚科学を追求する
――はじめに、あらためて〈est(エスト)〉のコンセプトから教えてください。
「〈est〉は花王ソフィーナの百貨店ラインとして2000年に生まれたブランドです。ブランド名は『essence of sofina technology』の頭文字を組み合わせたもの。estは英語の『最上級』表現でもありますよね。花王ソフィーナの知見を結集し、最先端の皮膚科学を用いることで、一人ひとりにとってよりよい肌を目指すことをあらわしています。
花王ソフィーナのDNAは、徹底したエビデンスベースで皮膚科学を追求すること。長期的に同一人物の肌や意識を調査するなど(ウルトラ肌解析™データベース)、地道に実直に肌と向き合っているブランドです。研究所での調査、研究にとどまらず、1982年には『ソフィーナビューティーコンピューター』という機器を用いて店頭での肌診断もスタートしていました」
――いまでこそ一般的になりましたが、肌診断にいち早く取り組んだのも花王さんなのですね。
「そうですね。80年代当時はいまと比べものにならないような大きな機械を使っていましたが、お客様にご自身のデータを示し、エビデンスベースで商品を選んでいただくという姿勢は変わっていません。
肌について深く探究していくと、人の肌が本来持つ力の偉大さに気付かされるんです。それが環境などさまざまな要因によって発揮しきれていないだけ。生命の可能性に学び、科学で解き明かすというのが、花王ソフィーナから受け継がれた〈est〉の根幹です」
年に約2カ月、砂漠より厳しい乾燥環境の日本
――今回8年ぶりのリニューアルということですが、前作の「エスト ザ ローション EX」はどのようなきっかけで開発されたのでしょう?
「『エスト ザ ローション EX』が発売されたのは2017年。当時、環境変化により急激な湿度低下が起きていることが明らかになっていました。みなさん飛行機の中は乾燥するというイメージをお持ちだと思いますが、日本では日常生活でも湿度が約20〜30%と、飛行機並みの湿度で暮らしていることがわかったんです。その数値はほとんど砂漠レベル。開発に際しては、研究員自ら砂漠に赴き、厳しい乾燥環境下での使い心地を確かめています」
――今回リニューアルに至った経緯は?
「前回の発売から8年。日本の湿度の低下はますます進行し、砂漠の平均湿度と言われる30%を下回る日が67日もあるというデータが発表されました。つまり、年に約2カ月は砂漠より厳しい乾燥環境のなかで生活しているということ。さらに酷暑や寒暖差、紫外線の影響など、私たちを取り巻く環境はますます厳しさを増しています。このような過酷な乾燥環境に対応するため、製品もパワーアップしなければと今回のリニューアルに至りました」
写真左〈est〉エスト ザ ローション EX T (140mL) 6,930円/(130mL、レフィル) 6,380円(税込)
写真右〈est〉エスト ザ エマルジョン EX M (120g) 7,370円/(120g、レフィル) 7,040円(税込)
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――リニューアルのポイントとなる部分は?
「これまでは角層内部の水分を『貯める※3』ことにフォーカスしていましたが、さらに『結ぶ※4』『強化する※5』という2つのアプローチが加わりました。極限の乾燥環境下でも細胞が壊れることなく維持され、干からびても生き続ける『ネムリユスリカ』(幼虫)の生態から着想を得た成分を用いています」
※3 角層のケラチン線維に水分を抱え込ませて保つ
※4 肌の潤い(結合水・自由水)を保つ
※5 潤いの強化
世界一厳しい乾燥環境での実証実験
――生命の可能性に学ぶという〈est〉らしいアプローチですね。今回も砂漠での実証実験を行ったそうですが、具体的にはどのような実験をされたのでしょう?
「今回は、世界で最も乾燥した砂漠としてギネス世界記録に登録されているチリのアタカマ砂漠で実証を行いました。すっぴんの状態で顔の半分だけ『エスト ザ ローション EX』を塗布し、塗った直後、1時間後、3時間後、6時間後と時間の経過を追いながら水分量やキメ、弾力の数値を計測します」
ギネス世界記録にも認定されている世界一の乾燥砂漠※1アタカマ砂漠
――実証実験には清原さんも同行されたのですか?
「はい、私も被験者の一人として参加しました。アタカマ砂漠は移動だけで日本から往復6日間かかる場所にあるのですが、さきほどお話ししたように、日本はいまとても厳しい乾燥環境に置かれています。それよりさらに厳しい条件で実証することが、私たちが大切にする『エビデンス』につながると考えてこの場所を選びました」
――実際に体験された感想は?
「事前に砂漠環境を再現した実験室で研究を行なっていましたが、実際の砂漠は思った以上に過酷でしたね。風も強いですし、標高が高いので太陽も近い。途中で声が出なくなるくらい喉をやられてしまって、最後には筆談でコミュニケーションをとっていました(笑)」
「湿度10%未満という環境下での実証実験でしたが、塗布後長時間経っても角質水分量やキメが保たれることが実証され、わたし自身も自分の肌で潤いを感じることができてうれしかったです」
肌の状態に合わせて選べるラインナップ
――今回のリニューアルでは、化粧水と乳液がそれぞれ3タイプ発売されるとのこと。選び方のポイントなどはありますか?
「肌悩みの原因※6に合わせて選べる化粧水3種と、肌状態に合わせて選べる乳液3種をご用意しています。
化粧水の『K』はキメの整った肌になりたい方、『S』は潤って明るく透明感のある肌になりたい方、『T』はハリ・弾力のある肌になりたい方におすすめ。
乳液の『M』はとにかく乾燥が気になるという方、『B』は乾燥によるくすみが気になる方、『L』はハリ感のなさが気になる方におすすめの設計になっています。
店頭では花王最先端の肌解析『True Beauty Scope』でいまの肌状態を確認できますので、ぜひお客様のお肌に合ったタイプを選んでいただきたいと思います」
※6 乾燥などのこと
True Beauty Scopeでは「角化」「酸化」「糖化」の傾向値をチェックするほか、「みずみずしさ」「つや」「キメ」「黄ぐすみ」「メラニン」「透明感」「弾力感」「なめらかさ」の8つの指標で肌状態を解析。
――清原さんはどの組み合わせを使っているのですか?
「私は夕方鏡に映ったとき疲れた印象に見えるのが気になるので、化粧水の『T』、乳液の『L』の組み合わせがお気に入りです。ハリ感のなさも乾燥が原因。このモチモチ感はぜひ味わっていただきたいですね」
先端技術を駆使してニーズに応え続けたい
――スキンケアアイテムに対して、お客様が求めるものはどう変化していると感じますか?
「たくさんの情報があるなかで、自分に合っているものは何なのかをしっかり見極めようとされている方が増えていると感じます。肌解析や客観的なデータを参考に商品選びをされていますよね。
先ほどご紹介した肌解析『True Beauty Scope』は、写真を撮るだけで肌の状態はもちろん、肌に与えるリスクまで解析できる花王独自のツール。解析だけでも体験したいというお客様が多くいらっしゃいます。自分の肌を知り、本当に合ったものを使っていただきたいという思いも込めて、今回化粧品と乳液それぞれ3タイプの製品をつくっていますので、そういったお客様のニーズにお応えできたらうれしいですね」
――今後さらにチャレンジしていきたいことなどありますか?
「今回リニューアル商品を発表することになりますが、今後も私たちを取り巻く環境は変わり続けますし、お客様のお悩みは尽きないはず。弊社独自の『皮脂RNAモニタリング』技術をはじめ、さまざまな先端技術を駆使して新しい製品やサービスを追求し続けたいと思います」
――SHIBUYA BEAUTY JAMは渋谷発のビューティーメディアですが、さいごに、渋谷の街のイメージや、渋谷のお客様へのメッセージがあればお聞かせください。
「私自身、渋谷はよく訪れる場所。いつも新しいカルチャーが生まれる刺激的な街ですよね。いま街がどんどん変化していますが、それでも変わらない、根底に流れる『渋谷らしさ』みたいなものがあって、そこが好き。その“らしさ”って何なのだろうと考えてしまいます。
新しいビルが建っても、お店が変わっても、変わらない渋谷らしさがある。そして、その“らしさ”を求めて街に集まる人がいる。それってブランドとしても見習いたいところですよね。
新しい商品や新しいサービスが生まれても、やっぱり『〈est〉らしいね』と言ってもらえるような、そんなブランドのあり方を目指していきたいと思います」
interviewee
花王株式会社 化粧品事業部門 プレステージビジネスグループ ブランドマネジャー 清原麻紀子さん
「たしかなエビデンスのもと、心地よさを実感できる製品づくりを行うのが〈est〉のモットー。自分自身も実証実験の被験者になるなど、リアルな体験をブランドづくりに活かしていきたいと思います」
渋谷取扱店舗
渋谷スクランブルスクエア 6F 「+Q(プラスク)ビューティー」
東急百貨店ネットショッピング
Edit_Moe Nishitoba(TOKYU DEPARTMENT STORE CO.)
Art Direction & Design_Makiko Higuchi
Text_Midori Sekikawa
Photography_Naoto Ikuma
Produce_Shun Okabe