映画に出てくる料理が気になって、観終わった後に食べたくなることありませんか? そんな“おいしい寄り道”をしたくなる映画をピックアップするコラム、第1回は『シェフ! 三ツ星レストランの舞台裏へようこそ』を紹介します。
どんな映画?
物語の舞台はパリ。20年にわたって三ツ星を守り続けている超高級フレンチレストランのベテランシェフ、アレクサンドルはスランプに陥り、春の新メニューのアイデアに苦戦しています。次の審査会で一つでも星を失えば店の運命が終わるという危機のなか、アレクサンドルが出会ったのが、老人ホームのペンキ塗りをしていたジャッキー。彼は天才的な舌を持っているにも関わらず、料理へのこだわりが強すぎるせいで数多のレストランをクビになった若手シェフでした。さらに老人ホームの厨房で働いていた素人シェフたちも仲間に加わり、レストランの三ツ星を守るために立ち上がる――というストーリー。
ベテランシェフのアレクサンドル役は、ハリウッドでも活躍するジャン・レノ。相棒となるジャッキーは、フランスのコメディ俳優ミカエル・ユーンが演じました。フランス料理が題材ではありますが、ミカエル・ユーンがコメディアンとしての本領を存分に発揮していて、ジャン・レノを巻き込んでコントのような芝居を繰り広げるシーンもあり、肩肘張らずに見られる85分間の作品です。
仕事も家庭も崖っぷちの2人がタッグを組んだら
デコボコシェフコンビが「三ツ星レストランの存続」をかけてタッグを組み、試行錯誤していく様子を描くと同時に、2人がプライベートで抱える問題も映し出すこの作品。シングルファザーのアレクサンドルは大学卒業を控えた娘がいますが、仕事優先で家庭を顧みなかったため愛想をつかされている様子です。ジャッキーには出産を控えた婚約者がいて、正式に結婚するためにも安定した仕事を手に入れなければならないのに、どの職場でも長続きしません。崖っぷち同士の2人が一発逆転をかけて“奇跡の一皿”を生み出せるのか?というのが見どころです。
一流のフレンチシェフが料理監修
劇中に登場する料理は、当時若手実力派シェフとして注目を集めていたブノワ・ボルディエが考案。「ヒメジ(白身魚)と栗かぼちゃのスープ」、「レモン風味の海の幸のコンカッセ(粗切り)と春野菜のいかだに虹のソース」(これらが老人ホームの食事として提供されるから驚き!)といった伝統的手法を大切にしたフランス料理から、科学的な調理法でつくられた分子料理まで、数々のレシピを手がけています。一方で、家庭でつくる砂糖漬けフルーツケーキのおいしいつくり方のコツが披露される場面もあり、こちらは早速スイーツづくりに取り入れたくなります。
料理人がこだわる“三ツ星”事情
シェフたちが“三ツ星”にこだわるのは、映画のセリフにその名前こそ出てきませんが、星の数でレストランを品評する『ミシュランガイド』を意識しているのは明らか。フランスでミシュランガイドが発表されるのは毎年3月頃。そのため、アレクサンドルは審査を意識した春の新メニューを開発しようとしているのです。
ミシュランガイドの歴史は古く、1900年のパリ万国博覧会開催がきっかけでした。タイヤメーカーのミシュラン社が、パリでドライブを楽しむためのガイドブックとして無料配布したのがはじまりです。その後、1926年には星をつけるシステムが始まり、そのうちミシュランの社員である調査員が匿名でレストランやホテルを訪ねるようになりました。最高ランクの三ツ星は「そのために旅行する価値のある卓越した料理」に授与されます。映画のなかでは、20年間三ツ星シェフとして店を守って来たアレクサンドルが、オーナーから「星の数が減ったらクビ」と宣告されてしまい、窮地に陥るのです。
五感でグルメを楽しみたくなる
「ブリアサヴァランのコース3人前!」「オマール、カレイ、ヒラメ各1」、「ウィ、シェフ!」というセリフが飛び交う厨房の喧騒からはじまるこの映画。美しく盛りつけられた料理にスイーツ、グラスに注がれるワイン。そして魚を焼き、春野菜を刻む音で目や耳が刺激を受けている間に、バターやハーブの香りが漂ってくるようでお腹がすいてきます。本格フレンチを自宅でつくるのは難しいですが、屋外でも過ごしやすくなるこれからの季節、気軽なフレンチデリやパン、スイーツやワインをテイクアウトしてピクニックを楽しむのはいかがですか? 伝統を重んじながら遊び心や変化を楽しみ、食を、そして家族を愛する映画の登場人物の気分で。
作品について
Blu-ray:¥2,200(税込)
DVD:¥1,257(税込)
発売・販売元:ギャガ
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