ボルドー1級シャトー ラフィットが手がけるチリワイン ロスヴァスコス カベルネ・ソーヴィニヨン 2021

2024.05.01

CDやDVDにジャケ買い、という言葉があるように、ワインもラベルが奇麗なものや、興味深いデザインのものには、つい手がのびてしまいます。実際にワインのラベルは、ワインの歴史やエピソードを伝えるものが多く、そこにはさまざまな情報や物語が隠れています。ラベルのささやきを聞きながらワインを飲めば、いっそう美味しく楽しく感じられることでしょう。

ワイン愛好家も憧れる、ボルドー最高1級格付けの5大シャトー。そこにはマルゴー、ラ・トゥール、ムートン・ロートシルト、ラフォット・ロートシルト、オー・ブリオンがあります。今回はその一つラフィットが、世界中で手掛けるワイナリーグループのワインをご紹介しましょう。いま、ラフィットはチリ、南フランス、アルゼンチン、中国などでもワインを造っています。ボルドー格付けシャトーの伝統と技で造られる世界のコレクションシリーズは東急フードショーでも販売。今回は中でもチリで手がけるロスヴァスコス、南フランスで手がけるオーシエールのワインについてご紹介しましょう。

5人兄弟が結託する5本の矢を描いて

写真:ロートシルト家の5本の矢の紋章がラベルやボトルネックに描かれている。

まずは、チリのロスヴァスコスのワイン。そのラベルには、葡萄畑の雄大な風景とともに、Rの文字に突き刺さる5本の矢を描いたロートシルト家の紋章が記されています。この5本矢の紋章には、ロートシルト家の5人の兄弟が、一丸となって素晴らしいワインを造っていこうという強い想いが込められています。

そのロートシルト家が、世界の優良なテロワールを生かして、ボルドーだけでなく、質の高いワインを世界中で造ろうと始めたプロジェクトの第一弾が、チリのこのロスヴァスコスなのです。

チリのプレミアムワインのパイオニアを目指したロスヴァスコス

写真:チリのコンチャグア・バレーにあるワイナリーとセラー。

1868年にボルドー地方メドック地区の公式格付けグランクリュ第一級に輝いたシャトー・ラフィット・ロートシルト。ロートシルト家は1990年代になると「世界には素晴らしいワインを造ることができる、ポテンシャルの高い地域が他にもたくさんある。私たちはそうしたワイン生産地を応援していこう」と考えました。

そしてこのロスヴァスコスを「ここはダイヤモンドの原石のようなワイナリーだが、そのポテンシャルの高さは果てしない。チリにおけるプレミアムワインのパイオニアとなるだろう」と確信し所有したのでした。

山に囲まれた盆地 夜間には冷涼な風が、昼は暖かい日差しが

写真:山に囲まれた盆地 夜間には冷涼な風が、昼は暖かい日差しが

ロスヴァスコスはチリのコンチャグア・バレーにあり、三方を山に囲まれた盆地で太平洋から40㎞の立地。夜には冷涼な風が吹き込み、日中は暖かな日差しに包まれます。そのため、昼夜の寒暖の差があり、美しい酸と豊かな果実感をワインにもたらします。また周囲には美しい水源があり霜の害も少ないことから、減農薬農法での葡萄栽培を可能にするため、健康で凝縮感のある葡萄が生まれます。

このワインはカベルネ・ソーヴィニヨン100%。他の葡萄をブレンドしないことにこだわっています。その味わいはロートシルト家が信条とするエレガンスと力強さを共有し、質の高いなめらかなタンニンと芳醇な芳香を備えています。そして、非常にコストパフォーマンスに優れていることも魅力です。

南フランスの宝 ラングドックのコルビエールで生産するオーシエール

写真 左:オーシエールの醸造家であるクリスさん。
写真 右:歴史あるオーシエールのワイナリー。

さらにもうひとつ、ロートシルト家がボルドー以外で造る秀逸なワインをご紹介しましょう。それは南フランスのラングドック地方、コルビエールで造られるドメーヌ・ド・オーシエール。オーシエールはラングドックでも最も歴史があり、豊かな自然に恵まれた環境にあるワイナリーです。

ここは、葡萄栽培に最適な気候風土の中、修道院の人々が農家と力を合わせて素晴らしい葡萄を800年以上造り続けてきた歴史がありました。
しかし、ラングドック地方は1950年以降には苦難の歴史があり、多くの農家が葡萄造りをやめ、徐々に畑が荒廃してゆきました。そこでロートシルト家はラングドックのこのオーシエールのワイナリーを1999年に購入し、葡萄畑や醸造所を刷新。大規模な改修を行い、その周囲一帯も含めて見事にこの地を復興させたのです。

ワインの熟成樽はボルドーのポイヤック産を使用。エレガントにワインを仕上げる

写真:ラングドックの固有品種をブレンドし、ポイヤックのフレンチオークで熟成する。

約550haの畑に、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、シラーのほか、グルナッシュ、ムールヴェードル、カリニャンなどのラングドックの固有品種も大切にして栽培しています。ワインの熟成はポイヤックから仕入れた高級樽を使用。シラーにラングドックの固有品種をブレンドしながら、南仏の美しい空気と暖かな気候を表現した、伸びやかで果実感豊かなワインを造っています。

ボルドー以外で造るラフィット家のワインは、他にもアルゼンチンや中国にもあります。ラフィット家の信念を引き継いだ豊かで美味なワインは、コストパフォーマンスも高く手軽な価格帯で購入できるのも魅力です。シャルドネを主体とした白ワインもございますので、5本矢の入った紋章を目印に是非売り場にてお買い求めくださいね。

渋谷 東急フードショーのおすすめ

【写真 左】
ロスヴァスコス カベルネ・ソーヴィニヨン 2021
(750ml) 1,830円
生産地:チリ・コンチャグア・バレー
葡萄品種:カベルネ・ソーヴィニヨン100%
タイプ:赤・辛口・フルボディ・濃潤で豊かなタンニン
ラフィットがチリでワイン造りを初めて行ったワイナリー。ラフィットのエレガンスとチリのコンチャグア・バレーの力強さがストレートに楽しめるワイン。赤い果実の香り、凝縮したドライフルーツのニュアンス。黒胡椒やナツメグのスパイスの効いたエレガントなタンニンを備えています。赤身肉のステーキ、ビーフシチューなどのお肉の煮込み料理にもおすすめです。

【写真 右】
ドメーヌ・ド・オーシエール 2021
(750ml) 1,830円
生産地:フランス・ラングドックルーション
葡萄品種:シラー30、グルナッシュ29、カベルネ・ソーヴィニヨン12、アリカンテ・ブーシュ10%
タイプ:赤・辛口・ミィディアムボディ・瑞々しくてフルーティ
ローマ時代からワイン造りが行われるオーシエールのワイナリーを1999年にロートシルト家が購入。エリック男爵が一目で惚れたラングドック地方コルビエールにてワインは造られます。ラングドックの伝統とボルドーで培った技術が融合した秀逸なワイン。樽香がパインやユーカリなどの香りに溶け込み、味わいはチョコレートやチェリーなどの凝縮した風味。若いうちから長い余韻とエレガントな風格を楽しめます。

教えてくれた人

伴 良美(ばん・よしみ) ライター&ワインエキスパート。映画、食、旅を中心に執筆。ワインと食の情報誌「ヴィノテーク」、北海道新聞、岐阜新聞などの取材記者としても活躍。世界の銘醸地や映画の舞台を訪ねた連載コラムに、フジサンケイビジネスアイ「世界銘酒紀行」「名画の舞台」のほか「男と女 名画とお酒」「シネマの名言」などがある。

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