17世紀には既に評判を得ていたこのピクプールというブドウのポテンシャルと、それを育むべく存在するかのようなテロワールを余すことなく表現するため、惜しみない情熱を注いでいるのがドメーヌ・カブロルである。現在、精力的にドメーヌの指揮を執るマルク・カブロルのワインには、これぞピクプールという酸とミネラルに加え、ブドウの出自の良さが滲み出る豊潤なエキスすら感じられる。アペラシオンの眼前に広がるトー湖は牡蠣の名産地として知られているだけあり、牡蠣はもちろんのこと、あらゆる魚介類との最高の相性は素晴らしい。青い地中海に吹く一陣の風のような、潮の香と爽やかさ漂うこのワインが、新たなマリアージュを知る喜びを与えてくれることに疑問の余地はない。ラングドックでブドウ品種をAOC名に冠する唯一のアペラシオン、ピクプール・ド・ピネ。コトー・デュ・ラングドックのクリュのひとつで、地中海に面した同国屈指の大きさを誇る湖、トー湖周辺の6つのコミューンから成る。
海に近く、比較的涼しい気候と石灰豊富な粘土や砂質土壌持つポメロールの畑のブドウを使用。黄色い柑橘類やアカシアの花の香り。密度のある果実、シャープな酸、堅牢なミネラルが織りなす味わいは気品に満ち溢れている。ブドウとテロワールの特性がいかんなく発揮された、お手本となるべきピクプール・ド・ピネ。