東急百貨店

ブライダルクラブ

  1. 東急百貨店
  2. ブライダルクラブ
  3. 結婚準備・スタート応援ガイド
  4. 引出物の新常識

結婚準備・スタート応援ガイド

ウエディングプランナー岡村奈奈さんによる結婚準備のアドバイスとコラム記事のアーカイブです。

引出物の新常識

  • 準備初期
  • 挙式披露宴
  • 本人

引出物は、ウエディングに関連するアイテムの中でもっとも知られた悩みどころの一つ。「引出物」とはもともと重くて大きい、かさばるものほど立派でよいとされていましたが、今は、持ち帰りやすく実用的なものが好まれているように思います。

一般的に「引出物」とは、「引出物(記念品)」「お菓子(引菓子)」の総称。一家族に一つ差し上げます。想定されるご祝儀の金額やそれまでに贈った親族間の基準、友人間の基準などによって金額を設定します。首都圏の相場は、記念品が3,000円〜、ご夫婦には5,000円〜。それに1,000〜1,500円のお菓子をセットにします。
もう一品「縁起物」と呼ばれる、鰹節や梅干し、赤飯などをつけて「割れない数(奇数)」「喜数(奇数の音合わせ)」として”3品”とするのを当然のこととする地域や価値観もありますが、首都圏ではつけない場合も多いです。

流行から新常識となった「プチギフト」を3品めと考える場合もありますので、両家が同意して、ゲストに丁寧な印象を残せるのであれば、品数はあまり大きな問題ではないと思います。
「プチギフト」とは、おもにお見送り時に新郎新婦から手渡しする小さなギフトのことで、300〜700円程度、ポケットに入るようなお菓子や雑貨が一般的です。

感謝の気持ちをこめて「記念の品物」として贈った(帰りに持たせた)ものだった引出物ですが、今は「もらって困らないもの」が合言葉で、色柄やサイズ、用途、持ち帰りの手軽さ、扱いやすさについて考えるのは当然のマナーとなっています。 「自分では買わないけど、もらったら嬉しい」というようなキッチン雑貨や高級ステーショナリー、ハイブランドのグラス、著名人が愛用する話題のものなど付加価値のある品物が評判が良いようです。

実用性や手軽さが重視されるようになってからは、昔ながらの基準は形骸化しつつありますが、今でも縁起のよくないものは避けたいという、いわゆる「タブー」は少なくありません。
例えば「壊れる」「切れる」を連想させる「陶器」「ガラス食器」「(ハサミやナイフなどの)刃物」も本来はタブー。「去る」の猿の絵柄や、離婚再婚を連想する「重箱」もNGとされています。
「洗い流す」石けんなどもNGですから、プチギフトのセレクトにも気をつけなければいけません。
また、実用的な生活用品は、目上の人へのプレゼントとして相手に失礼だという考え方も根強くありますから、贈る相手の文化や背景を想像することはギフト選びに欠かせません。
引出物は、ウエディングに関するあらゆる事柄の中でもっとも地域性が残っているものでもあります。
リサーチすることで、生まれ育った土地の特性を学んだり、互いのそれを理解し尊重する初めての機会となるかもしれません。

こうして見ると、非常に難しい印象がありますが、怖がりすぎて、無難なものを贈るのももったいないことです。 身の回りの人(ご家族・ご親戚・先輩)に相談するなど、情報収集や根回しをしっかりしたうえで「これを贈りたい」という強い気持ちがあれば、きっと贈られた人にも伝わるはずです。

「お父さんたちの引出物は何だったの?」
「朝食のときに使っているコーヒーカップだよ」
「えー!」
という花嫁の家族の会話を打合せ中に聞いたことがあります。
二人が心をこめて選んだものが、これから築いていく家庭の当たり前の風景に溶け込んでいったらステキですよね。

(2017/09)

岡村奈奈 プロフィール

音大卒業後、専門式場などの婚礼施設勤務を経て2005年にフリーに転向。執筆・監修、メディア出演多数。オーソドックスなスタイルから、アウトドアや音楽ホール等でのユニークなウエディング、伝統的な和婚までオールマイティに対応。カウンセリング型のプロデュースに定評がある。
「ハッピーウエディングBOOK」(高橋書店)
「ウエディングプランナーが教える、結婚式と準備が”もっと”楽しくなる方法」(誠文堂新光社)
「結婚する子どものために 親がすること、できること」(日本文芸社)著者。
https://nanea.jp