引出物の新常識 「贈り分け」とは?
引出物は、披露宴に出席してくれたゲストへの御礼や記念の品物という意味合いを越えて、いまや結婚するふたりのセンスが問われる「表現」のひとつとなっています。
私が子どもの頃は、学校のバザーやフリーマーケットのような行事となると、たくさんの高級そうな華やかな模様の描かれた陶器がずらりと並んで、それがヒキデモノなるものだと、ぼんやりと知っていましたが、まさにそれは「引出物=好みでないもの(不要なもの)」という世間のイメージにつながっているのかもしれません。
しかし今は、引出物選びは「使ってもらえるもの」という基準が主流となりつつあります。
例えばそれは「自分がもらったら嬉しいもの」というふうに考えることもできます。
とは言え、多様化の時代。家族の多い家、独身、お料理好きや外食好きなど様々なライフスタイルという背景にあって、もらって嬉しいものの幅広さこそが悩みのタネなのです。

そこで近年スタンダードになっているのが「贈り分け」という選び方。
「贈り分け」とは「親族にはA、友人にはB」とか「新郎側の親族にはA、新婦側の親族にはB、共通の友人で独身にはC、学生時代の友達にはD」など、いくつかの種類をゲストに合わせて選ぶことをいいます。
ここで大事なのは紙袋を同じものにして、外から明らかに中身が違うと分からないようにすること。どちらが良いということではなくても差があるような印象をもたせてはいけませんから。
例えば食器を贈るとき、相手の食器棚や食卓事情までを知っている仲ならば、好みもわかって選びやすいと思いますが、職場の先輩や遠い親戚ともなると、想像してもなかなか浮かんでこないもの。そんなときには「知名度の高いメーカーのものやシンプルなデザイン、用途の幅の広いもの」がいいと思います。
「たしかお酒が好きだったはず」という印象で「とっくり」や「ワイングラス」を贈るなど、思い込みで用途の限られる品物にするのはチョット危険です。
親しい仲なら率直に「(引出物選びで困ってるんだけど)どんなものがいいと思う?」など直接聞くのも失礼なことではありません。

「ペアグラスやペアマグを独身のゲストに贈ってもいいか」というご相談をよく受けますが、答えは「とくに問題なし」だと思います。
相手のあることですから、ゼッタイではありませんが(訳ありシングルなど、デリケートな時期のゲストには要注意!)例えば「いつかパートナーと同居するときに使おうと思っていた」と大切に箱のまま保管する人もいますし、来客時にも便利。2つより1つのほうが、という場面はほとんどないので、深く考えなくてもいいでしょう。しかし、ペアものは贈りものの定番なので、結婚式ラッシュの時期を迎えている顔ぶれには不向きかもしれません。
相手のことを思いやり、また、その一歩先を想像するのが引出物選びのコツですが、
考え過ぎるより、本人やプロに聞いてしまうことが今どきの方法です。
ぜひ店頭であれこれ手にとって「コレ!」というものに出会ってください。