東急百貨店

ブライダルクラブ

  1. 東急百貨店
  2. ブライダルクラブ
  3. 結婚準備・スタート応援ガイド
  4. いまどきの御車代(おくるまだい)

結婚準備・スタート応援ガイド

ウエディングプランナー岡村奈奈さんによる結婚準備のアドバイスとコラム記事のアーカイブです。

いまどきの御車代(おくるまだい)

  • 準備後期
  • 挙式披露宴
  • 本人
  • ゲスト

「御車代」や「心づけ」と呼ばれる御礼とは「気持ち」で、交通費の実費でもなく、海外のチップとも異なる、日本特有の文化から派生したものだと思います。
なので、結婚式にまつわる多くのものと同様に「縁起がいいから」とか「これまでがそうだったから」としか説明しようのないものが根底にあり、現代の感覚にフィットするかどうかというのがよく議論されますが、もし「どうしても!」という強い理由・・・例えば、ライフスタイルや人付き合いに関するポリシーだとか、経済的な状況だとか、そういう理由がないのであれば、やはりこの「習わし」に添っておいたほうがよいだろうと思います。
とは言え、お祝い事だから贅を尽くすという時代ではないので、相場はやや変化しているようです。

ふたりの背景やお付き合いの度合い、遠方からのゲストの人数などによってケースバイケースですが
おおまかに分けると
(新幹線や飛行機に乗っていらっしゃる場合)

・交通費全額相当+宿泊代+その手配のすべて
・交通費全額相当
・交通費の半額程度
・遠方の皆様に一律
・交通費の一部(引出物などを配送にする、最寄りの主要な駅までのタクシー往復)

という感じになります。
逆に、訪問するとき、招待されたときにはどのようにされているか(お迎えがあるとか、お家に泊めてもらう仲とか)などにもよりますが、1万円から最大で5万円程度でしょうか。1万円か3万円包む場合が多いように感じます。

渡し方は「新郎新婦から」ではなく「お母様から」始まる前に(朝または披露宴前にご挨拶されるとき)そっとお渡しいただくのがいいと思います。
お母様が「お相手のお顔がわからない」とか「スケジュール上、お渡しするタイミングが無さそう」という場合には、受付係から受付時に渡してもらうのが確実だと思います。
手伝ってくださった方への御礼などと同じく、婚礼用の袋と新札を用意するのがいいと思います。
1万円以上なら封筒型の、以下ならポチ袋が適切でしょう。

交通費は「足代」と言う人がいますが、「御足代(おあしだい)」ではなく「御車代」。
また、相手ではなく贈り主のほうの名前を書きますので、表書きには気をつけてください。

実はこの「御車代」には親族間のルールや地域性が根強くあり、私も未だに知らないこと、驚かされることが多々あります。
1,000円ずつ列席者全員に包むということもありました。(地域の慣習だそうです)
両家で同じ感覚である場合のほうが珍しいことなので、合わせようとせず、それぞれが親や先輩などに確認するのが有効でしょう。
近い親戚や、招待客が重なるような友人で挙式披露宴を経験したひとに相談して参考にするのがおすすめです。

遠方からのお客様に対しては、交通費だけに目を向けるのではなく、時間や過ごし方の配慮などトータルで考えるべきで、宿泊を手配するのか、交通費を負担するのか、あるいはそれ以外の方法がいいのか、それぞれの事情などを詳しくプランナーに相談するのがベストでしょう。
近隣で駐車場代がかかるとか、そのお相手との関係で金額設定や御礼の仕方を考えるのが気持ちのよい現代的なマナーではないかと思います。
自家用車の人、長距離バスの人、新幹線の人、飛行機の人、飛行機で帰って空港からまた遠い人、
泊まったホテルから1人で主要駅や空港まで戻る人、など、いろいろなお客様の帰り道を想像して考えてあげられるといいですよね。

「せっかく東京に来たから」「久しぶりに地元に帰ったついでに」など、お相手の都合もあると思うので
ホテルや飛行機をとるときには「こういう手配をしようと思うんだけど、こちらでとっていい?」と、一言相談してからのほうが喜ばれると思います。
全額負担できない場合には、招待の時点でその旨を伝えておいたほうが現代的でいいと思います。

正解のない人付き合いのマナー。
生き方、価値観も様々で「察する」というのも難しい時代ですから、本や噂に頼らず、誠意と真心をもって直接聞いてみたり、伝えてみるというのがいまどきではないでしょうか。

(2017/11)

岡村奈奈 プロフィール

音大卒業後、専門式場などの婚礼施設勤務を経て2005年にフリーに転向。執筆・監修、メディア出演多数。オーソドックスなスタイルから、アウトドアや音楽ホール等でのユニークなウエディング、伝統的な和婚までオールマイティに対応。カウンセリング型のプロデュースに定評がある。
「ハッピーウエディングBOOK」(高橋書店)
「ウエディングプランナーが教える、結婚式と準備が”もっと”楽しくなる方法」(誠文堂新光社)
「結婚する子どものために 親がすること、できること」(日本文芸社)著者。
https://nanea.jp