お茶にまつわるエトセトラ(2)
結婚式とお茶にまつわる議論はさまざまな方向に広がっていますが、お茶の反対側でとてもうまい具合にウエディングギフトの定番に上りつめたのが「紅茶」です。
「幸茶」と当て字されることもあり、バリエーション豊かに商品が展開されていて、例えば、ティーバッグ1つか2つが可愛いくラッピングされた「プチギフト」だとか、フルーツのコンポートやジャムなどとセットで箱詰めされたものなど「引出物(=引菓子)」向きに企画されているものもたくさんあります。
日持ちしたり、少しずつ違う味が楽しめたりと、もらって困るとは言われにくい性質のもので、贈り物向きの商品と言えることは間違いないでしょう。実際、焼き菓子やオーガニックのお砂糖などティータイム向きのセットはお祝い事に限らずギフトとして定着しているので無難であるとも思います。

また「コーヒー」も近年私たちの生活との距離感を大きく変化させているものの一つだと思います。思い返せば、かつてのコーヒーショップはもっと渋くて、味も雰囲気ももっとニガそうなものではなかったでしょうか。ウエディングにおいても、フルコースの終わりに小さなカップで提供されるものでじゅうぶんというようなイメージでした。それが、昨今の第○次と進化を重ねるカフェブームの影響もあって、ギフトの選択肢として当たり前のように挙がるようになりました。また、人気のコーヒーショップのチャージ式のギフトカードを「心づけ」に選ばれるカップルも珍しくなく、私自身もそれを薦めることがあるほどです。
ライフスタイルや社会のスピードが変わることは、こういう身近な嗜好品の価値を変化させるものなのだと実感するばかりです。

変化と言えば、かつて引出物の定番に「カップ&ソーサー」がありましたが、近年ではぐっと減っているように思います。陶器類全体が減っているというのもありますし(カタログ系、キッチン雑貨系が増加傾向)、実用性としてカップよりマグへ志向が移っているという実感もあります。近頃は来客時にも「マグ」を使用する家庭が多いですよね。割れにくく洗いものや収納もラクだという面もありますし、陶器のハイブランドも商品展開が充実しているのも理由の一つではないかと思います。贈るだけでなく、結婚の記念に新居に新しいカップやマグを買い揃えるのも素敵なことなので、普段あまり馴染みがないご夫婦もデパートの陶器のフロアに行ってみると発見があって楽しいかもしれません。
特別に贅沢なものでなくても、例えば「いただきもの」の"ちょっといい紅茶"や、新しく揃えたカップで飲むコーヒーは小さなワクワク感、豊かな時間を生み、日常をカラフルにするスパイスになるかもしれません。
身近なお茶にまつわるいろいろも改めて考えてみると面白いものですね。