スピーチの季節(1)話し始めのコツ
春は一年の中でもとくに人前での挨拶やスピーチの機会が多いとされる季節です。初めましての挨拶、頑張りますの挨拶、おめでとうやさよならの挨拶など、内容や立場は様々ですが、話すのも聞くのも緊張感のある場面が多く見られますよね。歓送迎会や式典などの行事が続くこともあり、ニガテ意識が積み重ねられたり、「スピーチとは退屈なものだ」という先入観を生んでしまうのもこの季節かもしれません。
結婚式(=披露宴)にもスピーチは欠かせないものですが、そういう(退屈な)あるいは(堅苦しい)スピーチを敬遠するがために「結婚式を挙げたくない」と考えるカップルも少なくないという現状があります。

数えたことはありませんが、たぶん私はこれまでに1000人くらいの「スピーチ」を聞いてきたと思います。基本的に、私はスピーチが大好きです。
いわゆる「祝辞」「謝辞」などのことですが、ウエディングプランナーとして経験を重ねる中で業界内外の企業のプレゼンテーションや式典に出席する機会も増え(祝辞以外の)様々なスピーチにも触れてきました。
その中で得たひとつの答えとしては「うまい/へた」というのはナイということ。一般的な評価は「話し手のキャラクターやその場に合っているか」「求められているもの(場)を理解しているか」ということが優先されていたように思います。
定型文のままでも「いいな」と思わせるスピーチをする人もいれば、その逆の印象を与えてしまう場合もある・・・それこそがスピーチの難しさなのでしょう。

「いいな」と思わせるスピーチのコツは「つかみ」です。冒頭、どんなふうに話し始めるか、ということです。
話しながらだんだんと場の空気を掴むのではなく、まず初めに掴んでしまうこと、自分のリズムにしてしまうことが最も手っ取り早い方法です。
例えば、「ただいまご紹介に預かりました・・・」を言わない! というパターンはおすすめです。
これで始めてしまうと、単調で"偉そうな"イメージがついてしまいます。まずこれを言わないことにするだけで、なんとなく「潔い感じ」がするのです。
マイクを持ったらまず「本日はこのような素敵な会にお招きいただき有難うございます」とか「本日は誠におめでとうございます」と爽やかに放ちます。その次に「私は〇〇の〇〇です」と自己紹介を。自己紹介は、今なぜここでマイクの前にいるのかを聞いている人が理解するための情報です。結婚式であれば「私は新郎〇〇くんが勤めます〇〇株式会社〇〇部の〇〇です」といった感じでリズミカルにシンプルに名乗るだけでいいということになります。
この始まり方を意識するだけで、そのあとはこれまで通り、あるいは、定型文のままであっても、聞く人の集中力が違うことを実感されるのではないかと思います。
この春、もしスピーチの機会があれば、ぜひ実践してみてください。