「縁起がいい」とは(2)
「縁起がいい」ものを選ぶことは自由で、縁起がいいものを選ばなかったから不幸になるということではないと思いますが、「縁起がいい」を生活に取り入れることで安心感を得たり、結婚や開業など新しいことを頑張ろうという節目には、慣習にならって「縁起のいい」ことを積極的に選んだりするというのがいまどきの「縁起」との付き合い方だと思います。
私はもともと「六輝」や「縁起」を気にするタイプです。物心ついたころから、たぶん誰かの影響というよりは、自分の性格に合っていたためだと思います。なので、気にしない人に対して、気にしたほうがいいとはとくに思いません。
ただ、ウエディングプランナーとして、新郎新婦やそのご家族がまだ「縁起とは」を知らず、いつか知った時に「どうして結婚式のときにそれを取り入れなかったんだろう」と思わせてはいけないと思っているので、伝え方については慎重にとらえています。

ある時期「海外の結婚式」や「外国人から見た日本の結婚式」について、勉強のために日本にいる60人の外国人にヒアリングをしたのですが、知ることが増えるほど、まだ知らないことがあまりに多いということを知りました。世界は広く、人々の暮らしは、気候や文化や宗教とともにあるということの奥深さに途方に暮れるような心境でした。
しかし、その中に Bad Luck という事柄がときどき登場して、簡単な言葉でしか理解することができない私には、その程度の情報が精一杯だったわけですが「それは花嫁のお母さんがすること」とか「新郎は当日まで見てはいけない」ということの答えは「Bad Luckだから」でした。
きっと、縁起(のようなこと)のために決まっている慣習ということなのでしょう。
欧米にも南米にも、アジアにも、そのようなことがあるのだと知りました。由来も解釈も歴史も違っても、感覚的に似たものが世界各地にあるということは、多様化する結婚式の在り方や、ウエディングプランナーとしての提案に大きなヒントと励ましになりました。

縁起がいいもの悪いものには、大正解はありません。
本人や周囲の人が信じ、理解することが最優先で、解釈は自由です。
「当て字」「こじ付け」「思い込み」の世界と言ってもいいでしょう。
でもそれらが、心のお守りになったり、意思表示になったり、未来に繋がるものになるのだとしたら、誰がそれを否定できるのでしょうか。
なにか大切な選択をするとき「一般的には」「昔から」という慣習を少し意識してみることで、新たな視点が得られたり、自信が持てたりするのは、とっても素敵なことだと思います。