自分史インタビュー
結婚式の「プロフィール紹介」「生い立ちムービー」の作成には、ほとんどの場合プランナーや司会者、ビデオ会社など第三者が新郎新婦の紹介をどのようにするかに関与します。私もその一人で、結婚式のプランニング全体のためにも、新郎新婦やそのご家族の歴史や人柄についてお話しいただくことには時間をかけるようにしています。
もともと結婚式は人と一緒でこそ一人前という性質があったので、ある程度の定型文に当てはめる美学がありましたが、今どきはその紹介もさまざまで、例えるなら実にカラフルです。密着ドキュメンタリーのテレビ番組も増えて、自分もそんなふうに「インタビューされたい」「記録を残したい」とおっしゃるご両親世代も増えているようです。
実際そのようなサービスや商品を購入するのも一興かと思いますが、ここではもう少し手軽なアイディアをご提案したいと思います。

一般的にはアンケート形式が多いと思いますが、好きなものや住んでいた地域などの羅列では、本人も忘れていることや気づかなかったようなことにまで話が及くことは難しく、インタビュー後の満足感が想像を超えることはなかなかありません。
この先またもっといい方法が見つかるかもしれませんが、今のところ最強だと思っている3つの質問が
・影響を受けた人は?
・家族親族で一番似ている人は?
・嬉しいことがあったとき伝えたいと思い浮かぶ人は?
です。

多くの場合、思い出は「人」に関連しています。そのため、人の話を聞くことで、その周りにある重要な場所やもの、エピソードを知ることができます。またそれによって、意外な面が見えることも多く、小さい頃の話が多い人や最近のことが多い人、話しながら本人がそれまで自覚していなかったことに気づいて驚く顔をしたりすることもあります。
質問は対面の場合は少し変えながら、例えば「お父さんとは似ているんですか?」とか、結婚するパートナーのほうに「〇〇さんは弟さんと似ていましたか?」と聞いてみたりすることもあります。自分では似ていないと思っても、周囲はそっくりだと言ったり、またそれを認めたり認めなかったり・・・というところにも、本人を知るヒントがあります。
「嬉しいことがあったとき」は、スポーツ選手に対して使われるフレーズですが、日常でも有効です。その答えとなった人については、たいてい話してくれます。親やパートナーや恩師である場合が多いと思いますが、「どんなふうに伝えたいですか」「伝えたら何て言ってくれると思いますか」と続いていくと、関係や受けた影響なども見えてきます。好きな人の話をしているときに出る「素」の表情も見逃せません。
自分で自分史や家族史を書く場合にも、まずは「人」に注目して、影響や似ているところの相関図を書き出してみると、コアなところを発見できるのではないかと思います。家族や付き合いの長い友人でも、ごくたまに初めて聞く話が混ざっていたりすると、びっくりしたり面白く感じたりしますよね。親しいほどなかなか聞く機会がないこともあるので、こういった「インタビューごっこ」をおうち時間の楽しみに加えていただいてはいかがでしょうか。