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結婚準備・スタート応援ガイド

ウエディングプランナー岡村奈奈さんによる結婚準備のアドバイスとコラム記事のアーカイブです。

新しい傘を買おう

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●ディスタンスの価値
小学生の集団登校で、雨も降っていないのに「傘」を持っている列がニュースで取り上げられていました。
傘を持つことで、児童一人ひとりの距離が保たれ、安全に整列して歩くことができるのだそうです。子どもたちの登下校は誘惑の多い時間ですから、1メートル離れて歩きなさいと言っても実際なかなか難しいことが想像できます。傘をさすことで、ぶつからない距離を自然と保つことできるというのは、なんと合理的で優しいアイディアなのかと感動しました。
これがお気に入りの傘なら、ちょっと嬉しい気持ちもプラスされますよね。素晴らしい価値を創造したと言えるのではないかと思います。

●熱中症対策の価値
小学生の登下校時のもう一つの目的に、日よけ(熱中症対策)があるそうです。マスクをすることで体温調節がうまくできず、熱中症のリスクが上がることを、この傘がカバーするというアイディア。パーフェクトな一石二鳥です。
私自身、実は昨年に初めて「日傘」を買いました。屋外で友人の日傘に入れてもらうようなことはありましたが、自分用のものは持っていませんでした。ご婦人の気取ったもののように思えて、自分が持つのはどこか恥ずかしいような気持ちがありました。荷物が増えることも積極的になれない理由となり、日焼けやシミの後戻りができないお年ごろになってから初めて買ったわけですが、こんなにも体感温度が変わるのかと驚きました。
「日陰を持ち歩く」という呼び方も常識だそうですね。知らなかったのは私だけだったのでしょうか。ご婦人のものとは時代錯誤。老若男女、子どもまで、もうとっくに日傘は日常的なアイテムとなっているのでした。

 

●サステナブルの価値
サステナブル(Sustainable)とは、sustain(持続する)とable(〜できる)からなる言葉。「持続可能な」「ずっと続けていける」という意味で、地球環境を保全しながら"持続が可能"な、産業や開発に取り組む社会活動のこととされています。ファッション用語という印象が強いですが、その活動や解釈はヨーロッパを中心にすでに新しい常識となりつつあるようです。
使い捨てされがちなビニール傘は輸入が大半で、今年国内で流通されているものが減ったという話がありました。ここしばらく外に出る機会が圧倒的に少ない私にはその実を確かめることはできませんでしたが、不要な外出を避けることで、急な雨のためにコンビニエンスストアで傘を買うような機会が減ったのは想像できます。そうして、使い捨ての傘を買ったり、どこかに置き忘れたりということが減れば、安心して「いい傘」を買うことができます。
「気に入ったものを長く持つ」当たり前のことが当たり前にできる環境を、思いがけないきっかけで取り戻すことができたのかもしれません。

以前は目的もなくふらりと商業施設に立ち寄ることが日常だった私たちにとって「目的もなく」「ふらり」ができない日々はやはりなかなか窮屈なものでした。久しぶりのデパートはなんとキラキラした世界なのだろうと、他のどの場所よりも感じたように思います。
今もこの先も、インターネットはますます便利になっていくし、目的もなくふらりと歩き回ることもまだ安全とは言えませんが、もし今の解放感で何かお買い物がしたいと言われたら、私は「デパートで傘を買うこと」をおすすめします。

気に入って選んだ「いいもの」が手元にあるというのは、やはりちょっと気分がいいものです。
高価である必要はありませんが、3年後も5年後も使い続けられるような、壊れにくくて飽きないようなものが見つけられるといいですよね。
雨と日光と感染の不安から守ってくれて、地球にもやさしいなんて。傘ってすごい!

(2020/08)

岡村奈奈 プロフィール

音大卒業後、専門式場などの婚礼施設勤務を経て2005年にフリーに転向。執筆・監修、メディア出演多数。オーソドックスなスタイルから、アウトドアや音楽ホール等でのユニークなウエディング、伝統的な和婚までオールマイティに対応。カウンセリング型のプロデュースに定評がある。
「ハッピーウエディングBOOK」(高橋書店)
「ウエディングプランナーが教える、結婚式と準備が”もっと”楽しくなる方法」(誠文堂新光社)
「結婚する子どものために 親がすること、できること」(日本文芸社)著者。
https://nanea.jp