ライドオン・新しい生活様式(5)合言葉
新しい時代、新しい生活様式、初めての種類の困難、初めて考えること、この半年に私たちは様々なことを経験しましたが、そこには「新しい言葉」もたくさんありました。
1ヶ月前には聞いたこともなかった言葉を日常的に発するようになり、ちょっとした言葉の進化で、その1ヶ月先にはもう違う呼び方をしていたり。
言葉というのは便利なもので、簡単に傷つけることも励ますこともできます。
「離れて!」と「ディスタンス!」とでは印象が異なるし、目新しかった「ソーシャルディスタンス」も言い慣れて、最近では「ソシャディ」(ソーシャルディスタンスの略)を上手に発音することを面白がったりしています。きっとすぐに、それも変わっていくのでしょう。

今も「リモート」中心の生活を続けている私は、この時期多く開催されている「ウェビナー」(WEB+セミナー=オンライン講義のこと)を毎日のように受講しています。情報収集したり、学ぶべきことが多い時期でもありますし、電車移動や約束時間まで行く先々のカフェで小刻みに時間調整するようなこともなくなって、時間がたっぷりあるので、家にいながら、様々なジャンルのエキスパートの話を聞いています。
話し慣れている立場の人は、専門分野の話題のほか、その伝え方や言葉選びのインパクトも絶大です。ウェビナーのタイトル、見出しの付け方、締めのメッセージにも惚れ惚れすることがあります。
素敵な、残る言葉や思いを届けてくれる人に共通するのは、目玉となるキャッチーな「合言葉」の存在です。
現代はSNSの画面に収まりのいい短い言葉が主流。略語の便利な使い方も同様ですが、真似したり繰り返してみたくなる言葉であるかどうかが良し悪しの基準と言えるのではないかと思います。

ちなみに、私の座右の銘は「ニコニコしてればいいじゃない。」です。岡本敏子さんがおっしゃったという考えの一部で、その意図とは少し違う解釈ですが、くよくよしたり、嫌みを言い返したくなるような場面でも、この言葉を思い出します。ニコニコしてやり過ごすと、のちに、くよくよして歩みを止めたり、嫌みを言ったりしなくてよかったなぁといつも思います。
また、仕事においては「明るく図々しく」を合言葉にしています。これは私のオリジナルです。例えば、結婚式の当日など、スタッフがそれぞれのタイミングで準備を進めていると「今、声をかけてもいいのかな」などと挨拶をしそびれたり、「素」のままでは、ウエディングプランナーが務まらないと思っているので「明るくて(感じのいい)図々しい人」になりきることで、
時には、相手を信用していないと思われてしまうのではないかというような「念のための確認」ができたり、すでに挨拶したかわからなくなってしまった人にその日2度目かもしれない挨拶をしたり、できるようになりました。
言葉によって動かされる現実というのが、他者に対しても自分に対してもあるのだと強く感じています。
たくましく生きるため、生き抜くために、今こそそんな「合言葉」があると力になるのではないかと思っています。