写真の価値を見つめよう
ステイホーム中、写真の整理をしたりアルバムを作成するサービスを利用する人が多かったという話を聞きました。
デジタルは永遠というイメージがありますが、CDRなど保管したものの劣化によって、中のデータが見られなくなったという話題にドキッとしたり、プリントするにもどこから手をつけたらいいかわからない量で途方に暮れたり、気持ちはあっても前に進まなかった・・・というのは私のことですが、同類の仲間も多いかもしれません。
結婚式は子どもの頃からの写真を見返す節目として貴重なチャンスです。
写真を通じて、育った環境、親の性格など、写っているもの以上に汲み取れる情報は多いですし、ほんの数年単位の世代の違いなども写真を見るとわかります。
ある時、担当したカップルの子どもの頃のアルバムが同じメーカーで同じデザインのものだったことがありました。ふたりは生まれ育った地域も全く異なり、年の差もありましたが、それぞれご実家から送ってもらったアルバムを持ち寄ってびっくり。
こんなことがあるのかと、思い出して今も震えますが、こんなミラクルが起こるのが結婚であり結婚式です。

私の体感では、2003〜2010年くらいが全盛だったように思いますが、背景がほとんど写っていないカップルの自撮り写真が結婚式のスライドショーに多く持ち込まれた時期がありました。当時は見る人たちも皆その時代の中にいましたから、とくに違和感はありませんでしたが、スマートフォンの機能拡大や自撮り棒の登場はカップルの写真文化にも大きな影響をもたらしたと感じました。
大画面に次々に映し出されるふたりのアップは、季節も背景もわかりませんが、強いて言えば、親密度に少し変化があるように見えたり、だんだん顔が似てきたように見えたりするのは、とくに好きなポイントでした。
写真や動画を歴史を刻む記録というふうに考えるなら、やはり案内板や石碑など場所の名前がわかるところや、季節感が見える服装や背景のある写真は、整理する時に大変便利です。
あるいは、なんでもない場所・・・例えば、家の玄関や公園などの「定点」撮影は、背が伸びたり髪型や体型が変わったことを比べるのにわかりやすく、そのコレクションは見る人を楽しませます。
写真とは、まさに未来へのプレゼント。
撮影した時と見る時と、時空を繋ぐものと言っても大げさではないのです。

先日仕事とプライベートの間のような場所でサプライズの企画をしたのですが、直前でこそこそと頼んで、プロのカメラマンに
記録撮影をお願いしたところ、最前線の右と左から動画を撮影してくれました。迫力に負けて、仕掛けた私が後退りするほどでしたが、動画には、プレゼントを渡す人と渡される人と両方の驚いたり喜んだりする表情がしっかり映っていて、当日気づかなかった瞳の潤みも発見することができました。
臆せずカメラを向けることの大切さ、残してもらうものの価値に、今さら改めて感動する経験となりました。
写真や動画を撮ったり消したりすることがまばたきほど簡単になった今でも、
記録の中の表情や、場所や季節の記憶というのは特別です。
変化の早い現代だから、何気ない景色や大切な人にまっすぐカメラを向けてみることが、きっと後にさらに価値を高めるかもしれません。