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結婚準備・スタート応援ガイド

ウエディングプランナー岡村奈奈さんによる結婚準備のアドバイスとコラム記事のアーカイブです。

忌み言葉とは(2)

  • 準備初期
  • 新生活
  • 記念日
  • 本人
  • ゲスト

先日、結婚式の司会者が集まる勉強会(オンライン)で講義をしました。
改めて考えてみると、言葉遣いに関する注意点は奥深く、個々の価値観や場によって求められることも非常に幅広いため、理想形を1つに決めるのはとても難しいことだと感じました。

普段から「超うれしい」「マジで美味しい」などという言葉遣いを禁じている司会スクールもあるようです。
マイクを持って話す立場にないウエディングプランナーも、お客様との打合せや結婚式に列席されるゲストの誘導時など、いつでもアドリブで「美しい言葉遣い」「感じのいい話し方」ができることは必須なので、求められるレベルは司会者と大きく違うことはないと思います。

私の考えはこうです。

「超うれしい」「マジで美味しい」は、お客様の前では言わないのではないか。
100歩では足りませんが、1000歩譲れば「超うれしい」「マジで美味しい」は言ってしまってもOKの範囲です。
丁寧な言葉であっても、相手を冷やかしたり否定したりするほうが大問題だと思います。

ネガティブな考えが漏れ出るたびに口を塞ぎ息を止めるのは苦行ですが、言葉は考えを変える力があるので、
日頃からポジティブな言葉を使うことで、水路が変わるようにネガティブなところを通らずに水が流れてくるようになるということはさまざまな場所で実験済みです。
「日頃から考え方を変換する訓練をする」というのが理想ですが、実際は難しいです。でも、週に1つか2つ「NGワード」を決めるような方法は案外カンタンです。

例えば「まずい」と言わないという"キャンペーン期間"を自分に科すと、これに集中できます。
美味しいものに、挑戦的な調味料を組み合わせてみるなど、積極的に「まずい」場面を作ると早いでしょう。
「まずい」より「おいしくない」のほうがマイルドな印象ですが、これも通用するのは家庭内や親しい間柄だけと考えるのが無難です。
「珍しい味」「今までに食べたものと違う味」「素材の味を一変させる存在感」と言った言い換えをすることで、まずいものが「自分本位の価値観」から抜け出ることがわかると思います。

自分の感想や価値観をストレートにぶつけるのではなく、それを聞いた人がどう思うか、その場に合った発言であるか、というフィルターがあることがポイントです。「まずい」と言われて悲しい人は「珍しい味ですね」と言われても悲しいでしょう。
だからと言って"察して"美味しいと言うのがいいというわけでもありませんが。

私はもともと言葉や言霊を意識するタイプでしたが、結婚式の仕事に就いて長くなり、メールや話し言葉に忌み言葉が登場するとドキッとします。
例えば「スルメとアタリメは別物だと思っていました」と言おうとするとき「別」という文字を意識して「同じものとは思っていませんでした」というふうに言い換えます。

失念するという言葉もビジネス用語でよく見かけますが「失」は使いたくないし、「うっかりしてしまい」というほうが素直で反省も感じられるように思います。張り切っては「張りきる」。ほんの少しの違いですが、こだわっています。

私も験担ぎするアスリートのように、結婚式が準備してきた以上の運に味方されることを祈ってやまないですし、この面倒くささが日々をカラフルにしているようにも思います。

(2020/12)

岡村奈奈 プロフィール

音大卒業後、専門式場などの婚礼施設勤務を経て2005年にフリーに転向。執筆・監修、メディア出演多数。オーソドックスなスタイルから、アウトドアや音楽ホール等でのユニークなウエディング、伝統的な和婚までオールマイティに対応。カウンセリング型のプロデュースに定評がある。
「ハッピーウエディングBOOK」(高橋書店)
「ウエディングプランナーが教える、結婚式と準備が”もっと”楽しくなる方法」(誠文堂新光社)
「結婚する子どものために 親がすること、できること」(日本文芸社)著者。
https://nanea.jp