忌み言葉とは(3)
結婚式のスピーチなどで言ってはいけない言葉(忌み言葉)と検索すると、数えきれないほどの情報が出てきます。
何十年も結婚式に関わっている人でなければ、聞いた人がいちいち「忌み言葉を言った!」と気づく確率は低いので、もしうっかり言ってしまっても、あまり気にせず言い直したりしないほうがいいと思います。
言ってはいけないと意識するほど言ってしまうという現象は、どういうわけかとても多いので、気にしすぎるのもよくないと思いますが、スピーチを頼まれたり、大切なことを伝えようというときに、どんな言葉やフレーズが適切なのか、調べてみようとすることはとても素敵なことだと思います。

結婚式では
・不吉なことを連想させる言葉(死・苦 など)
・別れや不幸につながるような言葉(分ける・終わる・切る・去る など)
がおもな忌み言葉です。
定型・定番であることより、言霊だとか、相手が言われて嬉しいと思うかどうか、ということを考えると自ずと選ばなくなるのではないかとも思います。
SNSなどにより、私たちの生活や会話はスピードアップしたと言われています。ポップスの曲ではイントロが短くなる変化が見え始めているのだとか。
短い言葉で迫力を持たせるために、よくない状況や機械の故障や不調を命に例えるなど過激な言葉で表現するケースことも珍しくありませんが、それ以外にも言い方があるということが頭の中の天秤に出てきたか出てこなかったか、この2つは大きな違いを持っていると思います。

例えば、携帯電話の不調は本人にとっては大事件です。SNSで広く通知することは返信できないことなどの理由や証拠としても有効ですが、例えばそれを命に例えたりする人は、なんとなく、本当の人や動物の命を大切にしてくれるのだろうかと懐疑的になり、勝手にガッカリするような気持ちを持ってしまうことがあります。それとこれとは違うものだとわかっていても、です。
「故障したので」と表現することをどうして選ばなかったのだろうと思ってしまうのです。
結婚式に関わる人の間、内側だけのことですが、そんな考え方、感じ方があるのです。
結婚式では披露宴の終わりを「お開き」と呼びます。「終わり」と呼ばないために「締め」と言ったりもします。
テレビのニュースや情報番組の終わりに「おしまいに」と言われるのも同義ですよね。同じこと、同じ意味でも、なんとなく響きが違ったり、そこに配慮が感じられることが日本語・日本の文化の素敵なところだと思います。
忌み言葉とは「言ってはいけない言葉」ではなく「避けたほうがいい言葉」です。
言葉をチョイスすること、言い換えがたくさんある素敵な文化を、面白がって上手に生かせるといいですよね。