ドメーヌ・グランのグラン家は、ジュラ地方において17世紀末からブドウ栽培に携わってきた古い家系。1985年に設備を拡大するため、現在のパスナン村に移り住んだといいます。当初ドメーヌの所有面積は23haあったが、複雑な血縁者の出入りによっては大きく変動した。2015年から現当主のエマニュエルとその妻ナタリーが10haの畑を運営しています。畑のほとんどは本拠地のパスナン村にありますが、シャトー・シャロンにも0.7haの畑を所有しています。グラン家はこれらの畑でジュラの伝統的な品種、サヴァニャン、シャルドネ、プルサール、トルソー、ピノ・ノワールを栽培。補酒したタイプのコート・デュ・ジュラのほか、補酒せず産膜酵母の張った状態で6年以上も熟成させたヴァン・ジョーヌ、ヴァン・ド・リクールのマクヴァン、陰干ししたブドウから造られるヴァン・ド・パイユ、それに発泡性のクレマン・デュ・ジュラなど幅広いワインを醸造しています。とくにクレマン・デュ・ジュラは、総生産量13から14万本というこのドメーヌにおいて、およそ5万本を占める重要なアイテム。ジュラワインに精通した人々の間ではとても評価が高い生産者です。今日、栽培から醸造まで、ドメーヌのワイン造りにあたっているのは、一見、シャイな雰囲気のエマニュエル・グランで、ドメーヌのブドウ栽培やワイン醸造の話になると、熱っぽく語り出します。ブドウ畑の栽培法はリュット・レゾネ。土壌は多様で、赤い色をした鉄分の多い泥灰土や白っぽい泥灰土などからなり、いずれの表土の下にも石灰岩の固い岩盤があります。前者には赤用のプルサール、後者には白用のサヴァニャンというように、それぞれの土壌に適した品種を植えています。シャトー・シャロンの畑は泥灰土に小石が混じった土壌で、これがサヴァニャンに独特のミネラル感をワインにもたらすといいます。2004年に完成した醸造施設はとても清潔で、サニテーションが行き届いています。赤ワインの醸造には温度調節機能のついたステンレスタンクを導入し、過剰な抽出感のないエレガントな仕上がりは、この醸造スタイルによるものでしょう。こちらのワインは、ウイヤージュ(補酒)するモダンなスタイル。Guille Bouton(ギーユ ブートン)は畑の名前です。