ワイナリーの設立は2004年。ワイナリー設立に先立って、2003年に元詰めを開始。この記録的に暑い年のワインには果実味に富むが深みに欠けるもの多い中、ジャンニのワインは素晴らしいバランス感とフィネスを備えており、フリウリ最高の生産者であるミアーニのエンツォ・ポントーニを驚かせた。ジャンニのワインに対する姿勢に共感したエンツォは畑の世話の仕方から細部へのこだわり等、自身が培った技術を手ほどきし、ロンク・ディ・ヴィーコの黎明期をバックアップした。ジャンニの畑が位置するのは、コッリ・オリエンターリ北部にある『フリウリのグランクリュ』のひとつポヴォレット地区のベッラゾイア周辺である。同じく『フリウリのグランクリュ』である温暖なブットリオ地区と比べると雨が多く、気温も平均して2-3度低い涼しい土地で、ブドウが完全に熟すには2週間以上長くかかることもある。さらにワインに香りをもたらす寒暖差もより大きく、独特のフローラルさやスパイシーさが備わる。また、シストや粘土、泥灰土が層をなす土壌からは、高いミネラル感とフレッシュさをワインにもたらす。フリウラーノやメルロはもちろん、晩熟なレフォスコに最適なテロワールだ。全体で20hl/ha以下という恐ろしい低収量のため総生産本数は限られており、ヘクタールあたりに換算するとわずか千本余りとブルゴーニュ最高のワイナリーと比べても少ない。2007年のヴェロネッリ誌では初登場で高い評価を受け、甘口のマテッチは『最も感動したワイン』に贈られるイル・ソーレを獲得。コッリ・オリエンターリ北部のエレガンスを体現したワインはワイン・アドヴォケイトなど専門各誌で注目を集めている。ロンク・ディ・ヴィーコの基本となる赤のキュヴェ。ラズベリー、アメリカンチェリー、スミレのフローラルな香りをカカオやグリルしたハーブのヒントが引き立てる。口いっぱいに広がる凝縮した果実とともに姿を現すしっかりとした酸と豊富で細かなタンニン。滑らかな質感を持つしなやかなスタイルで、長い余韻が楽しめる。