スピーチの季節(2)話の構成のコツ
前のコラムで「話し始めのコツ」について書きましたが、祝辞も朝礼など日常の挨拶も基本的な「構成」は同じで、いわゆる「起・承・転・結」(4部構成)あるいは「序論・本論・結論」(3部構成)を意識するとよいとされています。
話したいことを軸にして考えると長くなってしまうものなので、構成の枠を先に決めて、そこにエピソードを当てはめていくほうが聞き手にやさしいスピーチへの近道と言えるでしょう。
多くの場合、結婚式や式典などでのスピーチは複数人が登壇しますから、じっくりと聞かせるというよりは、やはり「その立場に合った話」が求められます。

結婚式(披露宴)で例えると、構成はこのようになります。
1.「おめでとう」
2. 自己紹介
3. 具体的なエピソードで褒める
4. これからもよろしく
話し始めのポイントは、リズム感と潔いような第一印象を演出すること。まずマイクを持ったら、マイクチェックなどをしないで「本日は誠におめでとうございます」とか「本日はこのような華やかな席にお招きいただき有難うございます」から始めます。「私は〇〇さんと同じ〇〇支社で勤務しております〇〇です」などシンプルな自己紹介まで一息で、テンポよく。
詳しい役職や、〜〜させていただいております、というような「もうちょっと言いたい」ことは、グッとこらえるのがおすすめです。

「招かれた場」ならば、求められるスピーチとは「その場にいる人に関係ある話」だと理解するのが無難だと思います。ここでは披露宴を例にしていますので「新郎新婦に関係ある話」が求められていて、一般的な「夫婦とは」「結婚とは」という話ではないということです。(もし、話し手が評論家など特別に博学な人物であることが周知のことであるならば例外ですが。)
もし職場の関係ならば新郎(または新婦)の職場でのこと、もし学生時代の仲間ならば学生時代のことを、話すことが求められています。「具体的なエピソードで褒める」というお題であると考えれば、きっとスピーチはもっと考えやすくなると思いますし、聞きやすくなると思います。
着地点は、そんな新郎(または新婦)だから、これからも応援しているよ、そんな新婦(または新郎)だから、これからの二人を見守っていくのが楽しみだ、というところへ。「これからもよろしく」「末長くお幸せに」で締める自然な構成です。
求められたことを意識しすぎることや、過剰に褒めたり、褒めるところがないのに嘘をついたりするようにと推奨するものではありませんが、きっと「マイクを向けられた意味」がわかれば、スピーチはもっと身近で楽しいものになるのではないかと思います。
得意な人はどうかそのままで。ニガテだなぁという人には、こんな方法もあるのかと一つのアイディアにしていただけたら嬉しいです。