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結婚準備・スタート応援ガイド

ウエディングプランナー岡村奈奈さんによる結婚準備のアドバイスとコラム記事のアーカイブです。

結婚式「自粛」するしない問題(1)

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試練と言うにはあまりにツラい問題を、突きつけられています。
新型コロナウイルスの感染拡大で、結婚式や披露宴の延期や中止を検討するカップルが急増していることについて。

昨年10月の台風の時にも、私たちの想定や規約の範囲を越えた様々な対応、判断、決断をしなければいけない経験をしました。
この時の結婚式を春に延期したカップルも大勢いるとか。
そしてまた今、ブライダル業界としても前例のない、初めての対応、判断、決断が求められています。
正解のない、難しい問題です。

まず、前置きしたいのは、
「アンラッキーなことと思わないようにしましょう」ということです。
結婚式が思った日に思ったようにできなくても、ふたりに不幸が取り憑いたとか躓いたと思わないようにしましょう、ということです。

これは試練ではないし、ふたりへのメッセージではないということです。
周りの人も、雨降って地固まるとかなんとか余計なことは言わないようにしてください。それとこれとは違います。

励まし合って、気を確かに持って、冷静に考えましょう。

もし延期や中止が視野に飛び込んできたら・・・

1)ふたりだけで考えることに時間はかけない
自然災害などに比べて、感覚的なところの大きな問題です。
両家の親、親友など「自分たち以外の、信頼できる人(少数)に」意見を聞いてみましょう。
知らない人や一般論に惑わされないこと。多くの人には聞かないこと。これがポイントです。

言われた通りにしなければいけないわけではありませんが
「ふたりが選んだ信頼できる人」という前提で意見を聞いたわけですから、
決行することも延期や中止をすることも「ひどい!」とか「わかってない!」などと言わずに
素直に受けとめて参考にしましょう。

2)状況を正しく把握する
感情で決断することは難しいことです。
結婚する本人たちや、信頼する人の意見が全員ぴったり合うこともほとんどないでしょう。
状況とは、おもに会場などの契約やお金のこと。
答えを決める前、できるだけ早くに会場に連絡しましょう。
・キャンセル料がかかるか、いつからどのくらいキャンセル料が発生するか?
・延期の場合にキャンセル料がかからないか、延期の場合にスライドできる費用とできない費用はどうなるか?
・延期の場合、時期や日程がどのくらい選べるか?
・現時点で支払った実費(繰り越すことができない金額、返ってこない金額=招待状などの印刷費、試食会の食事代など)
などを担当者に聞いてみましょう。

一般的に「キャンセル料」などは、結婚式からさかのぼって何日前まで何パーセント、と日が近づくほど増える契約になっています。
今日と5日後で金額が変わらないのであれば、あと5日間ゆっくり考えられますし、今日と明日とで何十万円も支払い額が変わることもあるので、まずはそれを把握すること。
契約書を見ればわかるところも、迷っている意思を伝えたり、可能性があることを伝えることで、会場側の人員確保など対応にもゆとりが生まれる場合があります。
キャンセル料を免除してくれたり・・・ということも散見されますので、期待できないこともないかもしれません。
ただし、良心的な価格設定で、サービスのクオリティを保っている会場ほど、丸ごとサービスするようなことがしづらい懐事情も理解したいような、それでもお願いしたいような・・・

3)最大の譲れないポイントを1つ決める
信頼する人の意見と、お金や契約の状況から「する・しない」が見えてきたら
ゼッタイ省略しないほうがいいのが、このステップ。
結婚するふたり本人で1つ「〇〇のためにする(しない)」というような、
譲れないポイントを確かめ合うことです。
ここに時間はかけないほうがいいので、なるべくスピーディにお願いします。

例えば、
「せっかく悩んで選んだ大切な人たちに集まってもらえないなら(しない)」とか
「多額のキャンセル料を支払ってまで諦めたくない(から、する)」とか
「いま結婚式をしなければ、ふたりの節目が始まらないから(する)」とか
どんなことでもいいと思うのですが、「揺らがない決め手」をふたりが声に出して確かめ合うことがとても大事です。

どちらを決断しても、当初に思い描いた通りにはいかないかもしれません。
招待した人数のうち、もしかしたら半分も出席してもらえないかもしれない、
出席してくれた中からも「本当は中止にしてほしかった」という悲しい声が聞こえてくるかもしれません。
中止にしたけど、同じように迷っても決行した人がいて「できるんじゃん!」と羨ましく感じるかもしれません。

でも、する(しない)と決めたことを、どちらかのせいにしないで決めることと、ベストな決断だったと思い続けることができることのために、必要な手順ではないかと思っています。

 

≫「する・しない」を決めたら・・・ 結婚式「自粛」するしない問題(2)

(2020/04)

岡村奈奈 プロフィール

音大卒業後、専門式場などの婚礼施設勤務を経て2005年にフリーに転向。執筆・監修、メディア出演多数。オーソドックスなスタイルから、アウトドアや音楽ホール等でのユニークなウエディング、伝統的な和婚までオールマイティに対応。カウンセリング型のプロデュースに定評がある。
「ハッピーウエディングBOOK」(高橋書店)
「ウエディングプランナーが教える、結婚式と準備が”もっと”楽しくなる方法」(誠文堂新光社)
「結婚する子どものために 親がすること、できること」(日本文芸社)著者。
https://nanea.jp