東急百貨店90周年ver

渋谷 東急フードショー

営業情報
  1. 東急百貨店
  2. 渋谷 東急フードショー
  3. コラム一覧
  4. ワインコラム

Wine Columnワイン コラム

  • 伴良美のオススメ!

酒神バッカスを描いた 新生ブルゴーニュ ルイ・ジャド コトー・ブルギニョン ブラン2018

ラベルが語るワイン物語

CDやDVDにジャケ買い、という言葉があるように、ワインもラベルが奇麗なものや、興味深いデザインのものには、つい手がのびてしまいます。実際にワインのラベルは、ワインの歴史やエピソードを伝えるものが多く、そこにはさまざまな情報や物語が隠れています。ラベルのささやきを聞きながらワインを飲めば、いっそう美味しく楽しく感じられることでしょう。

1859年創業の長い歴史をもち、ブルゴーニュを代表する生産者ルイ・ジャド。お酒の神様バッカスを描いたラベルでも有名ですね。高価なグラン・ヴァンが多いルイ・ジャドですが、近年若い世代に手軽な価格でブルゴーニュの魅力を味わってほしいと「コトー・ブルギニョン」のワインをリリース。この秋売り場に新入荷の白ワインは、ブルゴーニュらしい豊かなミネラルと清冽な酸が感じられ、牡蠣やサーモンなど秋の味覚にもぴったりです。

自社畑のほとんどがグラン・クリュとプルミエ・クリュ

写真:多くの人に葡萄栽培と醸造を広めたギリシア神話で有名な神様バッカス。
ワインのラベルにはルイ・ジャドのシンボルである酒神バッカスが描かれ、その下には「COTEAUX BOURGUIGNONS(コトー・ブルギニョン)」のワイン名がしっかりと記されています。

バッカスはギリシア神話ではディオニソスと呼ばれ、ゼウスと王女セメレーの息子。ゼウスの正妻ヘラの嫉妬から遠ざけるためにニンフに預けて養育され、成長すると葡萄栽培とワイン醸造の技術を生み出し、世界中に広めた神話があります。

ワインの生産者であるルイ・ジャドは、大手ネゴシアンであるとともに、ブルゴーニュに270haもの自社畑を所有する大ドメーヌ。その中でも“黄金の丘”といわれ、特に傑出したワインを生むコートドール地区には70haもの畑を所有。そのほとんどが、グラン・クリュ(特級格付け)とプルミエ・クリュ(一級格付け)で占められる偉大なドメーヌです。

有機栽培を実践し自然環境を保護 2019年には最高位レベル3を獲得

写真:有機栽培を行うグランクリュの畑。醸造は最先端の技術を導入する。
さらに、こうした素晴らしい畑を守るため、約20年以上も前から化学肥料や農薬の使用を排除した有機栽培を実践。2019年にはHVE(High Environmental Value 環境価値重視認定)の最高位であるレベル3を取得しています。

長年自然環境を守りながら高品質な葡萄栽培を行ってきたルイ・ジャドですが、近年ではコートドール地区の地価高騰も相まって、ワインの多くは希少で高価です。そこで2012年より、若い世代にもブルゴーニュの魅力を広く知ってほしいと、手軽な価格で楽しむことができるワインをリリース。それがこの「コトー・ブルギニョン」なのです。

ブレンドの妙を生かした新生ブルゴーニュ

写真:コトー・ブルギニョンはブルゴーニュ全域で栽培する種類豊かな葡萄をブレンドできる。
コトー・ブルギニョンは、INOA(国立原産地・品質研究所)により国家認定されたブルゴーニュで最も新しいAOCワイン。北はシャブリから南はボージョレまで、ブルゴーニュ全域6地区で造ることができます。白・ロゼ・赤があり、白はシャルドネ、アリゴテ、ピノ・グリ、ピノ・ブラン。赤はピノ・ノワール以外にガメイのブレンドも許されています。

使う品種の割合にも規定がないためブレンドの妙を楽しめ、作柄の良かった産地の葡萄を使える利点があります。そのため自由度も高く親しみやすく、かつ高品質でコスパにも優れたワイン。ブルゴーニュワインの入門としても、多くの方に楽しんでいただきたいワインです。

ルイ・ジャド ラベル全てにバッカスを描く理由は?

写真:ルイ・ジャド夫妻が散歩の途中に見つけて譲り受け、同社のシンボルマークとなったバッカスの石彫
最後に、ルイ・ジャドのワインに描かれているバッカスの逸話をお伝えしましょう。ルイ・ジャドのバッカスは、石に彫刻されており、葡萄の王冠をかぶった愛らしい少年です。

実はこの石彫は、設立者ルイ・アンリ・ドゥニ・ジャドが妻と一緒にボーヌの村を散歩していたとき、ある家の軒先に無造作に置いてあるのを発見したもの。表情の愛らしさから思わず譲り受け、やがてワインのラベルに描く様になりました。今でも同社のワイナリーにはその石彫が大切に飾られているそうです。

全てのワインに同等の価値と熱意を込めて

写真:ルイ・ジャドの社長の画像:ルイ・ジャドの現社長ピエール・アンリ・ガジェさん
たくさんの畑を所有し、多くのワインを造り続けてきたルイ・ジャドですが、すべてのワインにこのバッカスを描いている理由を、現社長は次のように語っています。

「それは、高価なグラン・クリュからコトー・ブルギニョンのようなシンプルなAOCワインまで、私たちは畑の格付けや価格に関係なく、すべてのワインに同等の価値を置き、同等の熱意を注いでいます。どのワインも自分の子供のように大切で可愛い。ラベルを通して、こうした気持ちをたくさんの方々に知っていただけたらうれしいですね」

渋谷 東急フードショーのおすすめ

ルイ・ジャド コトー・ブルギニョン ブラン 2018
(750ml) 1,980円

生産者:ルイ・ジャド
生産地:フランス・ブルゴーニュ地方
葡萄品種:シャルドネ、アリゴテ
タイプ:白・辛口 フレッシュな酸とふくよかな果実味

ブルゴーニュ全域から厳選されたシャルドネとアリゴテを使用し、巧みなブレンド技術によって生み出された白ワイン。ブルゴーニュのなかでも、作柄の良かった地区や畑を厳選するため、自由度が高く高品質でコスパに優れたワイン。味わいは。爽やかな酸味が心地よく、生き生きとしたエネルギーが感じられ、フレッシュなヘーゼルナッツ、白い花、白胡椒のニュアンスもあり、アロマティックな余韻が長く続く。白身魚のグリル、レモンをかけたカキフライ、サーモンときのこのソテー、ホタテのカルパッチョ、フライドチキンにも合い、お料理との合わせやすさも魅力です。

著者近影

伴 良美(ばん・よしみ)

ライター&ワインエキスパート。映画、食、旅を中心に執筆。ワインと食の情報誌「ヴィノテーク」、北海道新聞、岐阜新聞などの取材記者としても活躍。世界の銘醸地や映画の舞台を訪ねた連載コラムに、フジサンケイビジネスアイ「世界銘酒紀行」「名画の舞台」のほか「男と女 名画とお酒」「シネマの名言」などがある。