東急百貨店90周年ver

渋谷 東急フードショー

営業情報
  1. 東急百貨店
  2. 渋谷 東急フードショー
  3. コラム一覧
  4. ワインコラム

Wine Columnワイン コラム

  • 伴良美のオススメ!

日本人醸造家小山竜宇さんが造る
ニュージーランド ピノ・ノワールの傑作
コヤマ・ウィリアムス・ヴィンヤード・ピノ・ノワール2012

ラベルが語るワイン物語

CDやDVDにはジャケ買い、という言葉があるように、ワインもラベルが奇麗なものや、興味深いデザインのものには、つい手がのびてしまいます。実際にワインのラベルは、ワインの歴史や興味深いエピソードを伝えるものが多く、そこにはさまざまな情報や物語が隠れています。ラベルのささやきを聞きながらワインを飲めば、いっそう美味しく楽しく感じられることでしょう。

尾っぽを天に向けて舞うパワフルな竜のラベル

近年、多くの日本人が海外でワイン造りに携わり、目覚しい活躍を果たしています。今回はその中でも、ピノ・ノワールの名醸地ニュージーランドで、溢れる才能と地道な努力によってチャンスをつかんだ「小山竜宇(こやま・たかひろ)」さんのワインをご紹介しましょう。
ラベルには、コヤマ・ワイパラ・ワインズのワイナリー名を示す「KOYAMA」の文字。そして名前「竜宇」に由来する竜の姿がラベルいっぱいにデザインされています。尾っぽを天に向けて力強く舞う姿は、見る者を思わず元気にさせる魅力に溢れています。

地道な努力と溢れる才能 世界各地で技術を磨く

小山さんはいつお会いしても、優しい笑顔と穏やかな口調で語りかけてくださる、陽だまりのような人。2003年、「海外で物づくりをする仕事につきたい、ワインを造りたい」という思いから、ニュージーランドに渡り、国立リンカー大学で葡萄栽培と醸造を学びます。
在学中から勉強のために、プレミアムワイナリーであるマウントフォードで働き、その後、イタリアやドイツ、カルフォルニアのオーボン・クリマなどで経験を積み、大学卒業後2007年にアシスタント・ワインメーカーとして、正式にマウントフォードに就職。ニュージーランドのテロワールを表現すべく、葡萄栽培とワイン造りの技術に磨きをかけてゆきます。

夢の実現は最優良畑ウィリアムス・ヴィンヤードで

そして2009年、小山さんは、自らのワインをリリースする夢を果たします。
素晴らしいワインは、素晴らしい葡萄から生まれるもの。彼が葡萄を購入したいと選んだ畑は、ニュージーランドで最も新しく、かつ急成長を続けるワイン産地「ワイパラ」のウィリアムス・ヴィンヤードでした。南島のクライストチャーチの街から車で約50分。雨が少なく乾燥し、穏やかな日照が長く続く、ピノ・ノワールの名醸地であり、石灰岩粘土質土壌が広がる最優良畑です。この畑の中でも小山さんが買入する葡萄の区画は、特に素晴らしく、多くのワイナリーが欲しがる人気の高さ。引く手あまたの区画にも関わらず葡萄を得られたのは、ヴィンヤード・マネージャーのグエン氏が、かつて日本でラクビーを教えていて非常に親日的であったこと、そして何よりも、小山さんのワイン造りに対する真摯な姿勢と才能を認めたことにありました。

繊細な果実味とエレガンス 誠実な人柄が表れるワイン

2009年からリリースする「ウィリアムス・ヴィンヤード・ピノ・ノワール」は、ニュージーランドでも約2%しかないという、ピノ・ノワール栽培に最も適した石灰質土壌から生まれ、他の産地には見られない繊細さや優雅さを備えています。優雅な花のような香りとベリーのアロマ。畑の特徴とポテンシャルを最大限に引き出すため、全房比率を高め、自然酵母で発酵。清澄、ろ過はせずに、葡萄のピュアで繊細な風味をそのまま封じ込めています。

また、小山さんは白ワインである『タソックテラス・ヴィンヤード・リースリング』(東急フードショーで取り扱い 3,672円)もリリースしています。畑はワイパラ・ヴァレーの谷底に位置し、土壌はグレイシアソイルと呼ばれる氷河の堆積によって形成された、水はけのよい砂利質土壌。シトラス、マンダリンオレンジ、蜂蜜などの芳香を大切にするため、低温でゆっくりと時間をかけて発酵します。

いずれも、ニュージーランドの傑出した畑の素晴らしさを生かしながら、小山さんの誠実な人柄、溢れる才能、内に秘めた情熱が表現されたワイン。さらに私たちが誇りに思う、日本人の繊細な感性としなやかさを感じさせる素晴らしいワインです。

東急フードショーのおすすめ

コヤマ・ウィリアムス・ヴィンヤード・ピノ・ノワール2012
6,480円

生産者:コヤマ・ワイパラ・ワインズ
生産地:ニュージーランド ワイパラ・ヴァレー
葡萄品種:ピノ・ノワール100%
タイプ:赤 ミディアムボディ
輸入元:ヴィレッジ・セラーズ

ワイパラの名門ワイナリー・マウントフォードでアシスタント・ワインメーカーとして、栽培・醸造に長年携わってきた小山氏が造る、ピノ・ノワールの傑作。地道な努力と溢れる才能、そして誠実な人柄がもたらす素晴らしいワインです。花のような香りとベリーのアロマ、ほのかに甘く新鮮なプラムの風味も広がり、きめ細かいシルキーなタンニンと美しくフレッシュな酸が感じられます。繊細でエレガント、ブルゴーニュのピノ・ノワールがお好きな方にも、ぜひ飲んで頂きたいワインです。子羊の香草ロースト、ブフ・ブルギニヨン、牛肉の赤ワイン煮、赤身肉のステーキ、ニュージーランド・ビーフなどとお楽しみください。

著者近影

伴 良美(ばん・よしみ)

ライター&ワインエキスパート。映画、食、旅を中心に執筆。ワインと食の情報誌「ヴィノテーク」、北海道新聞、岐阜新聞などの取材記者としても活躍。世界の銘醸地や映画の舞台を訪ねた連載コラムに、フジサンケイビジネスアイ「世界銘酒紀行」「名画の舞台」のほか「男と女 名画とお酒」「シネマの名言」などがある。