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Wine Columnワイン コラム

  • 伴良美のオススメ!

優雅なバランスを追求したカリフォルニアの新潮流ワイン
リオコ・シャルドネ・エステロ・ラシアン・リヴァー・ヴァレー2012
リオコ・ピノ・ノワール・ラグーナ・ソノマ・コースト2012

ラベルが語るワイン物語

CDやDVDにはジャケ買い、という言葉があるように、ワインもラベルが奇麗なものや、興味深いデザインのものには、つい手がのびてしまいます。実際にワインのラベルは、ワインの歴史やエピソードを伝えるものが多く、そこにはさまざまな情報や物語が隠れています。ラベルのささやきを聞きながらワインを飲めば、いっそう美味しく楽しく感じられることでしょう。

世界的にも注目されるトレンドワイン

6月は初夏の訪れにふさわしい、爽やかで優雅なバランスをもつカリフォルニアの新潮流ワイン「リオコ」をご紹介しましょう。カリフォルニアワインというと、これまでは樽をしっかり使い、アルコール度が高く濃厚な果実味や豊かなタンニンを備えたスタイルが主流ともいえました。しかし近年では濃さや強さではなく、葡萄本来の美しい酸とピュアな果実味を生かしたワインがトレンドとなり、世界的にも注目を集めています。

リオコもこうした新潮流ワインのひとつ。素晴らしいワインは素晴らしい畑から生まれることを信念とし、ワインは濃さや強さではなく品とバランスが大切であると考え、料理を引き立てる素直な美味しさを信条としています。

リオコの言葉の意味は二人のオーナーの名前

ラベルに描かれているワイナリー名「LIOCO リオコ」は、二人のオーナーの苗字、マット・リクライダーMatt LICKLIDERと、ケヴィン・オコナーKevin O’CONNERを組み合わせたもの。マットはイタリアやフランスワインのインポーターとして経験が深く、ケヴィンはスパゴ・ビバリーヒルズのワイン・ディレクターを務めていました。

「カリフォルニアで本当の意味で、テロワールを表現したワインを造ることができるだろうか」と長年議論を戦わせてきた親友同士が、2005年にワイナリーを創業。シャルドネとピノ・ノワールを中心に、ノースコースト、ソノマ・コースト、ソノマ(ルシアン・リヴァー・ヴァレー)の葡萄から、テロワールを表現したピュアでバランスに優れたワインを造り上げています。

バランスを追求する生産者団体「IPOB」に所属

さらに特筆すべきは、リオコは世界的にも注目を集める「IPOB(In Pursuit of Balance)」のカリフォルニアワインの生産者団体に所属していること。直訳で「バランスの追求」を意味する通り、カリフォルニアのピノ・ノワールとシャルドネにおける優れたバランスを追求するワイン生産者団体です。この団体に参加するためには、年に一度、評論家やソムリエ、ワインメーカーや流通業者による、完全ブラインド・テイスティングでの審査が必要で「バランスがあるかどうか」の一点に絞って選定されます。

現在33のワイナリーの参加が認められ、「酸が美しい」「アルコール度数が高すぎない」「濃すぎない」といったバランスの良さ、そして、テロワール(畑の土壌、地勢、気候)を生かしたワイン造りを大切にしています。

社訓は「土の語りをワインで聞く」優れた土壌を写しとったラベル

リオコもこうした信条をもち、「土の語りをワインで聞く」ことを社訓としています。今年4月にIPOBの活動のために来日したオーナーの一人マット・リクライダーさんは、「素晴らしいワインには、『土壌、気候、地勢』といった土地の個性が反映されています。私たちも土地の個性を豊かに表現したワイン造りを目指しています」と語りました。

こうしたことからも、リオコのワインには、葡萄畑の土壌を写し取ったラベルが描かれています。マットさんは「例えばシャルドネ・エステロ・ラシアン・リヴァー・ヴァレーのワインは“ゴールド・リッジ”といわれる、柔らかい砂と堆積物が混ざった白っぽい土壌から生まれ、葡萄を均等に熟させリッチな果実味をもたらします。この土壌をペーパーで写し取ってラベルにしてみました。ラベルの色は、ワインの風味をイメージしたもの。エステロは黄色いプラムやレモンの香りをもち、フレッシュな酸とミネラルを感じるワインなので、ラベルも爽やかなイエローカラーにしたのです」と笑顔で語ります。


食事を引き立てる美味しさ 和食にもピッタリ

東急百貨店フードショーでは、シャルドネとピノ・ノワールを合わせて3本のリオコのワインをご用意しています(輸入元:中川ワイン)。 フレッシュな酸とフィネスを備え、エレガントなバランスを追求したリオコは、これからの季節にふさわしいワイン。食事との汎用性も非常に高く、和洋中華エスニックとどんなお料理も引き立てます。中でも和食とは好相性。季節の魚貝類、ミネラル豊かな夏野菜、鯛などの白身魚、地鶏や鴨、鰻やアナゴなどと合わせて、この夏ぜひお楽しみいただきたいワインです。

東急フードショーのおすすめ

シャルドネ・ソノマ・カウンティ 2012
(750ml)3,024円

生産地:カリフォルニア ソノマ・カウンティ
葡萄品種:シャルドネ
味わい:白辛口
輸入元:中川ワイン

有機栽培や減農薬栽培に取り組む畑から生まれたこのワインは、リッチな果実味としっかりとした酸とのバランスに優れた味わいです。葡萄は厳しい選果を行い、ピュアな果実味を生かすために優しくプレスし85%をステンレスタンクで発酵・熟成。残り15%は、偉大な醸造家ディディエ・ダグノーが使っていた樽メーカーの、数年使った500ℓの樽で熟成。それによって樽が強すぎない、まろやかな厚みのワインに仕上げています。レモンの砂糖漬けやルビー・グレープ・フルーツのニュアンスを備え、果実と酸とミネラルのバランスに優れたワインです。チキンの生姜焼き、海老やカニなどの甲殻類などと好相性。

シャルドネ・エステロ・ラシアン・リヴァー・ヴァレー 2012
(750ml)4,644円

生産地:カリフォルニア ラシアン・リヴァー・ヴァレー
葡萄品種:シャルドネ
味わい:白辛口
輸入元:中川ワイン

ワイン名のエステロはスペイン語で「河口」という意味。ラシアン・リヴァーの河口から流れ込む冷たい霧の影響を受けて朝晩は冷涼でありながら、昼は温かく、大きな寒暖の差によって、柔らかな果実味と美しい酸を備えたワインが生まれます。ラシアン・リヴァー・ヴァレーの4つの区画から好みのクローンを厳選、樹齢が高く、土壌の特徴がよく出た自然栽培の葡萄から造られます。このワインが生まれる土壌の多くは、「ゴールド・リッジ」といわれる、柔らかい砂と堆積物が混ざった白っぽい土壌で、適度な保水性をもち、均等に熟すリッチな葡萄を育みます。そのためワインには、オレンジの風味や穏やかなミネラルのアロマ、黄色いプラムやアーモンドの皮のニュアンス、ふくよかでピュアな果実味と優しい酸が感じられます。白身魚やホタテの刺身、サーモンを使ったサラダや料理、ローストチキンなどの鶏肉料理に。

ピノ・ノワール・ラグーナ・ソノマ・コースト 2012
(750ml)4,860円

生産地:カリフォルニア ソノマ・コースト
葡萄品種:ピノ・ノワール
味わい:赤辛口 ミディアム・ボディ
輸入元:中川ワイン

ソノマ・コーストは、昼間は太陽が豊かに降り注ぎますが、夜間は非常に涼しいことから、葡萄は過熟にならず、美しい酸とのバランスに優れたワインが生まれます。ソノマ・コーストのいくつかの区画から、ヴィンテージによって優れた葡萄をセレクト。2012年はラグーナ・デ・サンタ・ローザの畑の葡萄を厳選したため、「ラグーナ」の名前がつけられました。特に2012年は素晴らしいヴィンテージ。冷涼な気候で育ったピノ・ノワールらしいきれいな酸と、良年ならではの生き生きとした果実味が全体を包み、チェリー、ブラックラズベリー、紅茶、カルダモンなど、複雑性のある優雅な香りを醸し出しています。イタリア料理全般、鶏や豚肉などの白身のお肉、鴨、うなぎ、などによく合います。

著者近影

伴 良美(ばん・よしみ)

ライター&ワインエキスパート。映画、食、旅を中心に執筆。ワインと食の情報誌「ヴィノテーク」、北海道新聞、岐阜新聞などの取材記者としても活躍。世界の銘醸地や映画の舞台を訪ねた連載コラムに、フジサンケイビジネスアイ「世界銘酒紀行」「名画の舞台」のほか「男と女 名画とお酒」「シネマの名言」などがある。