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Wine Columnワイン コラム

  • 伴良美のオススメ!

夏が近づく季節に フレッシュなロゼワイン
サンセール・レ・ヴィロ・ロゼ2014

ラベルが語るワイン物語

CDやDVDにはジャケ買い、という言葉があるように、ワインもラベルが奇麗なものや、興味深いデザインのものには、つい手がのびてしまいます。実際にワインのラベルは、ワインの歴史やエピソードを伝えるものが多く、そこにはさまざまな情報や物語が隠れています。ラベルのささやきを聞きながらワインを飲めば、いっそう美味しく楽しく感じられることでしょう。

ロゼワインは季節の風物詩

淡いピンクの色調で、ロマンティックな雰囲気をかもし出してくれるロゼワイン。今回は、夏が近づく季節にふさわしい、ロゼワインの魅力についてお話ししましょう。

フランスでは春から初夏になると、カフェやレストランには一斉にロゼワインが並び、その様子は季節の風物詩ともいえます。若い世代でワインを飲む人が減少しているフランスですが、ロゼワインの人気は別格。赤ワインよりも味わいが軽やか、白ワインより色彩が豊かなロゼの人気は、近年急上昇しています。

チェリーローズ、サーモンピンク 美しく多彩な色調を楽しもう

ロゼワインの魅力の第一はその美しい色彩。ひとことにロゼといっても、多彩な色調があります。白や赤ワインの色の表現が5、6種類であるのに対し、ロゼワインは淡いピンクから赤に近い色調まで、20種類以上もの色の表現があるといわれます。

例えば、ローズピンク、ラズベリーピンク、サーモンピンク、淡いルビーカラー、チェリーローズなど、美しさがすぐにイメージできるロゼカラー。その一方でフランス定番の表現には、「玉ねぎの薄皮、ヤマウズラの目、天使の内腿」など日本人の感性とは異なる、ユニークな表現もあって面白いですね。ロゼワインを造る醸造家もその色調に大きなこだわりを持ち、「このロゼ色素敵ね!」とほめるととても嬉しそう。さらに「うちのロゼは海に沈む夕陽のようだろ!」とか熱く語る人もいて、みな自分が醸し出すロゼ色に誇りをもっています。

世界中で生まれる“大人のロゼワイン”

さて、ロゼワインといえば、プロヴァンスやラングドックなど南仏が有名産地。またロゼは甘口の印象もありますが、近年では、世界中のワイン産地で、ドライで洗練された“大人のロゼワイン”が多く造られています。

今年6月には日本、フランス、スペイン、ポルトガル、オーストラリア、ギリシャ、スイス、レバノン、など世界中の素晴らしいロゼワイン42種類が集結。一般のワイン愛好家に向けて、LOVE ROSÉ事務局主催のロゼワインパーティが開催されました。そこには美しい色調に加え、味わいも多彩で個性豊かなロゼワインがずらり。カジュアルに楽しむ軽やかなタイプから、しっかりとした味わいのグルメ志向のガストロノミーのロゼまで。用賀の「工房花屋」にてお料理と供に、美しい花色とワインのロゼ色を比較しながら楽しみました。

料理と広く寄り添う 地中海料理 中華やエスニックにも

ロゼワインの魅力のふたつめは、多くの料理とよく寄り添う味わいの優しさ。生ハムやサラダ、サンドイッチなどの軽食に。ミネラルが豊かで渋みが少ないことから、天ぷら、お寿司、お刺身などの和食、新鮮な魚介を使った地中海料理に。さらに優しい甘さとフレッシュな酸が辛さを和らげるため、中華料理やエスニック料理に。またフルーツやスィーツと一緒に、午後のティータイムに軽くいただくのもおしゃれですね。

ロゼワインの魅力の三つめは、ラベルが個性豊かでユニークなものが多く、さらにボトルの表面からその美しい色合いが眺められ、それによって味わいの想像がつくことです。淡い色彩のロゼの多くは味わいが繊細で酸がとてもフレッシュ、アペリティフや魚介料理によく合います。濃い色調のロゼは果実味が豊かでしっかりとした味わいが多く、トマトを使った煮込み料理や肉料理にもよく合い、これからの季節はよく冷やしてバーベキューにもいいですね。


ロゼワインを満月に映して楽しむ

さてロゼ色は、カラーセラピーでは女性らしさや母性を引き出し、愛情や優しさをもたらす色。また心身をパワーアップさせる色ともいわれます。さらに欧米では「ロゼワインに満月を映して飲み干すと、願いが叶う」というロマンティックな言い伝えもあります。その真相は定かどうかはわかりませんが、ワイン造りと月の満ち欠けは関係があるといわれ、月の動きに従って農作業をしたり、ワインを瓶詰めしたりする生産者もいます。色彩の美しさと共に月からのエネルギーをもらえそうな気持になり、ちょっと試してみたくなるお話ですね。

東急フードショーのワイン売り場でも個性豊かなロゼワインをご用意しています。これから暑さが増す季節、フレッシュで果実味豊か、美しい色彩に癒されるロゼワインを、ぜひお楽しみくださいね。

(取材協力:LOVE ROSÉ事務局 http://www.love-rose.org/)

東急フードショーのおすすめ

サンセール・レ・ヴィロ・ロゼ2014
(750ml)2,376円


生産者:ジャン・ルヴェルディ・エ・フィス
生産地:フランス ロワール地方
葡萄品種:ピノ・ノワール100%

タイプ:ロゼ・辛口 世界遺産の古城で有名なロワール地方のピノ・ノワール100%のロゼワイン。淡くチャーミングな「サーモンピンク」の色調、繊細な果実のアロマとミネラルのフレーバー、フレッシュで生き生きとした酸を備えた素晴らしいワインです。1650年代からキンメリジャンの牡蠣化石を含んだ白い大地“テール・ブランシュ”で、ピノ・ノワールを栽培してきた歴史をもつワイナリー。12haの畑を15区画に分け、区画に適した葡萄品種を厳選し栽培。このロゼはピノ・ノワールをダイレクトに圧搾し、葡萄の自然な色調をそのまま表現しています。

ココファームワイナリー こころぜ2013
(750ml)1,700円


生産地:日本 足利市
葡萄品種:マスカット・ベリーA 100%
タイプ:ロゼ・ほのかな甘さ

栃木県足利市のこころみ学園のココファームワイナリーが誇るロゼワイン。こころみ学園では知的障害をもつ生徒さんたちが、化学肥料や除草剤を使用しない自然農法で素晴らしい葡萄を栽培しています。彼らが造る卓越したワインは世界的にも知られ、いくつかはJALの国際線ファーストクラスで採用され、日本が誇る実力派ワイナリーです。葡萄畑には美しいバラの花が植えられ、害虫から葡萄を守り、その花色を思わせる「鮮やかなローズカラー」の美しいロゼワイン。ラズベリーや野イチゴを感じさせる優しい甘みと酸味との心地よいバランス。どなたにも飲みやすいチャーミングな魅力で、和食は勿論、エビチリや生春巻きや酢豚などの中華料理や、香辛料を効かせたエスニック料理ともよく合います。

モンテス・シェラブ・ロゼ・オブ・シラー2015
(750ml)2,052円


生産地:チリ ラペルヴァレー
葡萄品種:シラー100%
タイプ:辛口・ライトボディ

ワインスペクター誌にて87ポイントを獲得し、おすすめのロゼワインに選出。チリを代表するワインメーカー“モンテス社”が手掛ける、バランスに優れたフルーティなロゼワインです。シラーの葡萄品種100%のため、色調が濃く「情熱的なピンク色」。ストロベリーやオレンジピール、シラー由来のややスパイシーなピンクペッパーなどの香りが感じられます。鶏肉のスパイス焼きや香草焼き、鶏のトマトソース煮込み、カツレツやステーキなど肉料理とも好相性。ちなみにモンテス社のワインラベルにはさまざまな天使の絵が描かれていますが、これはオーナーが事故で生死をさまよったとき、夢に天使が現れて手を握ってくれた瞬間に意識が戻ったことに由来。それ以来ラベルに天使を描くようになりました。

著者近影

伴 良美(ばん・よしみ)

ライター&ワインエキスパート。映画、食、旅を中心に執筆。ワインと食の情報誌「ヴィノテーク」、北海道新聞、岐阜新聞などの取材記者としても活躍。世界の銘醸地や映画の舞台を訪ねた連載コラムに、フジサンケイビジネスアイ「世界銘酒紀行」「名画の舞台」のほか「男と女 名画とお酒」「シネマの名言」などがある。