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おいしいと噂のスイーツギフト6選!

映画『魔女の宅急便』が教えてくれること。「この町が好きです」と言えるまでの、おいしいごほうび

映画に出てくる料理が気になって、観終わった後に食べたくなることありませんか? そんな“おいしい寄り道”をしたくなる映画をピックアップするコラム、第2回は『魔女の宅急便』を紹介します。

INDEX

  1. どんな映画?
  2. 食べ物で感じるキキの心情の変化
  3. 北欧を感じさせる街並みと名物料理の“おいしいミックス”
  4. 新しい場所で、自分らしい暮らしと仕事を見つけて
  5. 作品について

どんな映画?

「おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。」というキャッチコピーで有名なアニメ『魔女の宅急便』。1989年7月29日に公開され、2026年6月には4Kデジタルリマスター版が劇場公開されるなど、世代を超えて愛される不朽の名作です。
魔女の家系に生まれたキキは、13歳になったら独り立ちするというしきたりに従い、母のほうきと黒猫のジジ、父から譲り受けたラジオを相棒に親元を離れます。大きな時計台がある海辺の街「コリコ」に住むことに決めたキキは、空飛ぶ能力を生かして「魔女の宅急便」を開業。生まれ育った田舎町との違いに戸惑いながら、個性豊かな街の人々との交流を通して、成長していきます。
オープニングに「ルージュの伝言」、エンディングテーマに「やさしさに包まれたなら」と荒井由実(松任谷由実)の楽曲が使われているのも印象的。角野栄子による児童文学『魔女の宅急便』を原作として、宮崎駿監督率いるスタジオジブリが制作しました。

食べ物で感じるキキの心情の変化

キキが下宿させてもらうことになったのは、明るいおソノさんと無口なご主人で切り盛りする「グーチョキパン店」の離れの小屋。店番や手伝いをすることを条件に朝食付きで住まわせてもらう、いわば住み込みのバイトですね。食パンやライ麦パン、クリーム入りのパンやバゲットなどなど、お店に並ぶ数々のパンがおいしそうなのはもちろん、劇中にはいくつか印象深い料理が登場します。

なかでも多くの方の心に残っているのが、キキが嵐の日に届けることになった「ニシンとかぼちゃのパイ」ではないでしょうか? お屋敷に住む素敵なマダムから、孫娘の誕生日会のために届け物をと依頼が入りますが、電気オーブンの調子が悪くてパイが焼きあがらず、キキは薪を使った窯で焼くことを提案。運ぶ頃には大雨になり、キキはパイが冷めないようにワンピースの中に入れて必死でほうきを操縦。なのに届け先の孫娘から「だから、いらないって言ったのに。あたし、このパイきらいなのよね」と、祖母への恨み節を聞かされてしまいます。空を飛ぶという魔女ならではの(キキにとっては唯一の)能力を使って、「人の役に立つ仕事ができている」と感じ始めていたキキは、この件で大きな挫折を味わうことになります。

雨でずぶ濡れになったキキは風邪をひき、心配したおソノさんがつくってくれるのが、あったかい「ミルク粥」。そして、快復したキキがつくる普段の節約ごはんが「ホットケーキ」です。バターをのせたホットケーキにはソーセージが添えられ、キキ用にはプチトマト、黒猫のジジ用にはチーズがセットになっています。ここで「ニャー」としか鳴かないジジに気づいたキキは魔力が弱まっていることを知って焦り、自分を取り戻そうと奮闘する後半の展開へとつながります。

北欧を感じさせる街並みと名物料理の“おいしいミックス”

キキが魔女修業の場所に決めた「コリコ」は、高台がある港町で、大きな時計台に噴水があり、石畳の街には中世の城壁が残り、レンガ造りの建物にオレンジ色やブルーの屋根が立ち並び……と、北欧を感じさせる風景です。実際にスタジオジブリが、コリコの町を描くのに「おおいに参考にした」として公式サイトに掲載しているのは、スウェーデンの首都・ストックホルムの旧市街(ガムラスタン)の裏通りと、同じくスウェーデン南東部、バルト海に浮かぶゴットランド島のヴィスビー。さらに劇場パンフレットによると、宮崎監督はアイルランドでもロケハンをしているそうで、いくつかのヨーロッパの都市や風景が織り交ぜられているのだそう。

先ほど紹介した料理もミックスルーツで、「ニシンとかぼちゃのパイ」は、イギリスのコーンウォール地方に伝わる郷土料理「スターゲイジー・パイ」や、スウェーデンのフィッシュ・グラタンを参考にしているのではないかと言われています。「ミルク粥」は、オートミールを牛乳で煮たイギリスの朝食「ポリッジ」をイメージさせますし、ホットケーキとソーセージの組み合わせはアメリカの朝食風。

街並みも料理も、“おいしいところ”を取り込んで調和させることができるのがアニメーションの特権であり、ファンがあれこれ想像できる余地があって楽しいですよね。

新しい場所で、自分らしい暮らしと仕事を見つけて

思春期の入り口に立った少女が魔女として自立し、「コリコ」の町に受け入れられるまでを描いた本作。キキがピンチに陥ったときにさりげなく助けてくれる“メンター”のような存在が、森の中に住む絵描きのウルスラです。
「魔女の血か……いいね。私、そういうの好きよ。魔女の血、絵描きの血、パン職人の血。神様か誰かがくれた力なんだよね。おかげで苦労もするけどさ」
魔女が呪文ではなく「血で飛ぶ」と知ったウルスラの言葉は、持って生まれた才能や家系、そして自分の強みを生かせる天職と出会えることの喜びと、その大変さをキキに伝えています。一方、もしやりたいこと、好きなこと、突出した才能がなくても、 “自分に合っている仕事”を見つけられたら、それだけで毎日が愛おしくなる。現代に生きる私たちに、そんなメッセージを伝えてくれているような気がします。

それぞれの場所で今日をがんばった自分へのごほうびに、映画に出てくるような食べ物を探してみるのはいかがですか? キキと仲良くなりたい男の子・トンボが買う、パン屋のレジ横にあるドライフルーツ入りのビスコット、孫娘にパイを届けてくれたお礼にと老婦人が焼いてくれたチョコレートケーキ、そしてグーチョキパン店に並ぶような焼きたてのパン。

「おちこむこともあるけれど、私、この町が好きです」――物語のラスト、そう両親に報告するキキのように、自分が働く町、暮らす町が少し愛おしくなる。明日を新しく始めるためのおいしいごほうびを、ぜひ見つけに行ってみてください。

作品について

『魔女の宅急便』
原作:角野栄子
プロデューサー・脚本・監督:宮﨑 駿
音楽:久石 譲
音楽演出:高畑 勲
主題歌:荒井由実
声の出演:高山みなみ 佐久間レイ 山口勝平 加藤治子 戸田恵子
© 1989 Eiko Kadono/Hayao Miyazaki/Studio Ghibli, N

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