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食育のヒント 3月 甘酒

甘酒はどうして甘い?

ここ数年甘酒に注目が集まっていますが、「米麹で作る甘酒は砂糖は入っていないんですよ。」と言うと驚く方も少なくありません。「あんなに甘いのに?」と。
 
甘酒と呼ばれるものには大きく2種類あり、酒粕で作るものと米麹から作るものがあります。酒粕から作るものは熱湯で溶いて砂糖を加え混ぜたらすぐに飲める手軽さが魅力。体も温まります。ただ、アルコール分が多少なりとも含まれるので注意も必要です。こちらが「砂糖が入っている」甘酒。 
米麹から作る甘酒の原料は、最もベーシックには米麹と水のみ。ただこれには麹に力があることが必要とは麹作り名人から聞いたこと(さらに言えば、専門家によると米麹の甘酒作りにも数種あるのだそうですが、そこは省略)。 

一般的にはお粥を炊いて米麹と合わせて55~60度を超えないくらいの温度で8~10時間ほどおくと出来上がりとするレシピが多いのですが、甘酒ができる原理を考えてみたら、お粥を炊く必要はないのでは?と思いました。 
甘酒は砂糖を入れないのになぜ甘いのか。それは、麹に含まれるアミラーゼという酵素が米に含まれるでんぷん質を分解してブドウ糖にしてくれるから。カラダの中でやるべきことを口に入れる前に麹がやってくれてしまっているわけです。消化の負担が減りますね。55~60度を保つのはアミラーゼが働きやすい温度帯だから。
この原理がわかれば「甘み控えめの甘酒を作りたい」と思ったらお米の量を減らせばいいこともわかります。先に書いた「米麹と水のみ」の作り方は、米麹に含まれるアミラーゼが分解するのが自身に含まれるでんぷん質だけなのですっきりしあがるのです。自家製だからこそそんなコントロールもできます。 

そんなわけで、お粥の代わりに冷やご飯とお湯で作ってみたら、同じように美味しく甘酒を作ることができました。これは簡単! 
甘酒と言うと冬のイメージを持つ人も多いのですが、実は夏の季語。江戸時代には通年販売する店もありましたが、甘酒売りが「甘酒~」と言いながら売って歩いたのは夏。「飲む点滴」とも言われる栄養豊富な甘酒は夏バテに効くとされていたそうです。冬だけの楽しみにするのはもったいない。ぜひ好みの自家製甘酒を作ってみてくださいね。飲むだけでなく料理に甘みを加えるためにも使えますよ!

#162 甘酒
材料(2人分)

米麹100g(味噌作りなどに使う麹)
冷やご飯200g
水700cc

作り方

1. 保存する容器に湯(分量外)を入れるなどして温めておく。

2. 冷やご飯と水を鍋に入れて60度程度に温め、火から下ろす。

3. 米麹を2に加え入れ、混ぜる。

4. 保存容器に3を入れたら55度~60度の温度を保ち、8~10時間置く。

※保存容器例:炊飯器の保温キーで蓋を開けて調節、魔法瓶や水筒、スロークッカーの弱設定で蓋を開けて(私はこれです)、ヨーグルトメーカーで温度設定をして、鍋ごと発泡スチロールの箱に入れて温度管理(ペットボトルにお湯を入れたものを一緒に入れておくなどして)
※冷めたら冷蔵庫に保管して1週間程度のうちに飲みきってください。

サカイ 優佳子

サステナブル料理研究家/一般社団法人DRYandPEACE代表理事
外資系金融機関等に勤務の後、娘のアトピーをきっかけに食の活動を開始。海外での豊富な食体験をベースにレシピを開発する。2002年から、あえて栄養学に触れず、五感で感じること、食から社会を見ることを重視する食育ワークショップ「食の探偵団」を主宰。08年からは田んぼを残したいと米粉の普及に尽力。11年から食品ロス削減にもなり、冷蔵庫に頼らず、輸送の際のCO2も削減できる乾物は未来食との想いから、乾物の普及につとめる。2013年から乾物を使ったカレーを食べることで内モンゴルの砂漠緑化に繋げる乾物ドライカレーパンプロジェクト及び乾物カレーの日をプロデュース。「レシピをみないでささっと料理ができる」、「毎日の料理が楽しくなる」家庭料理全般のパーソナルトレーニングをオンラインで実施して好評を得ている。

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