食育のヒント 11月 混ぜて焼くだけの米粉バナナケーキ
米粉バナナケーキに舌鼓を打ちながら考えた
数年前に読んだ「世界からバナナがなくなる前に 食糧危機に立ち向かう科学者たち」という本で、バナナが絶滅の危機に瀕していることを知りました。
1950~60年代に主流だったグロス・ミシェルという品種のバナナは、パナマ病によって全滅してしまいました。土の中にいるカビの一種を吸うことで、バナナの木全体が枯れてしまったのです。パナマ病に強かったために、今や輸出バナナの95%を占めるまでになったのが、キャベンディッシュ種。日本で食べられているバナナはまずこれと考えて良いでしょう。
ところが、2015年ごろから新パナマ病(TR4)と呼ばれる病気がキャベンディッシュ種を襲い、フィリピンでは栽培面積の2割ほどの農園が感染。2019年には南米への上陸も確認されて、絶滅の危機が懸念されています。
生物学者の福岡伸一氏によれば、「バナナは品種改良の結果、種がなくなったため、株分けで栽培する。その結果、同じ品種のバナナは、どれも同じ遺伝子を持つため、特定の病原体に感染しやすくなってしまった」のだそうです。
さらには、多くのバナナ農園は効率を重視して単一栽培をおこなっており、病気があっという間に広まる原因になってもいます。
バナナは、種がないことで交配による品種改良が難しいため、遺伝子組み換えやゲノム編集によって、新パナマ病に強い品種を作り出す研究が続けられています。
安価に手に入る果物というイメージのバナナ。こんなケーキもそう簡単に作れなくなってしまうのでしょうか? 親から「バナナは昔は高級品だったんだよ」と聞かされたのを思い出しています。
#218 混ぜて焼くだけの米粉バナナケーキ
材料 (パウンド型1台分)
皮に斑点が出るまでよく熟したバナナ 3本
卵 2個
米粉 160g
バター 60g
砂糖 70g
バニラエッセンス 数滴
ベーキングパウダー 小さじ1
作り方
全ての材料をフードプロセッサーにかけて滑らかにしたら、パウンド型に流し入れ、180度に予熱したオーブンで45分ほど焼く。
サカイ 優佳子
サステナブル料理研究家/一般社団法人DRYandPEACE代表理事
外資系金融機関等に勤務の後、娘のアトピーをきっかけに食の活動を開始。海外での豊富な食体験をベースにレシピを開発する。2002年から、あえて栄養学に触れず、五感で感じること、食から社会を見ることを重視する食育ワークショップ「食の探偵団」を主宰。08年からは田んぼを残したいと米粉の普及に尽力。11年から食品ロス削減にもなり、冷蔵庫に頼らず、輸送の際のCO2も削減できる乾物は未来食との想いから、乾物の普及につとめる。2013年から乾物を使ったカレーを食べることで内モンゴルの砂漠緑化に繋げる乾物ドライカレーパンプロジェクト及び乾物カレーの日をプロデュース。「レシピをみないでささっと料理ができる」、「毎日の料理が楽しくなる」家庭料理全般のパーソナルトレーニングをオンラインで実施して好評を得ている。
関連リンク
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サカイ優佳子の 楽しく 美味しく 未来を創る
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著書
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「超快腸!ドライマンゴーをヨーグルトでもどすだけ!!」
(主婦の友社) -
「乾物マジックレシピ」
(山と渓谷社) -
「毎日食べたい乾物ヨーグルトレシピ決定版」
(世界文化社) -
「ヨーグルトでもどす魔法の乾物レシピ 」(主婦の友生活シリーズ)
DRYandPEACE・佐藤 秀美 監修(主婦の友社) -
「乾物Every Day」
サカイ優佳子・田平恵美 共著(コモンズ刊)
-
「米粉食堂へようこそ」
サカイ優佳子・田平恵美 共著(コモンズ刊)
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「いそがしママの楽しい食卓レシピ」
サカイ優佳子著(サンマーク出版)
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「感じる食育 楽しい食育」
サカイ優佳子・田平恵美 共著(コモンズ刊)
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「世界の料理」
サカイ優佳子・田平恵美 共著(ポプラディア情報館)
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「しぜんをたべよう!げんきなカラダをつくるたべものたち」
サカイ優佳子他 監修(農山漁村文化協会) -
「米粉ランチ―パスタに、チヂミに、どんぶりになる米粉のレシピ40」
サカイ優佳子・田平恵美 共著(農山漁村文化協会)