食育のヒント 1月 シンプルほたてご飯
シンプルな料理の味わいを言葉にしてみる
甘味、塩味、酸味、苦味、そして旨味で、五味といいます。
東京医科歯科大学の植木正之准教授が、埼玉県内の小学校1年生から中学3年生まで349人の子どもたちを対象に旨味をのぞく4つの味について調査を行ったところ、いずれかの味覚がわからない子が3割にのぼったといいます。
この結果がNHKのニュースで流れた時には、「子どもたちが味覚異常を起こしているのでは?」といった声も多くきかれました。どんな方法で調査を行ったかがわからないので何ともいえませんが、このことだけから、その3割の子がすべて味覚異常を起こしているとは直接結論づけることはできません。
今食べている味をなんと表現していいのかがわからない。たとえば、苦味という感覚がどんなものかがわからない。つまり感覚と言葉とが結びついていないケースも、この例の中にはあるのではないかと思うのです。1年生などではとくに。
主宰している食育ワークショップ「食の探偵団」では、五感で感じることと、感じたことを言葉で表すことを重視しているのですが、幼い子たちを対象とする場合、感覚と言葉がうまく結びついていないなと感じる時が往々にしてあります。
「これがしょっぱいっていうことなんだ。」「この味を苦いっていうんだ。」ということを子どもたちが認識していくためには、ともに同じものを味わって「苦いでしょ」とか「しょっぱい!」と言葉を発する人がそばにいることが必要になります。それによってはじめて感覚と言葉とが一致してくるわけです。
大人になった今は理解していても、渋いとか、えぐみがあるとか、痺れる(山椒をイメージしてください)などの感覚は、初めて経験した時にはどう表現していいかわからなかったはずです。
シンプルな料理を作って、その味わいを言葉にすること。
それもまた、とても大事な食育だと考えています。
食卓での声がけをぜひ!
#136 シンプルほたてご飯
材料
米 2合
刺身用ほたて 10個(200g程度)
昆布水(水に昆布をつけて一晩おいたもの)
酒 大さじ1/2
塩 少々
作り方
1. 研いだ米を昆布水と酒で普通より気持ち少なめに水加減したら、ほたてを加えて普通に炊き上げる。
2. 食べる時に塩少々をふる。
※好みで生姜の千切りや山椒の葉を散らしたり、柚子を絞ったりしても美味
サカイ 優佳子
サステナブル料理研究家/一般社団法人DRYandPEACE代表理事
外資系金融機関等に勤務の後、娘のアトピーをきっかけに食の活動を開始。海外での豊富な食体験をベースにレシピを開発する。2002年から、あえて栄養学に触れず、五感で感じること、食から社会を見ることを重視する食育ワークショップ「食の探偵団」を主宰。08年からは田んぼを残したいと米粉の普及に尽力。11年から食品ロス削減にもなり、冷蔵庫に頼らず、輸送の際のCO2も削減できる乾物は未来食との想いから、乾物の普及につとめる。2013年から乾物を使ったカレーを食べることで内モンゴルの砂漠緑化に繋げる乾物ドライカレーパンプロジェクト及び乾物カレーの日をプロデュース。「レシピをみないでささっと料理ができる」、「毎日の料理が楽しくなる」家庭料理全般のパーソナルトレーニングをオンラインで実施して好評を得ている。
関連リンク
サカイ優佳子のホームページなどはこちら
(https://profu.link/u/yukakosakai)
サカイ優佳子の 楽しく 美味しく 未来を創る
(https://www.reservestock.jp/subscribe/113493)
著書
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「超快腸!ドライマンゴーをヨーグルトでもどすだけ!!」
(主婦の友社) -
「乾物マジックレシピ」
(山と渓谷社) -
「毎日食べたい乾物ヨーグルトレシピ決定版」
(世界文化社) -
「ヨーグルトでもどす魔法の乾物レシピ 」(主婦の友生活シリーズ)
DRYandPEACE・佐藤 秀美 監修(主婦の友社) -
「乾物Every Day」
サカイ優佳子・田平恵美 共著(コモンズ刊)
-
「米粉食堂へようこそ」
サカイ優佳子・田平恵美 共著(コモンズ刊)
-
「いそがしママの楽しい食卓レシピ」
サカイ優佳子著(サンマーク出版)
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「感じる食育 楽しい食育」
サカイ優佳子・田平恵美 共著(コモンズ刊)
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「世界の料理」
サカイ優佳子・田平恵美 共著(ポプラディア情報館)
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「しぜんをたべよう!げんきなカラダをつくるたべものたち」
サカイ優佳子他 監修(農山漁村文化協会) -
「米粉ランチ―パスタに、チヂミに、どんぶりになる米粉のレシピ40」
サカイ優佳子・田平恵美 共著(農山漁村文化協会)