食育のヒント 5月 トマトのシンプルオーブン焼き
野菜をシンプルに
ローマでは5月1日はそら豆の日とされ、若採りの生のそら豆をペコリーノ・ロマーノという羊のチーズとあわせて食べる習慣があります。あたたかくなってくると、とにかくシンプルに、生野菜や茹でただけの野菜を食べたい!という欲求が高まるのがカラダの自然なのかもしれません。とくに味付けはせず、塩茹でするだけ、サラダのドレッシングも極力シンプルに。そんな一食の後は、なんとなくカラダが軽くなるように感じます。
10年以上前のことになりますが、ある料理本に衝撃を受けました。「野菜1個のイタリアン」。シェフ、山田宏巳氏の本でした。当時、農業にたずさわる人や農家民宿、農家レストランを営む人たちからの「お悩み」をレシピで解決するという連載を持っていました。それに応えるために、できるだけたくさんのレシピに触れておこうと書店や図書館でさまざまなレシピ本を読みあさっていた時、他とは一線を画すこの本に出会ったのでした。
焼く、揚げる、茹でる。素材がもつ味わい、香り、触感を活かすために、調理法も使う調味料も極限までシンプルにしていながらセンスを感じさせるこの感覚はなんだろう?作ってみたいと思わせる力はどこにあるのだろう?手間や時間をかけなくても作れるカラダとココロが喜ぶ料理があるという確信は、どこかで私の料理に対する姿勢を変えたように思います。
毎週、旬の野菜をおまかせで届けてもらえるサービスを利用していると、季節の移り変わりを感じます。ここしばらく入ってきはじめたのが、トマト。生のまま食べるにはまだあまり甘みや味の濃さは期待できませんが、火を通すと、ぐっと味わいが深くなります。そんな時に作る定番はコレ。薄切りにしたトマトをオーブンでじっくり火入れすることによってその旨味を引き出します。塩胡椒すらしなくてもおいしい。そのままパンにのせてもいいし、肉や魚のソテーのソースとしても使えます。好みでバジルを散らしても。
旬の素材をシンプルに食べること。それは食の原点を確認する作業でもあるように感じられるのです。
プラスを重ねることによる美味、削ぎ落としていくことによる美味。どちらも楽しみたい。そう改めて感じるこの頃なのでした。
#140 トマトのシンプルオーブン焼き
材料
トマト(中) 3個
オリーブオイル 大さじ1
好みで塩、胡椒
作り方
1. トマトは5mm厚さの薄切りにして耐熱皿に並べる。
2. オリーブオイルをかけまわし、180度に予熱したオーブンで30分焼く。
3. 好みで塩、胡椒する。
サカイ 優佳子
サステナブル料理研究家/一般社団法人DRYandPEACE代表理事
外資系金融機関等に勤務の後、娘のアトピーをきっかけに食の活動を開始。海外での豊富な食体験をベースにレシピを開発する。2002年から、あえて栄養学に触れず、五感で感じること、食から社会を見ることを重視する食育ワークショップ「食の探偵団」を主宰。08年からは田んぼを残したいと米粉の普及に尽力。11年から食品ロス削減にもなり、冷蔵庫に頼らず、輸送の際のCO2も削減できる乾物は未来食との想いから、乾物の普及につとめる。2013年から乾物を使ったカレーを食べることで内モンゴルの砂漠緑化に繋げる乾物ドライカレーパンプロジェクト及び乾物カレーの日をプロデュース。「レシピをみないでささっと料理ができる」、「毎日の料理が楽しくなる」家庭料理全般のパーソナルトレーニングをオンラインで実施して好評を得ている。
関連リンク
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(https://profu.link/u/yukakosakai)
サカイ優佳子の 楽しく 美味しく 未来を創る
(https://www.reservestock.jp/subscribe/113493)
著書
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「超快腸!ドライマンゴーをヨーグルトでもどすだけ!!」
(主婦の友社) -
「乾物マジックレシピ」
(山と渓谷社) -
「毎日食べたい乾物ヨーグルトレシピ決定版」
(世界文化社) -
「ヨーグルトでもどす魔法の乾物レシピ 」(主婦の友生活シリーズ)
DRYandPEACE・佐藤 秀美 監修(主婦の友社) -
「乾物Every Day」
サカイ優佳子・田平恵美 共著(コモンズ刊)
-
「米粉食堂へようこそ」
サカイ優佳子・田平恵美 共著(コモンズ刊)
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「いそがしママの楽しい食卓レシピ」
サカイ優佳子著(サンマーク出版)
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「感じる食育 楽しい食育」
サカイ優佳子・田平恵美 共著(コモンズ刊)
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「世界の料理」
サカイ優佳子・田平恵美 共著(ポプラディア情報館)
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「しぜんをたべよう!げんきなカラダをつくるたべものたち」
サカイ優佳子他 監修(農山漁村文化協会) -
「米粉ランチ―パスタに、チヂミに、どんぶりになる米粉のレシピ40」
サカイ優佳子・田平恵美 共著(農山漁村文化協会)