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食育のヒント 1月 シンプル芹鍋

芹鍋の季節

自分が住む地域では当たり前と思っていても、実はその他の地域の人にはあまり知られていないご当地食材、ご当地料理といったものが、これだけ情報が溢れる現代の日本においても、まだあります。

たとえば、山形の広い地域で食べられている「なす干し」。一般的にはなすのヘタをとって薄切りにし、水に晒してアクを抜いてから干した保存食。そのまま味噌汁に入れるなどして日常の料理に使われています。なす自体は全国で食べられているのに、なす干しは地域限定。山形の人にそう話すと驚かれることも多いのです。

たけのこを茹でてから乾物にした干したけのこも、九州の人たちにとっては馴染みのある乾物でも、他の地域ではほとんど作られていません。たけのこがとれる地域は他にいくらでもあるのに。

数年前に晩秋の仙台に仕事ででかけた際に「芹鍋の季節」といった表示をいくつか見つけました。「芹鍋ってどんなお鍋なのですか?」と地元の人にきいたところ、鶏肉か鴨肉を使った鍋で、山になるほどたっぷりと芹を入れて、それも根ごと入れて食べるのだと教えてもらいました。鍋の具のひとつとして、芹は好んで使ってきましたが、山になるほどたっぷりとはまた、、。

芹鍋もまた、仙台という大都市で冬の風物詩のように好まれているようでありながら、関東ではあまり見ることがありません。

先日、近くの店で芹がたくさん売られていたのを見て思いつき、私流芹鍋を作ってみることにしました。それもできるだけ余分な要素をそぎ落としてシンプルに。

材料は昆布、鶏むね肉、たっぷりの根つきの芹。味付けは塩のみで潔く。芹の香りがすっとたち、根のかすかな苦味、茎のしゃきシャキシャキした食感、昆布と鶏の旨味から、塩だけで味が自然に調いました。

UMAMI=旨味を愛する日本人に生まれてよかった、と思わず上をむいて息を吸い込んでしまうようなおいしさ。

仙台にはその後も何度か訪れる機会があったのですが、いずれも芹鍋の旬を外れており、未だ食しておらず。本場の芹鍋に思いを馳せながら、私流シンプル芹鍋、この冬、何度か我が家の食卓に登場しそうな予感です。

#148 シンプル芹鍋
材料(2人分)

昆布 10cm角1枚
鶏むね肉 200g
芹(根つき) 4束
塩 適量

作り方

1. 昆布を1リットルほどの水に浸けて、冷蔵庫でできれば8時間ほどおいてじっくり旨味を出す。

2. 鶏むね肉は7mm程度の薄切りにする。

3. 芹は根の部分をよく洗い、5cm長さに切る。

4. 1を土鍋に移して火にかけ、沸騰したら2を加える。

5. 4に火が通りかけたら3を加え蓋をして数分、芹がしんなりしたら塩で調味する。

サカイ 優佳子

サステナブル料理研究家/一般社団法人DRYandPEACE代表理事
外資系金融機関等に勤務の後、娘のアトピーをきっかけに食の活動を開始。海外での豊富な食体験をベースにレシピを開発する。2002年から、あえて栄養学に触れず、五感で感じること、食から社会を見ることを重視する食育ワークショップ「食の探偵団」を主宰。08年からは田んぼを残したいと米粉の普及に尽力。11年から食品ロス削減にもなり、冷蔵庫に頼らず、輸送の際のCO2も削減できる乾物は未来食との想いから、乾物の普及につとめる。2013年から乾物を使ったカレーを食べることで内モンゴルの砂漠緑化に繋げる乾物ドライカレーパンプロジェクト及び乾物カレーの日をプロデュース。「レシピをみないでささっと料理ができる」、「毎日の料理が楽しくなる」家庭料理全般のパーソナルトレーニングをオンラインで実施して好評を得ている。

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