東急百貨店90周年ver

渋谷 東急フードショー

営業情報
  1. 東急百貨店
  2. 渋谷 東急フードショー
  3. コラム一覧
  4. 食育コラム

Baby Column食育 コラム

  • サカイ優佳子のオススメ!

食育のヒント 3月 洋風玉子ふわふわ

江戸時代の料理のセンスに、またも脱帽

先日、江戸料理を研究されているおかどめぐみこさんが作る江戸名物「玉子ふわふわ」をいただく機会を得ました(おかどめぐみこさんは、恵比寿の写真集食堂めぐたまでお料理を作っています)。

江戸時代のレシピ本には、限られた食材の中で、その組み合わせや調理法などに高いセンスを感じさせる料理が多数残されています。数年前、この連載でも紹介した「はじき葡萄」もその一つ。(2013年 10月 はじき葡萄 )

この「玉子ふわふわ」は、古くは1626年に徳川家のおもてなし料理の一品として供された記録もある、伝統あるたまご料理です。19世紀初旬のベストセラー「東海道中膝栗毛」にも登場し、ちょうど同じ時期にあたる1813年、大阪の豪商・升屋平右衛門の旅日記に、五十三次のちょうど真ん中あたりに位置する袋井宿(静岡県)で朝食の膳にのった記録もあるのだそうです。袋井ではそんなことから玉子ふわふわを名物料理として復活させ、多くの店で供しています。

さて、昔はたまごは高級食材だったとよく言われますが、当時のたまごの値段はいくらくらいだったのでしょう?江戸末期に書かれた書物などからの考察で、「かけそば一杯が400円とすればゆで卵が一個500円程度」と書いている研究家もいます。玉子ふわふわは、一品でお腹いっぱいにはならず、庶民が普通に食べる料理ではなかったと思われます。

さらに、作ってみるとわかるのは、たまごをしっかり泡立てなければ成功しないこと。現代の暮らしではハンドミキサーで数分しっかり泡立てれば作れますが、当時は泡立て器すらなく、おそらくは何本もの箸を使って、あるいは茶筅を用いて泡立てたであろうと思うと、この一品を作るための労力は相当なものだったに違いありません。

そんな特別なご馳走たまご料理も、今の時代だからこそ手軽に楽しむことができるわけですね。おかどさんのお店でいただいた玉子ふわふわは、お出汁がきいたほっとするおいしさでしたが、同じ作り方で洋風にアレンジしてみました。ひきたての胡椒をたっぷりきかせるのが私流。試してみてくださいね。

#150 洋風玉子ふわふわ
材料

鶏がらスープ 200cc
卵 1個
塩胡椒 各適量

作り方

1. 鶏がらスープを土鍋に入れて蓋をして沸騰したら弱火で数分おき、塩胡椒で味を調える。

2. 卵はハンドミキサーなどで数分間しっかりと泡立てる。

3. 1の火を止めたら2を一気に流して蓋を閉め、20秒ほど置いてすぐに供する。

*好みで食べる時に上から挽きたての黒胡椒をたっぷりと。

サカイ 優佳子

サステナブル料理研究家/一般社団法人DRYandPEACE代表理事
外資系金融機関等に勤務の後、娘のアトピーをきっかけに食の活動を開始。海外での豊富な食体験をベースにレシピを開発する。2002年から、あえて栄養学に触れず、五感で感じること、食から社会を見ることを重視する食育ワークショップ「食の探偵団」を主宰。08年からは田んぼを残したいと米粉の普及に尽力。11年から食品ロス削減にもなり、冷蔵庫に頼らず、輸送の際のCO2も削減できる乾物は未来食との想いから、乾物の普及につとめる。2013年から乾物を使ったカレーを食べることで内モンゴルの砂漠緑化に繋げる乾物ドライカレーパンプロジェクト及び乾物カレーの日をプロデュース。「レシピをみないでささっと料理ができる」、「毎日の料理が楽しくなる」家庭料理全般のパーソナルトレーニングをオンラインで実施して好評を得ている。

関連リンク

サカイ優佳子のホームページなどはこちら
https://profu.link/u/yukakosakai

サカイ優佳子の 楽しく 美味しく 未来を創る
https://www.reservestock.jp/subscribe/113493

著書