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Wine Columnワイン コラム

  • 伴良美のオススメ!

白い花の香りとミネラル感 伝統のクラッシコ地区が誇る イナマ・ヴィン・ソアーヴェ ソアーヴェ・クラッシコ2015

ラベルが語るワイン物語

CDやDVDにはジャケ買い、という言葉があるように、ワインもラベルが奇麗なものや、興味深いデザインのものには、つい手がのびてしまいます。実際にワインのラベルは、ワインの歴史やエピソードを伝えるものが多く、そこにはさまざまな情報や物語が隠れています。ラベルのささやきを聞きながらワインを飲めば、いっそう美味しく楽しく感じられることでしょう。

まだまだ残暑が続く9月は、イタリア語で「気持ちいい!」を意味する、爽やかなソアーヴェの白ワインをご紹介しましょう。東急フードショーの売り場では、ソアーヴェの中でも特に傑出した生産者「イナマ」のワインをご用意しています。

ロミオとジュリエットの街 ヴェローナ近郊で生産

写真:ソアーヴェは美しいヴェローナの街30km近郊で生産される。
イタリアの白ワインの象徴ともいえる「ソアーヴェ」は、ロミオとジュリエットの舞台となったヴェローナの近郊にある生産地。中世の教会や古城が残る、緑豊かな丘陵地帯で生まれます。このワインに主に用いる葡萄はガルガーネガ。約2000年前のローマ時代から栽培されてきました。

ソアーヴェはイタリア語で「気持ちいい」を意味し、夏は水代わりに食卓で楽しまれるフレッシュさが魅力です。その一方で長年「歴史があり知名度も高いが、味わいが淡白な大量生産型のワイン」とも見なされました。ところが1900年代に入り、ソアーヴェにワインのルネッサンスが興ります。

情熱ある生産者の登場&技術の向上で世界的産地に

写真:繊細で優雅なソアーヴェを生むガルガーネガの葡萄
有機農法、グリーンハーヴェスト、収量制限など葡萄栽培の向上、雑味のない凝縮した果実味を得るための圧搾法や醸造技術の向上、さらに、イナマ、ピエロパン、アンセルミ、ジーニ、マアジなど高い意識と情熱ある生産者の登場で、イタリアでも最高品質の白ワイン産地となりました。

中でも東急フードショーが特におすすめしたいソアーヴェが「イナマ・ヴィン・ソアーヴェ・クラシコ2015」。イナマの創業者ジュゼッペは、「これまでの、安価で飲みやすいというソアーヴェの評価を覆したい。ヴェネト州が誇る伝統ワインを復活させ、本当はこの地では素晴らしいワインが造れることを世界に証明したい」との思いで、1950年代に小さな畑を購入します。

伝統あるクラッシコ地区の最高区画フォスカリーノから

写真:ローマ時代から葡萄栽培が行われてきた伝統あるクラッシコ地区
そこは、ソアーヴェの中でも古代から特に優れた葡萄が生まれてきたクラッシコという伝統地区。さらにその中でもモンテ・フォスカリーノといわれる丘の上部斜面の、日照に恵まれた3.4haの最高区画。つまり平地に広がるソアーヴェ地区とは一線を画す、クリュとも呼ばれる優良畑でした。このフォスカリーノの畑はソアーヴェには珍しく火山灰土壌、そして樹齢の高い古木が多く残るため、生まれるワインはミネラルが豊かで凝縮感のある果実味、そして、白い花のような華やかな香りを備えます。

有機栽培を実践。「ワイン造りの90%は健康な葡萄を造ること」

写真:畑の畝にハーヴや豆科の植物を茂らせ有機栽培を行う、創立者ジュゼッペさん。
イナマではこの素晴らしい畑を守り健全な葡萄を栽培するため、2009年から有機栽培を実践しています。除草剤、殺虫剤、化学肥料などは一切使用せず、自然農法を徹底することで、自らの概念である「ワイン造りの90%は健康な葡萄を造ること」を貫いています。

ワインのラベル中央には、ヴェローナの有名な彫刻家の作品が描かれています。ワインの素晴らしい味わいと比べて、ラベルはちょっと地味過ぎるのではと思うほどシンプルなデザイン。しかしそこには「環境を考えて無駄にインクを使わない、ラベルの華やかさでなくワインの質だけで勝負しよう」という確固たる信念が感じられます。ふくよかな果実味、フレッシュでエレガントな酸、豊かなミネラル感、この3つがバランスよく調和した「非の打ち所のない正統派ソアーヴェ」です。

東急フードショーのおすすめ

イナマ・ヴィン・ソアーヴェ ソアーヴェ・クラッシコ 2015
(750ml) 2,160円

生産者:イナマ
生産地:イタリア・ヴェネト州DOCソアーヴェ・クラッシコ
葡萄品種:ガルガーネガ100%

ソアーヴェ・クラッシコ地区の中でも、特に秀でたエリア「モンテ・フォスカリーノ」の畑から生まれるワイン。イナマはソアーヴェの偉大な生産者にして革命児ともいわれ、一時期、大量生産型のワイン産地に甘んじていたソアーヴェを、世界的なレベルに押し上げた貢献者の一人です。創立以来、コンサルタントや指導者に頼ることなく自らの経験とノウハウのみを信じて研究を続け、有機農法で健康な葡萄を栽培してきました。
陽当たりのよい南西向き斜面のモンテ・フォスカリーノの畑から生まれるワインの特徴は、豊かなミネラルと白い花の香り。葡萄はすべて手摘みで、4~8時間、果皮を果汁と一緒に漬け込むことで、華やかな香り、ふくよかな果実味、しっかりとした骨格を備えた優雅なワインに仕上げています。カルパッチョ、パスタ、ピッツァ、フリットなどイタリア料理全般に。鮎の塩焼き、夏野菜の天ぷら、寿司、お刺身など和食にもよく合います。コストパフォーマンスに優れ、さまざまな料理と寄り添う懐の深さも、イナマのソアーヴェの魅力ですね。

著者近影

伴 良美(ばん・よしみ)

ライター&ワインエキスパート。映画、食、旅を中心に執筆。ワインと食の情報誌「ヴィノテーク」、北海道新聞、岐阜新聞などの取材記者としても活躍。世界の銘醸地や映画の舞台を訪ねた連載コラムに、フジサンケイビジネスアイ「世界銘酒紀行」「名画の舞台」のほか「男と女 名画とお酒」「シネマの名言」などがある。