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Wine Columnワイン コラム

  • 伴良美のオススメ!

南仏ラングドック格付け グラン・ヴァンに輝く自然派ワイン マス・ド・ジャニーニ レ・オー・ド・ラボリー 2013

ラベルが語るワイン物語

CDやDVDにはジャケ買い、という言葉があるように、ワインもラベルが奇麗なものや、興味深いデザインのものには、つい手がのびてしまいます。実際にワインのラベルは、ワインの歴史やエピソードを伝えるものが多く、そこにはさまざまな情報や物語が隠れています。ラベルのささやきを聞きながらワインを飲めば、いっそう美味しく楽しく感じられることでしょう。

世界遺産観光も人気 フランス最古のワイン産地ラングドッグ

写真:ラングドックのワイン産地の象徴で世界遺産でもあり、フランスでは「この城を見ずして死ぬな」と言われるほど人気の観光地カルカッソンヌ城。
南仏のラングドック地方は、約2000年前のローマ時代から続くフランス最古で最大のワイン産地。近年ではボルドーのようにワインの「格付け」が行われ、非常に高品質でコストパフォーマンスに優れたワインが世界的に注目を集めています。今回は3000円代の中価格帯でありながら、ボルドーのグラン・ヴァンに負けない、傑出したラングドックの自然派ワインをご紹介しましょう。ビーフシチューや煮込みハンバーグ、きのこのシチューなど、体がぐっと温まる冬の煮込み料理にもよく合うワインです。

南仏といえば「プロヴァンスは知っているけれど、ラングドック地方ってどこ?」と思う方も多いかもしれません。ラングドックはプロヴァンス地方の南にあり、アヴィニヨンからスペイン国境の地中海沿いに広がる地域。世界遺産で有名なカルカッソンンヌ城やミディ運河があり、豊かな自然と陽光あふれる温暖な気候から、バカンスに訪れる観光地として、またワインの一大産地としても知られています。

樹齢が高く 最高位の単一畑から生まれたトップ・キュヴェ

写真:南仏の輝く太陽のもとで自然農法のビオロジックを実践。美しく果実味あふれるワインを造るパスカルとティエリー兄弟。
ラベルに描かれた今月ご紹介のワイン名は「マス・ド・ジャニーニ レ・オー・ド・ラボリー」。マス・ド・ジャニーニは、ラングドックの中心、地中海沿いのモンペリエ近郊にある家族経営のワイナリー。歴史ある大学都市でもあるモンペリエから西へ20Km、人口約700人のサン・ボジル・ド・ラ・シルビー村で、無農薬有機栽培のビオロジック農法を行い、すばらしいワインを生み出しています。

中でも、このレ・オー・ド・ラボリーのワインは、最も傑出した畑の名前が冠されたトップ・キュヴェ。50年~80年の高樹齢の葡萄が混植されている、最高位の単一畑から生まれます。ワインのラベルにも、優しいタッチと淡い藍の色彩でこの畑の情景が描かれています。

長年この地で、家族で葡萄栽培を行ってきたマス・ド・ジャニーニ。1980年、長男のパスカルが父から葡萄畑を引き継ぐと、弟ティエリーと力を合わせてビオロジック栽培を開始。さらに家族が一丸となってワイン造りも始めます。

無農薬有機栽培のエコセール認証オーガニックワイン

写真:除草剤・化学肥料は使用せず昔ながらの混植を行う。葡萄の木が自分自身にバランスが良いように実をつけるため、房の数を無理に減らすなどの手を加えず自然に栽培する。
畑は傑出したワインを生むにふさわしい粘土石灰質土壌。祖先から受け継いだ畑を守り、何よりも美味しく旨みたっぷりのワインを造るために、除草剤・化学肥料を一切使用しません。

葡萄の木の畝(うね)に生えた雑草は、トラクターではなく人力で丁寧にすき返すことで除草を行い、堆肥も自然のものを使用。また、この土地ならではのテロワールを表現するために、表面の根を丁寧に切り、真ん中の太い根がより深く地中に張る栽培を行い、土中の豊かなミネラルを吸収させます。

さらに、彼らがことのほか愛するこのレ・オー・ラボリーの単一畑は、樹齢50~80年の古樹を大切にして、グルナッシュ、シラー、ムールヴェードルの複数の品種の「混植」を行っています。

この混植は近年では珍しい農法ですが、病害に強い葡萄樹が育つメリットがあります。また醸造した各葡萄のキュヴェをアサンブラージュ(ブレンド)しなくても、この畑の豊かな個性が自然と表現された調和に優れたワインが生み出されます。

ラングドックの新格付け グラン・ヴァンに輝く

写真:ワインのネック部分には、新格付けのグラン・ヴァンに記すことを許されるマークと産地呼称の文字が明記されている。
最後にこのワインのボトルのネック部分に注目してみましょう。そこには「Gres de Montpellier (グレ・ド・モンペリエ)」の文字、そして葡萄の枝と実をデザインしたマークが浮き彫りになっています。ワインと同様にボトルにも高級感が漂いますね。近年ラングドックでは、EUが原産地の品質を保証するAOCワインをさらに3つに階層化し高付加価値化に努めています。

つまり今回ご紹介したワインは、AOCラングドック・グレ・ド・モンペリエに認証され、通常のAOCラングドックよりさらに上の階層の”グラン・ヴァン”に格付けされたワインです。ラングドックワイン委員会では、このグラン・ヴァンには「高い品質とテロワールの個性を豊かに表現した秀逸なワイン」であることを保証し、認定マークを与えています。

南仏の豊かな太陽と自然を享受しながら、格付け高位に位置し、生産者の誇りと気品に溢れた「レ・オー・ラボリー」のワイン。東急百貨店のみの特別販売となり、大切な記念日や家族や友人が集う冬の食卓で、ぜひお楽しみいただきたいワインです。

(写真協力:ディオニー株式会社)

東急フードショーおすすめ

マス・ド・ジャニーニ レ・オー・ド・ラボリー 2013
(750ml) 3,240円

生産者:マス・ド・ジャニーニ
生産地:フランス・ラングドック地方・AOCラングドック・グレ・ド・モンペリエ
葡萄品種:グルナッシュ50%、シラー40%、ムールヴェードル10%
味わい:赤・ミディアム・ボディ 心地よいタンニンと凝縮した果実味
輸入元:ディオニー

ビオロジック栽培を行い、エコセールの認証を受けるオーガニックワインのスペシャリストであるマス・ド・ジャニーニ。中でもこのワインはワイナリーが所有する畑の中でも、最高位の単一畑から生まれたトップ・キュヴェ。畑の周囲には、タイム、ローズマリー、セージ、ラベンダーなどの南仏特有のガリーグと呼ばれるハーブが自生し、ワインにもその気品ある芳香が感じられます。
ブルーベリーなどの黒い果実の風味、リコリス、ローズマリーやタイムなどのハーブの芳香。フレンチオークで12ヶ月熟成した気品ある樽香になめらかで美しいタンニンが織り混じります。子羊のロースト、ジビエ、トマトソースのパスタ、ビーフシチューなどの肉の煮込み料理、きのこ料理、トマトソースを使ったパスタやトリッパにも。その際、ローズマリーやタイムなどのハーブを少し料理に使うとさらにワインとよく合います。また、味噌で煮込んだもつ鍋など和風の煮込み料理とも好相性。冬の食卓で是非お楽しみくださいね。

著者近影

伴 良美(ばん・よしみ)

ライター&ワインエキスパート。映画、食、旅を中心に執筆。ワインと食の情報誌「ヴィノテーク」、北海道新聞、岐阜新聞などの取材記者としても活躍。世界の銘醸地や映画の舞台を訪ねた連載コラムに、フジサンケイビジネスアイ「世界銘酒紀行」「名画の舞台」のほか「男と女 名画とお酒」「シネマの名言」などがある。