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Wine Columnワイン コラム

  • 伴良美のオススメ!

ボランジェが投資する ロワール最高峰のクレマン ラングロワ・シャトー クレマン・ド・ロワール・ブリュットNV

ラベルが語るワイン物語

CDやDVDにはジャケ買い、という言葉があるように、ワインもラベルが奇麗なものや、興味深いデザインのものには、つい手がのびてしまいます。実際にワインのラベルは、ワインの歴史やエピソードを伝えるものが多く、そこにはさまざまな情報や物語が隠れています。ラベルのささやきを聞きながらワインを飲めば、いっそう美味しく楽しく感じられることでしょう。

「フランスの庭」とも謳われ、美しい自然と優雅な古城が広がるロワール地方。今回はゴールデンウィークの食卓や母の日の贈り物にもおすすめの、エレガントで気品あるロワールのスパークリングワイン「クレマン・ド・ロワール」をご紹介しましょう。

シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵 気高く優しく優雅な風味

 写真:美しい景観と古城で、世界遺産にも認定されたロワール地方。
シンプルで気品あるシルバーのラベル。そこには、ボランジェ社が与えられた王室御用達の紋章と「LANGLOIS BRUT CREMANT DE LOIRE (ラングロワ・ブリュット・クレマン・ド・ロワール)」の文字。つまりこのワインは、シャンパーニュの大手メゾン「ボランジェ」が投資するラングロワ・シャトーが造る、ブリュット(=辛口)な味わいの、ロワール地方のクレマン(=スパークリングワイン)なのです。

このクレマン・ド・ロワールは、シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵の製法で造られるため、泡立ちがとても柔らかくきめ細やか。さらにロワール地方の品種特有のフレッシュで気品ある味わいが魅力です。

ロワール地方は「フランスの庭」とも呼ばれ、美しい自然景観と140もの優雅な古城が広がる地域。中世には、豊かな自然に魅せられ、フランソワ1世などの王侯貴族がこぞって城や聖堂を建て、様々な歴史や政治の舞台となりました。

ワイン産地も約1000kmにおよぶロワール川に沿って広がり、城の建立と宮廷文化の開花とともに発展しました。こうした歴史と美しい自然の恩恵でしょうか、ロワールのワインには、清楚な優しさとともに凛とした気品と優雅さが感じられます。

夫婦ふたりの名前を冠しマダム・シャトーが発展

写真:夫婦ふたりの名前を冠して設立。温かな外観のラングロワ・シャトー。
このクレマンの生産地ラングロワ・シャトーも、1855年に創業した歴史あるメゾン。メゾンの名前は、ソミュール出身のエドゥアード・ラングロワが、ヴェンデ出身のジャンヌ・シャトーと結婚し、二人の名前を合わせてラングロワ・シャトーと名付けました。つまりシャトーとは“お城”の意味ではなく、マダムの自身のお名前なのです。

そしてこのマダムこそが、メゾンの発展に大きく貢献した人物です。彼女は第一次世界大戦中に夫のエドゥアードを亡くし、未亡人になりました。しかし、親戚や息子の力を借りながらメゾンを盛りたて、ロワールで随一の品質を誇るクレマンの生産会社に発展させたのです。

ボランジェが惚れ込み投資と技術提供 テラ・ヴィティスを認証

写真 上:醸造所の熟成庫
写真 下:ディレクター・ジェネラルのフランソワ・レジス・フジュルーさん。

1973年にはその高い品質にほれ込んだシャンパーニュ大手メゾン「ボランジェ」が、投資を申し入れグループの一員に。醸造設備の刷新や技術提供も行われました。それによって、より洗練された完成度の高いクレマンに昇華し、その実力は世界に知られることに。さらにクレマンに加えスティルワインにおいても成功をおさめました。

ボランジェとの提携によって最新の醸造設備を整える一方で、葡萄栽培は昔ながらの農薬や化学的なものを極力使用しない、リュットレゾネ(減農薬農法)を実践。「健全な葡萄栽培と衛生的なワイン醸造による高品質なワイン生産者」に認められる“Terra vitisテラ・ヴィティス”の認証を受けています。

長い熟成期間がもたらす繊細な泡立ち

写真:自然環境を尊重し「テラ・ヴィティス」の認証を受ける美しい畑とシュナン・ブランの葡萄。
収穫も機械ではなく手摘み。もちろん、クレマンですから、シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵ですが、ロワール地方の熟成規定をはるかに超える長い熟成期間を経てリリースされます。そのため、非常に繊細な泡立ちとエレガントな味わいを醸し出しています。

ロワールのエレガンスとシャンパーニュの格調高さ。ふたつの伝統がコラボレーションしたコストパフォーマンスに優れた、ラングロワのクレマン。これから暑くなる季節に向けて、是非お楽しみいただきたいワインです。そして、母の日や夏の贈り物にもぜひご利用くださいね。

(写真&情報提供:株式会社アルカン)

東急フードショーのおすすめ

ラングロワ・シャトー クレマン・ド・ロワール・ブリュット
(750ml) 2,484円 [写真:左]

生産地:フランス・ロワール地方ソミュール地区
葡萄品種:シュナン・ブラン60%、シャルドネ20%、カベルネ・フラン20%
タイプ:白・発泡・ドライ
輸入元:株式会社アルカン

ロワールでも最高峰のクレマンの生産者ラングロワ・シャトーは、1975年にはその素晴らしさに惚れたボランジェが投資を申し入れ、ふたつの伝統と気品を合わせ持つクレマンが生まれました。グラスに注ぐと、非常にきめ細やかな気泡が繊細に立ち上がります。時間の経過とともに、柑橘系の果実の香りからフローラルな花の芳香に。フレッシュで溌剌とした果実味、キレのよい酸と豊かなミネラルが魅力です。ロワールの伝統品種シュナン・ブランらしいふくらみ、貴品種シャルドネの豊かな酸、カベルネ・フランの深みとコクが感じられ、余韻は爽やかに美しく続きます。8~10℃に冷やして暑い夏の食前酒に。またフェンネルやバジル、ミントなどのハーブを添えたサラダや前菜、魚介のマリネやカルパッチョ、さらに天ぷらや刺身などの和食、白身のお肉料理にも。夏のオールラウンダーともいえる爽やかでエレガントなクレマンです。


ラングロワ・シャトー クレマン・ド・ロワール・ブリュット・ロゼ
(750ml) 2,592円 [写真:右]

生産地:フランス・ロワール地方ソミュール地区
葡萄品種:カベルネ・フラン100%
タイプ:ロゼ・発泡・ドライ

カベルネ・フランはロワールを代表する黒葡萄品種のひとつ。中でもラングロワでは、この品種に最も適した石灰粘土質土壌から、傑出した葡萄を栽培しています。そのため、ロゼのクレマンもとても素晴らしく、色調は明るいピンク色、赤い果実のエレガントな芳香、フレッシュでフルーティ、そして奥深く優雅な味わいを備えています。18カ月以上瓶内二次発酵を行って育んだ泡も、柔らかできめ細やか。生ハムやパテやソーセージなどのシャルキュトリと供に、アペリティフとしても楽しめるロゼ・クレマン。夏は赤ワインの代わりに、肉料理にも合わせられる深く豊かな風味も魅力です。

著者近影

伴 良美(ばん・よしみ)

ライター&ワインエキスパート。映画、食、旅を中心に執筆。ワインと食の情報誌「ヴィノテーク」、北海道新聞、岐阜新聞などの取材記者としても活躍。世界の銘醸地や映画の舞台を訪ねた連載コラムに、フジサンケイビジネスアイ「世界銘酒紀行」「名画の舞台」のほか「男と女 名画とお酒」「シネマの名言」などがある。