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Wine Columnワイン コラム

  • 伴良美のオススメ!

シチリアの太陽を感じる夏の赤ワイン コルパッソ ネロ・ダヴォラ テッレ シチリアーネ 2016

ラベルが語るワイン物語

CDやDVDにはジャケ買い、という言葉があるように、ワインもラベルが奇麗なものや、興味深いデザインのものには、つい手がのびてしまいます。実際にワインのラベルは、ワインの歴史やエピソードを伝えるものが多く、そこにはさまざまな情報や物語が隠れています。ラベルのささやきを聞きながらワインを飲めば、いっそう美味しく楽しく感じられることでしょう。

2000円以下で楽しむワインコーナー リニューアルアップ

写真:美しいシチリアの島の風景。
東急フードショーのワイン売り場では、ソムリエを始めとするワインの専門家が、家庭で気軽に楽しめる価格帯で、コストパフォーマンスに優れた高品質ワインを厳選し、特別コーナーを設けています。4月からは夏に向けてリニューアルアップ。個性豊かなワインが新たに続々と入荷しています。

今回はその中でも、太陽の恵みを享受したイタリアのシチリア島のワインをご紹介しましょう。島の固有品種から生まれ、一部を丁寧に陰干しさせて造るワインは、シチリアの陽光と風を感じる、フレッシュで芳醇な味わい。軽く冷やせば、トマト料理やバーベキューにもふさわしい夏の赤ワインです。

高品質葡萄を生む 標高の高い(=丘の上)の畑

写真:丘の上の畑は太陽が充分にふり注ぎ風通しがよく、健康な葡萄が生まれる。
ラベルに大きく描かれているワイナリー名は「COLPASSO コルパッソ」。コルパッソとはイタリア語で「丘の上への一歩」を意味する造語です。その名の通り、ワイナリーでは、高品質の葡萄が生育する斜面の中でも、より標高の高い場所に自社畑を所有し、どこよりも質の高い葡萄栽培を目指しています。またラベルには、ギリシア神話に登場する豊穣と葡萄酒と酩酊の神「ディオニソス」を敬い、夜通し踊る女性ダンサーが描かれています。薄い青と紫色の色彩は、羊の皮を紙として使っていたギリシア時代に残された、ワインのシミの色を再現しているそうです。

では、コルパッソの名前のように、丘の斜面で標高の高い場所にある畑は、どうして優良な葡萄が生まれやすいのでしょうか。それは、昼間は太陽を十分に受ける一方で、風通しがよく真夏でも涼しい好環境にあるからです。そのため、凝縮した豊かな果実味とフレッシュな酸も合わせもつ、素晴らしい葡萄が生まれます。また、風通しのよさや涼風の影響で、害虫や病害の被害が発生しにくく、健全な葡萄が育つ環境にもあるのです。

シチリアが誇る土着品種 ネロ・ダヴォラを世界に

写真:シチリアが誇るネロ・ダヴォラ。歴史ある葡萄品種だが、今は世界的にも人気のワインに。
さらにコルパッソでは、次のように自らの信念を伝えています。
「私たちは最良のワインは、セラーから生まれるのではなく、最良の葡萄畑から生まれると考えています。さらに、故郷のシチリアならではの“土着の品種”を大切にし、その個性をしっかり伝える葡萄を育てることを信条としています」

その言葉のようにこの赤ワインにも、シチリアが誇る黒葡萄品種「ネロ・ダヴォラ」が使われています。ネロ・ダヴォラの品種名はイタリア語で「アヴォッラの黒」を意味し、数百年前からシチリア島のアヴォッラ村で栽培され、島全土に広がった歴史をもちます。生まれるワインは名前の通り色が濃く、太陽の恵みがぎゅっと詰まったような果実の凝縮感と華やかな香りが特徴です。

中でもこのコルパッソのネロ・ダヴォラは素晴らしく、豊かで濃淳な味わい。シチリア南西部の標高の高い畑で、9月中旬までゆっくりと葡萄を完熟させ糖度と複雑性を高めます。そして酸とのバランスを十分に見極めながら、すべて手摘みで丁寧に収穫されます。

陰干しした葡萄を加え 濃淳な美味しさに

写真:収穫は全て手摘み。葡萄の一部を陰干ししてワインに深みを与える。
さらに特筆すべきことは、ネロ・ダヴォラの個性をより生かすために、ワインに使用する葡萄の一部を丁寧に「陰干しして濃縮させる」こと。それによってタンニンや果実味を円やかにし、同時に深いコクも生み出します。この価格帯のワインとしては、非常に丁寧で独創的な醸造法ですが、「よい葡萄を育てたからこそ、そのポテンシャルをより活かす醸造を極めて、沢山の人にネロ・ダヴォラの魅力を伝えたい」という生産者の熱意が伝わってきます。

最後にワイナリーは「私達は伝統を守りながら革新を行い、そして何よりも日常的に食卓で楽しむことができる上質なワインをお届けしたいと思っています。これからもコルパッソの名前のように、頂点に向けて一歩一歩進化を続け、シチリアの伝統とテロワールを沢山の方々に伝えていきたい」と伝えています。トマトを使ったイタリアンやパスタ、ピッツァなどに合わせて、この夏ぜひご家庭でお楽しみいただきたいワインです。

(写真&取材協力:株式会社nakato)

東急フードショーおすすめ

コルパッソ ネロ・ダヴォラ テッレ シチリアーネ 2016
(750ml) 1,620円

生産国:イタリア シチリア島
葡萄品種:ネロ・ダヴォラ100%
味わい:辛口・赤・ミディアムボディ
輸入元:nakato

南イタリアを代表するワインの銘醸地であるシチリア島。その南西部のジェーラとヴィットリアの間にある優良畑から生まれた赤ワイン。シチリアが誇り今や世界的にも注目を集めるネロ・ダヴォラの葡萄品種100%で造る渾身のワインです。
シチリア島の中では遅い収穫となる9月中旬まで、しっかりと葡萄を完熟させ、丁寧に手摘みで収穫。その葡萄の一部を、水分が30%蒸発するまで3~4週間、陰干しして乾燥させて濃縮しています。そのためワインは、まろやかな果実味と柔らかなタンニンを備えています。一方で酸は生き生きとしてフレッシュで、夏は軽く冷やせばトマトを使ったイタリア料理ともよく合います。モッツァレラとトマトのカプレーゼ、夏野菜をトマトで煮込んだカポナータ、チキンや牛肉などのトマトの煮込み、ミートソースのパスタ、ピッツァなど。その際料理には、イタリアを代表するバジルやルッコラなどのハーブをちょっと添えるとより好相性に。さらに肉料理全般にもよく合い、これからの季節は野外でのバーベキューにもおすすめです。シチリアの太陽と風を感じるワインを夏の食卓でもお楽しみくださいね。

著者近影

伴 良美(ばん・よしみ)

ライター&ワインエキスパート。映画、食、旅を中心に執筆。ワインと食の情報誌「ヴィノテーク」、北海道新聞、岐阜新聞などの取材記者としても活躍。世界の銘醸地や映画の舞台を訪ねた連載コラムに、フジサンケイビジネスアイ「世界銘酒紀行」「名画の舞台」のほか「男と女 名画とお酒」「シネマの名言」などがある。