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Wine Columnワイン コラム

  • 伴良美のオススメ!

華やかな果実味とミズナラ樽の香しさ新ラベルに想いを込める限定ワイン サントリー塩尻ワイナリー 塩尻マスカット・ベーリーA ミズナラ樽熟成 2014

ラベルが語るワイン物語

CDやDVDにはジャケ買い、という言葉があるように、ワインもラベルが奇麗なものや、興味深いデザインのものには、つい手がのびてしまいます。実際にワインのラベルは、ワインの歴史やエピソードを伝えるものが多く、そこにはさまざまな情報や物語が隠れています。ラベルのささやきを聞きながらワインを飲めば、いっそう美味しく楽しく感じられることでしょう。

マスカット・ベーリーA×ミズナラ樽 ふたつが融和したエレガンス

写真 上:日本ワインのパイオニア「登美の丘ワイナリー」から、栽培・醸造技術を継承して素晴らしいワインを造る「サントリー塩尻ワイナリー」。
写真 下:白檀のような香りをもたらすミズナラ樽。
長野は山梨と並び日本を代表するワイン産地。中でもメルロ、マスカット・ベーリーAの赤ワインは世界にも知られる高い品質を誇ります。今月は1936年開設以来、ぶどう農家の人々と手を携え日本ワインの可能性を切り開いてきたサントリー塩尻ワイナリーから、限定入荷の素晴らしいワインをご紹介しましょう。

ラベルには大きく美しい楷書体で、生産地とワイナリー名を表した「塩尻」の文字が。さらに紅色で描かれた「ミズナラ樽熟成」の文字が目を惹きます。このワインは塩尻が誇るマスカット・ベーリーAを、ウイスキー樽としても名高い、ミズナラ樽で熟成した希少な赤ワイン。

ミズナラ樽特有の白檀(びゃくだん)を思わせるオリエンタルで気品ある芳香。マスカット・ベーリーAの葡萄由来の華やかでフレッシュな果実感。このふたつが絶妙なバランスで融和し、とてもエレガントで繊細な味わいを醸し出しています。まさに日本人の琴線に触れる深みと優しさを兼ね備えたワインです。

赤玉ポートワインの故郷から世界のワイン産地に

写真:塩尻が誇る日本固有の葡萄品種マスカット・ベーリーA。
長野県塩尻はワイン用の葡萄栽培に適した環境に恵まれた地。江戸時代には原野であった土地を開墾し、明治23年から葡萄栽培が始まりました。雨が少なく、昼夜の寒暖の差が大きい気候、火山性の土壌によって、酸が美しく豊かで凝縮感のある力強い葡萄が育ちます。中でも塩尻ワイナリーが畑を持つ、岩垂原や桔梗が原の葡萄からは、海外のコンクールで受賞する素晴らしいワインが生まれています。

「その土地の風土が思い浮かぶようなワインを造りたい」との想いのもと、同ワイナリーは地元の葡萄農家と力を合わせ、日本ワインの可能性を追求し、高いポテンシャルを開花させてきました。1936年開設時はコンコードの品種から、サントリーの歴史の象徴である赤玉ポートワインを生産。さらに、塩尻の魅力をより表現する葡萄を模索し、1980年代からは高級ワイン造りに向けてメルロの契約栽培を開始。そして、日本の固有品種マスカット・ベーリーAの葡萄栽培にも力を注ぎます。

華やかな果実味と気品ある白檀の芳香 芳醇なワインを育むミズナラ樽

写真:ボルドー大学醸造学部に留学しシャトー・ラグランジュで研鑽を重ね、2015年より塩尻ワイナリーの所長を務める篠田健太郎さん。
いい葡萄からいいワインが生まれ、さらにそのワインを育むためには樽選びが重要です。塩尻のマスカット・ベーリーAの個性を生かす、最もよい樽は何か? 様々な樽で熟成を試みてたどりついたのがミズナラでした。ミズナラの樽はサントリーがウイスキーの熟成に用いた樽。「ジャパニーズ・オーク」とも呼ばれ、ミズナラ樽で熟成した日本のウイスキーは、海外でも非常に高く評価されています。

そこで塩尻ワイナリーでは、ウイスキー用の自社製樽工場に「ワイン用に容量250ℓのミズナラ樽を作って欲しい」と依頼。その樽で熟成を行ってみるとマスカット・ベーリーAと非常に相性が良く、ミズナラ特有の白檀のような香りが絶妙なバランスを醸し出すことを見出しました。

やがて誕生したワインは非常に高い評価を獲得し、日本ワインコンクールでは見事に金賞を受賞。またイギリスのマスター・オブワインをはじめとする海外のインフルエンサーからも「日本的な個性をもった非常にエレガントな味わい。海外にも積極的にPRしてゆくべき」と高く評価しています。

歴史ある樽熟成庫にて 香しいワインを育む

写真 左:2013年に刷新され、最新設備が整う醸造所。
写真 右:歴史ある熟成庫内には、ミズナラやフランス産オークなど、葡萄品種に合わせて厳選した樽が並ぶ。
最後にもう一度ラベルをご覧くださいね。そこには優しい色彩でワイナリーのシンボルである、1936年当時の姿を残した貯蔵庫と、塩尻の風景を象徴するアルプスの山々が描かれています。さらに中央には小さな赤い丸が。これは赤玉ポートワインで始まったワイナリーの歴史と、現在も引き継がれる栽培家の方々(赤玉出荷組合)への敬意を記しています。

2013年、サントリー塩尻ワイナリーでは、更なる品質の向上のために醸造施設を刷新。厳選した区画ごとに発酵できる小ロットのタンク、よりよい葡萄のみを選ぶ選果システムなど、最先端の醸造設備を導入しました。一方で1936年創設の熟成庫は、当時のまま残りワイナリーの歴史を伝えています。そこにはミズナラの樽が静かに並び、未来に向けて華ひらくワインをやさしく育んでいます。

(写真・情報協力:サントリーホールディングス株式会社)

東急フードショーおすすめ

サントリー塩尻ワイナリー 塩尻マスカット・ベーリーA ミズナラ樽熟成 2014
(750ml) 4,536円

生産地:日本・長野県塩尻
葡萄品種:マスカット・ベーリーA100%
味わい:辛口・ミディアムボディ フレッシュな酸味と華やかな果実味

日本の風土で育った、日本が誇る固有品種マスカット・ベーリーAを、樹齢100年を越す希少なミズナラの樽で熟成。軽快な酸味と葡萄本来の自然な甘さ、柔らかい印象とともに中盤からフィニッシュにかけて、心地よいタンニンとボリューム感を伝えます。マスカット・ベーリーA由来のイチゴのような華やかな果実味に、ミズナラ樽由来の白檀のような芳香が美しく融合。ボトルネックの青いキャップシールは、冷涼な塩尻の空の色と将来に向けた更なる挑戦を表現しています。

合わせたい料理:家庭料理から高級懐石までの和食全般。中でも根菜系の野菜を醤油やみりんで甘辛く味付けした料理に良く合い、和牛の旨みが染み込んだ肉じゃが、すき焼き、わさび醤油で食すステーキ、焼き鳥、おせち料理にも好相性。さらに、ミズナラ樽熟成由来の気品ある芳香から、プロシュートやハモンセラーノなどの高級生ハム、キノコやトマトソースのパスタなど素材を生かしたイタリアンにもおすすめです。最初は軽く冷やして飲み始め、次第に開いてゆく華やかな香りをお楽しみください。

著者近影

伴 良美(ばん・よしみ)

ライター&ワインエキスパート。映画、食、旅を中心に執筆。ワインと食の情報誌「ヴィノテーク」、北海道新聞、岐阜新聞などの取材記者としても活躍。世界の銘醸地や映画の舞台を訪ねた連載コラムに、フジサンケイビジネスアイ「世界銘酒紀行」「名画の舞台」のほか「男と女 名画とお酒」「シネマの名言」などがある。