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Wine Columnワイン コラム

  • 伴良美のオススメ!

新年の飛躍と幸福を願う赤いツバメ エレガントでフレッシュな果実感 リヴァース・マリー ピノ・ノワール ソノマ・コースト 2017

ラベルが語るワイン物語

CDやDVDにジャケ買い、という言葉があるように、ワインもラベルが奇麗なものや、興味深いデザインのものには、つい手がのびてしまいます。実際にワインのラベルは、ワインの歴史やエピソードを伝えるものが多く、そこにはさまざまな情報や物語が隠れています。ラベルのささやきを聞きながらワインを飲めば、いっそう美味しく楽しく感じられることでしょう。

新年を迎える1月は、飛躍の年への願いを込めて、伸びやかに舞うツバメのラベルの「リヴァース・マリー」をご紹介しましょう。ワインメーカーは、カリフォルニアのソノマ・コーストで、エレガント・ピノ・ノワールの旗手として脚光を浴びる「トーマス・リヴァース・ブラウン」。数々のワイナリーを成功に導き、今最も注目を集める天才醸造家です。

畑に飛来するツバメ その色彩はソノマのピノ・ノワールを表現

写真:海からの涼風と豊かな自然に恵まれるソノマ・コースト。
ワインのラベルには大きく羽を広げ飛来する「ツバメ」が描かれています。鮮やかなピンクレッドとダークブルーの色彩もユニークで、思わず目を留めてしまいますね。

ワインメーカーのブラウンさんは「背景のブルーはソノマ・コーストの冷涼な気候を。ツバメの独特な朱色は、その気候がもたらすピノ・ノワールの美しい酸と果実味をイメージしたものです。この色彩をまず僕が決めて、友人のデザイナーにラベルデザインを依頼。すると彼は、春に海沿いの畑に舞い込む元気なツバメを描いてくれました。とても大好きなラベルです」と伝えています。

パーカーポイント100を獲得 今最も脚光を浴びる天才醸造家

写真:トーマス・リヴァース・ブラウンさん
トーマス・・リヴァース・ブラウンさんの生業は醸造家。パーカーポイント最高点の100Pをたたき出したシュレーダー、アウトポスト、マイバッハなど、カリフォルニアの数々のワイナリーを成功に導き、今最も脚光を浴びる天才醸造家。現在40社近くでワインメーカーを務め活躍しています。

得意分野はカベルネ・ソーヴィニヨンですが、妻のジュヌヴィエーヴと「ソノマのテロワールを豊かに表現したピノ・ノワールを造りたい」と始めたのが2002年。二人のミドルネームを冠したリヴァース・マリーを生み出します。そのワインの素晴らしさと希少性から当初は4000人以上が待つメーリングリストのみで販売。近年日本への正規輸入がかない、限定ワインとして入荷されるようになりました。

オキシデンタル地区のスーマに惚れ込み畑を購入

写真:樹齢40年の古木も残る特別な畑スーマ。大切な古木から挿し木で葡萄樹を増やしている。
彼らが選んだ畑はソノマ・コーストのオキシデンタル地区。海沿いの丘陵地にあるため、海からの涼風に恵まれ日照量も豊か。海底堆積物が隆起した土壌で、ピノ・ノワールの栽培には最高のテロワールです。

中でもリヴァース・マリーを造り始めるきっかけとなった最高畑がスーマ。ここは樹齢40年近い優良な古木が残り、ウィリアム・セリエム、リトライ、ロバート・ミュラーなど有名なワイナリーに葡萄を提供してきた特別な畑。二人はこの畑に惚れ込み、2010年に買い取って自社畑にし、傑出した単一畑のワインも生み出しています。

秀逸な畑をブレンド 新鮮な赤い果実となめらかな飲み心地

写真:複数の秀逸な畑が存在するオキシデンタル地区。
(上) シルヴァー・イーグル
(下) オキシデンタル・リッジの畑

今回ご紹介する「リヴァース・マリー ピノ・ノワール ソノマ・コースト」は、こうしたオキシデンタル地区の秀逸な複数の畑の葡萄をブレンドしたワイン。その年の葡萄の個性に合わせてブレンドを行うため、ヴィンテージごとの特徴を豊かに表現しています。ソノマ・コーストのピノ・ノワールらしいフレッシュな酸が惹き立ち、ラベルのツバメの朱色を思わせるような、豊かな赤い果実の風味。バランスに優れ、大切な家族や友人が集う食卓にもふさわしい優雅な飲み心地です。

さて、ラベルにも描かれているツバメは古来より、幸福を運ぶ鳥として愛されてきました。日本では商売繁盛の象徴に。ヨーロッパでは貧しい人々に宝石を運ぶ『幸福の王子』の物語に登場。オーストリアやエストニアでは国鳥にも採用。また、リヴァース・マリーの畑に飛来するツバメも、害虫を食べる益虫として愛されています。

食卓を彩る鮮やかな色彩と、新鮮な野いちごを凝縮させたような優雅な果実味。ラベルを愛でながら、幸運や飛躍の年を願って、お正月や新年会にもぜひお楽しみくださいね。
(写真協力:中川ワイン)

東急フードショーおすすめ

リヴァース・マリー ピノ・ノワール ソノマ・コースト 2017
(750ml) 5,400円

生産者:リヴァース・マリー
生産地:カリフォルニア・ソノマコースト
葡萄品種:ピノ・ノワール100%
味わい:赤・ドライ・ミディアムボディ
輸入元:中川ワイン

カリフォルニアの太平洋沿岸、ピノ・ノワールの名産地として世界的にも注目を集めるソノマ・コースト。その豊かなテロワールにほれ込み自社畑を購入した天才醸造家トーマス・リヴァース・ブラウンが造る、オキシデンタル地区厳選の複数畑からのワイン。フレッシュな野いちごを凝縮させたような洗練された果実味、ミントのようなすっとしたハーブ香、伸びやかで美しい酸が感じられます。一本のボトルを二人で楽しんで飲み干せるほどのなめらかで優しい飲み心地も魅力。生ハムサラダなどのアペリティフ、鴨やローストビーフなどの肉料理の他、牛肉や穴子の八幡巻き、筑前煮、鴨の治部煮などのお正月料理とも楽しめます。

著者近影

伴 良美(ばん・よしみ)

ライター&ワインエキスパート。映画、食、旅を中心に執筆。ワインと食の情報誌「ヴィノテーク」、北海道新聞、岐阜新聞などの取材記者としても活躍。世界の銘醸地や映画の舞台を訪ねた連載コラムに、フジサンケイビジネスアイ「世界銘酒紀行」「名画の舞台」のほか「男と女 名画とお酒」「シネマの名言」などがある。