世界農業遺産 ソアーヴェ・クラッシコが誇る自然派生産者 コッフェレ・ソアーヴェ・クラッシコ・カステル・チェリーノ2016
ラベルが語るワイン物語
CDやDVDにジャケ買い、という言葉があるように、ワインもラベルが奇麗なものや、興味深いデザインのものには、つい手がのびてしまいます。実際にワインのラベルは、ワインの歴史やエピソードを伝えるものが多く、そこにはさまざまな情報や物語が隠れています。ラベルのささやきを聞きながらワインを飲めば、いっそう美味しく楽しく感じられることでしょう。
●世界農業遺産GIAHSとは
美しい景観に加え、そこで実際に伝統的技術を受け継ぎながら農業が行われていることが重要な要件となる。白ワインの銘醸地ソアーヴェは、イタリアでは初、世界では53番目の遺産としてFAO(国連食料農業機関)が認定。地域の特徴として、ペルゴラ・ヴェロネーゼという1m-1.5mの棚仕立て、乾燥した低い壁によって作られた保水システムと段々畑、葡萄を乾燥させるレチョート・ディ・ソアーヴェの技術、3000軒のブドウ栽培農家から成る共同組合組織、が高く評価され認定となった。
美しい田園風景と葡萄栽培の高い技術が 世界農業遺産認定に
写真 左：世界農業遺産認定の美しい葡萄畑
写真 右：ワイン産地の象徴であるソアーヴェ城
ワイン好きなら誰もが知るイタリア白ワインの銘醸地ソアーヴェ。このたびソアーヴェは、葡萄畑が織りなす美しい田園風景と、古代ローマ時代から脈々と受け継がれた葡萄栽培の歴史が高く評価され、国連食糧農業機関から「世界農業遺産GIAHS」に認定され、大きな注目を集めています
自然と共存しながら葡萄栽培を行うワイン生産者を応援する東急百貨店。今回はイタリア初の「世界農業遺産 GIAHS」認定で注目を集めるソアーヴェの、自然派生産者をご紹介しましょう。
歴史ある優良畑カステル・チェリーノ 周囲の森も保護し有機栽培に励む
写真：カステル・チェリーノの丘にテラス状に広がるコッフェレの畑
その名前はCOFFELEコッフェレ。ワインのラベル中央には金色の文字で「CASTEL CERINOカステル・チェリーノ」と記されています。紋章を配したワイナリーの扉を描いたラベルは、シンプルですが、自然派の生産者としての誇りと風格を感じるデザインです。
コッフェレはソアーヴェ・クラッシコの中でも、最も標高が高くクリュと呼ばれる優良畑“カステル・チェリーノ”に27haの土地とワイナリーを所有しています。筆者は昨年この畑を訪問しましたが、丘陵の頂部近くまでテラス状に葡萄畑が広がり、そこからポー平原を望む絶景がとても美しく見飽きることがありませんでした。同家では先祖から受け継いだ大切な葡萄畑を守るために、周囲にある森、オリーブ、チェリー畑も大切に保護し、生物多様性のある自然環境を培っています。
畑を整備しガルガーネガのクローン研究 馬での耕作と有機栽培に励む
写真：コッフェレの偉大な当主ジュゼッペ・コッフェレ(中央)と妻のジョヴァンナ、そして父の哲学を継ぐ娘のキアラさん。
さらに葡萄自体も、農薬や化学肥料を排したビオロジックの有機栽培を実践。畑では土中の微生物を活性化させるため、重機で土が固くなってしまうトラクターでの耕作を辞め、あえて馬で土を耕します。また堆肥もすべて天然の資源から自分たちで一から造り上げています。
ワイナリーの歴史は、1970年に大学教授だった現当主のジュゼッペ・コッフェレが、広大な葡萄畑の相続人であったジョヴァンナ・ヴィスコと結婚したことに始まります。ジュゼッペは葡萄栽培に傾倒し畑を改革。テラス状の畑をよりよく整備し、ワイナリーを創業しました。さらにソアーヴェの主要品種となるガルガーネガの葡萄の質の向上に注力。ヴェローナ大学と共同で研究を続けたのです。
やがて彼のワインの素晴らしさは高く評価され、ガルガーネガの父とも呼ばれるソアーヴェを代表する生産者に。辛口のソアーヴェは勿論のこと、葡萄を陰干しして糖度を高めて造る「レチョート・ディ・ソアーヴェ」は前ローマ法王の御用達ワインとなりました。
太陽と涼風の恩恵を受ける 兄妹が繋ぐ美しい畑
写真 左：次世代を継ぐ仲良し兄妹。
写真 右：生ハムや果物など夏のアペリティフにもよく合うソアーヴェ
現在は父ジュゼッペ氏を支え、大変仲よしの兄妹、アルベルトとキアラさんがワイナリーを盛り立てています。兄のアルベルトは優秀な栽培・醸造家として、陽気で明るいキアラさんは広報やマーケティングを担当しています。
「素晴らしい葡萄を生む畑は風が吹いていること、陽当たりがよく傾斜があることが重要なのです。我々のカステル・チェリーノの畑は南から南西向きで太陽の恩恵をしっかり受けます。また、標高300mの山頂までテラス状に続く畑は、水はけや風通しにも優れています。私たちはこの素晴らしい畑を誇りとし、未来永劫美しい自然を伝えていくようこれからも日々努力を重ねていきます。夏は生ハム、果物、魚介のお料理と一緒に、ぜひ私たちのソアーヴェをお楽しみくださいね」と兄妹で伝えてくれました。
東急フードショーおすすめ
ソアーヴェ・クラッシコ・カステル・チェリーノ 2016
(750ml) 2,052円
生産地：イタリア ソアーヴェ・クラッシコ カステル・チェリーノ地区
葡萄品種：ガルガーネガ100％
味わい：白・フレッシュでドライ
輸入元：nakato（ナカトウ）
イタリア初の世界農業遺産GIAHSに認定されたソアーヴェ・クラッシコ地域の中心に位置する優良畑「カステル・チェリーノ」。ここから生まれるソアーヴェの魂ともいえるフレッシュでドライな白ワイン。ガルガーネガの栽培に人生を捧げた当主ジュゼッペが造り出すソアーヴェは、この品種特有のアーモンドのような甘やかな香り、アカシアのような白い花の芳香、グレープフルーツやオレンジのような柑橘系のフレッシュな酸、気品があり旨みも感じる魅力ある味わいです。有機栽培の葡萄由来のナチュラルな風味が、夏の暑さも癒し、清涼感溢れるワイン。魚貝のパスタ、カポナータ、生ハム、ハーブサラダ、フレッシュチーズなど夏のアペリティフにもお勧めです。
■ 東急百貨店ネットショッピング「酒類販売管理者標識」■
・販売場の名称および所在地：東急百貨店第二別館 東京都渋谷区道玄坂2-24-1
・酒類販売管理者の氏名：高田 伸夫
・酒類販売管理研修受講年月日：平成30年1月12日
・次回研修の受講期限：平成33年1月11日
・研修実施団体：一般社団法人 日本ボランタリーチェーン協会
伴 良美（ばん・よしみ）
ライター＆ワインエキスパート。映画、食、旅を中心に執筆。ワインと食の情報誌「ヴィノテーク」、北海道新聞、岐阜新聞などの取材記者としても活躍。世界の銘醸地や映画の舞台を訪ねた連載コラムに、フジサンケイビジネスアイ「世界銘酒紀行」「名画の舞台」のほか「男と女 名画とお酒」「シネマの名言」などがある。