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Wine Columnワイン コラム

  • 伴良美のオススメ!

夏はタスマニア島のピノ・ノワールを楽しもう 大自然の恩恵を受け フレッシュで美しい果実感 デヴィルズ・コーナー ピノ・ノワール 2017

ラベルが語るワイン物語

CDやDVDにジャケ買い、という言葉があるように、ワインもラベルが奇麗なものや、興味深いデザインのものには、つい手がのびてしまいます。実際にワインのラベルは、ワインの歴史やエピソードを伝えるものが多く、そこにはさまざまな情報や物語が隠れています。ラベルのささやきを聞きながらワインを飲めば、いっそう美味しく楽しく感じられることでしょう。

オーストラリア最南端に位置するタスマニア島。ここは北海道をひとまわり小さくしたくらいの大きさで、その40%が国立公園。さらにユネスコ世界自然遺産にも認定されています。今月はダイナミックな自然の中で生まれるタスマニアのピノ・ノワールをご紹介。フルーティで赤いフレッシュな果実味が魅力の、夏におすすめの赤ワインです。

“悪魔の角”を意味する 個性的なワイン名とラベルデザイン

写真:氷河が削ったダイナミックな自然に溢れるタスマニア
実はタスマニア島は知る人ぞ知るワインの銘醸地。約250もの生産者がいて、そのほとんどは小規模ながらプレミアムワインに特化したブテイックワイナリーです。氷河期に氷河が削った独特の地形とダイナミックな自然も魅力。雄大な自然の中で葡萄栽培が行われ、リースリング、シャルドネ、ピノ・ノワール等が栽培されています。どの品種のワインも冷涼な気候由来の豊かで美しい酸が特徴です。

このデヴィルズ・コーナーのワイナリーも島の東部の豊かな自然の中にあり、現在タスマニアでは1、2を争うブランドワインを生産しています。とはいえ、デヴィルズ・コーナーは日本語に訳すと“悪魔の角”で、とても大胆なワイナリー名ですね。さらにワインのラベルも思わず目を奪われるほど個性的。3艘の舟が激流に襲われ今にも遭難しそうな光景が描かれ、ワインラベルとしては珍しくインパクトの強いデザインです。

畑近くの河川の難所 そこを超えると雄大な大地が

写真:テイマー川の河口に広がるワイナリーと畑。
でも、どうしてこのような名前がついたのでしょうか。それはワイナリーが所有する畑の近くには、川幅の広いテイマー川が流れていて、その川が直角に曲がる難所であったことに由来します。ここは水の流れが複雑にぶつかり合い、昔はよく船が遭難したためこのように呼ばれ、恐れられていました。

しかし、この難所を過ぎると川は肥沃で広大な大地に流れ出て、作物の収穫に恵みを与えます。ワイナリーでは葡萄栽培もワイン造りも大自然と向き合い、時に困難を乗り越えていくことで良質なものが生まれるもの、と考え、その想いをラベルに込めたともいわれます。

世界で一番澄んだ空気。ゆえにピュアで美しい果実感のワインが

写真:環境汚染が少ない清らかな空気と豊かな自然が魅力
緑豊かなタスマニアは、「環境汚染が少なく世界で一番空気が澄んでいる」と、国連のWMO(世界気象機関)で認められている地域。年間の最高気温は24℃前後、最低気温は3℃前後、夏はオーストラリアの中でも涼しく過ごしやすい気候に恵まれています。

そのためワインも濃すぎることなく、酸がフレッシュで果実味もピュア。赤も白ワインも清涼感があり繊細な味わいが特徴です。また、シャンパーニュと同じ葡萄品種、シャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエから生まれるスパークリングも有名です。

夏に楽しむ爽やかな赤ワイン 魚介類とも好相性

写真:地元シーフードレストランではタスマニアワインが楽しまれる
今回お勧めのこのピノ・ノワールも、酸がとっても若々しくフレッシュで、夏に赤ワインを楽しみたい時におすすめです。タスマニアはかきなどの新鮮な魚貝類が豊富なので、地元レストランでは軽く冷やして楽しみます。赤ワインだけど魚介にも合い、アサリやタコなどのトマトソースのパスタ、さらに、日本では穴子や鰻、カツオやマグロなどのお刺身やお鮨とも好相性。また、ラタトゥーユ、ラザニアなどのイタリアンともよく合います。

週末の食卓で楽しむにもふさわしいコストパフォーマンスの高さも魅力です。今年の夏はフレッシュなタスマニアのピノ・ノワールで夏の暑さを癒してみてはいかがですか。ブルゴ-ニュとはまた一味違う、タスマニアならではのフレッシュな果実感をご堪能くださいね。

東急フードショーおすすめ

デヴィルズ・コーナー ピノ・ノワール 2017
(750ml) 2,484円

生産地:オーストラリア タスマニア州
葡萄品種:ピノ・ノワール100%
味わい:赤・ミディムボディ・フレッシュでフルーティ

デヴィルズ・コーナーのワイナリーは世界的権威のある葡萄栽培学者のリチャード・スマート博士が調査を行い、タスマニアで最も温暖で雨量の少ない場所に葡萄を植栽。それによってワインの質を大きく向上させ、トップワイナリーとなりました。このピノ・ノワールは美しくピュアな果実感を活かした早飲みスタイル。ブラックチェリーやラズベリーのような魅力的な香り、シルキーなタンニンとフレッシュな酸味がバランスよく、ジューシーでフルーティな美味しさです。タスマニアの空気のように清らかで伸び伸びとした夏におすすめの赤ワインです。

著者近影

伴 良美(ばん・よしみ)

ライター&ワインエキスパート。映画、食、旅を中心に執筆。ワインと食の情報誌「ヴィノテーク」、北海道新聞、岐阜新聞などの取材記者としても活躍。世界の銘醸地や映画の舞台を訪ねた連載コラムに、フジサンケイビジネスアイ「世界銘酒紀行」「名画の舞台」のほか「男と女 名画とお酒」「シネマの名言」などがある。