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Wine Columnワイン コラム

  • 伴良美のオススメ!

バレンタインにおすすめ
春想う 満開の桜がラベルに
ファン・ヒル・クアトロ・メセス2019

ラベルが語るワイン物語

CDやDVDにジャケ買い、という言葉があるように、ワインもラベルが奇麗なものや、興味深いデザインのものには、つい手がのびてしまいます。実際にワインのラベルは、ワインの歴史やエピソードを伝えるものが多く、そこにはさまざまな情報や物語が隠れています。ラベルのささやきを聞きながらワインを飲めば、いっそう美味しく楽しく感じられることでしょう。

年明けは来る春を想いながら、満開の桜をラベルに描いたスペインのワインを楽しんでみましょう。新年の始まりを彩るワインとして、また、バレンタインやホワイトデーの贈り物にもふさわしい華やかなアロマが魅力です。東急百貨店のソムリエが選ぶ「おすすめ赤ワインランキング1位」にも選ばれ、新年一押しのワインとして売り場を彩っています。

セレッソの丘に咲く満開の桜をラベルに スペイン・モダンスタイルの第一人者

写真:セレッソの丘にあるブドウ畑では、春には美しい桜が満開となる。
ラベルに描かれているのは、華やかに咲き誇る満開の桜の木。風に舞う花吹雪もとてもきれいですね。桃色の優しいタッチで描かれた生産者の名前は「JUN GIL(ファン・ヒル)」。スペイン中央部のフミーリャにて、4世代に渡ってワイン造りに励んできた家族経営のワイナリー。近年では、モダンスタイルでワインを造る「モダンスペイン」のパイオニアとして世界に知られ高い評価を得ています。

では、なぜ桜の花がラベルに描かれているのでしょうか。このワインが生まれるブドウ畑は“CEREZO セレッソ”という丘にあります。セレッソとは日本語で桜という意味。オーナーのミゲル・ヒルさんは「その名の通り丘には何本もの桜の木があり、毎年美しい花を咲かせます。また、私の愛する妻の名もセレッソなのです。そうした縁から、私たちと同様に桜を愛する日本のみなさまのために、特別ラべルをデザインしてみました。どうか桜の美しさをワインとともに楽しんでくださいね」と語ります。

“天井の果て”と呼ばれる海抜900mの畑 豊かな太陽が育むリッチな果実感

写真:白い石灰岩が混ざる特異な土壌に、古木のモナストレルが栽培されている。天井の果てともいわれる独特の風景の中で葡萄は生育する。
このワインが生まれるフミーリャはオレンジの栽培でも有名なバレンシア地方の南に位置する歴史ある産地。その中でもファン・ヒルの畑は別名「テルミノ・デ・アルバ(天井の果て)」と呼ばれる、標高が特に高い900mに位置しています。ここでブドウは豊かに太陽を浴びますが、一方で標高の高さによって風は涼しく、それゆえにブドウは過熟にならず、美しい酸を保って成長。素晴らしくエレガントなワインを造りだします。

さらに、土壌は白い石灰岩がゴロゴロと転がる特異な土壌。この石灰岩がミネラル豊かなワインを生みます。そして、この土壌にぴったりのブドウ品種がモナストレルの黒ブドウなのです。

「土壌とそこに植えるブドウには相性があります。私は長い間、色々なブドウ品種を植えて実験を重ね、この土壌には、フミーリャの固有品種であるモナストレルが最適であると確信しました。私たちが長年育ててきたモナストレルは樹齢が高い古樹。それゆえ凝縮感のあるなめらかなテクスチャーのワインを生みます。また、私たちが誇る地元の品種でもあり、それを広く世界に知らしめたいという思いもありました」とヒルさんは語ります。

ワイン評価本ギアペニンにて94点を獲得 ベストコストパフォーマンス賞も受賞

写真:春には満開の桜が、秋にはたわわに実ったモナストレルのブドウが畑を彩る。
こうした努力と熱い想いが実り、2013年、ファン・ヒル クアトロ・メセスのこのワインは、スペインで最も権威あるワイン評価本ギア・ペニンにて、94ポイントもの高得点を獲得。

また、驚くほどのコストパフォーマンスの高さから、ベストコストパフォーマンス賞も受賞しています。ギアペニンは世界のワイン評論家やソムリエなどに大きな影響を与えることから、このワインは、ラベルの美しさと同時に味わいの高さでも世界に知れ渡ったのです。

アメリカンとフレンチオーク樽で4か月熟成 気品ある風味が魅力

写真:ワインにはローストビーフや冬の煮込み料理、さらにチョコレートもよく合う。
ワインは美しく完熟したチェリーやプラムのような果実感、なめらかでエレガントなテクスチャーを備えています。そしてクアトロ・メセス(4か月間)の名前のごとく、フレンチオークとアメリカンオークの樽で丁寧に4か月熟成。この樽熟成によって気品と風格を漂わせています。

お料理はトマトソースやデミグラスソースを用いた冬の煮込み料理によく合います。カツレツやとんかつ、ハンバーグやお好み焼きなどの家庭料理のほか、ローストビーフ、牛のステーキや赤ワイン煮などにもピッタリ。さらにビターなチョコレートとも好相性なので、バレンタインの贈り物にもおすすめです。リッチで豊かなアロマが魅力で華やかな気持ちにさせるファン・ヒル クアトロ・メセスのワイン。生産者の想いが花開いたかのような味わいを、新春にぜひ味わっていただきたいと思います。

渋谷 東急フードショーのおすすめ

ファン・ヒル クアトロ・メセス2019
(750ml) 1,870円

生産者:ファン・ヒル
生産地:スペイン DOフミーリャ
葡萄品種:モナストレル100%
タイプ:赤・辛口・フルボディ リッチでアロマが豊か

1916年にファン・ヒル・ヒメネスによって設立。4世代に渡ってワイン造りを続け、今ではモダンスタイルのスペインワインの先駆者として、モナストレルのブドウから世界に名だたるワインを生産しています。このワインは最高クラスのシルバーラベルのセカンドワイン。キュヴェ選別で格下げされたものですが、非常にポテンシャルが高く、シルバーラベルと同じ畑の秀逸な葡萄から生まれています。美しく熟したチェリーやプラム、黒系スパイスの香りをもち、完熟したなめらかなアタックが感じられます。きめ細やかなタンニンと気品あるオーク樽のニュアンスに彩られ、ファン・ヒル特有の濃厚な果実感が堪能できます。

著者近影

伴 良美(ばん・よしみ)

ライター&ワインエキスパート。映画、食、旅を中心に執筆。ワインと食の情報誌「ヴィノテーク」、北海道新聞、岐阜新聞などの取材記者としても活躍。世界の銘醸地や映画の舞台を訪ねた連載コラムに、フジサンケイビジネスアイ「世界銘酒紀行」「名画の舞台」のほか「男と女 名画とお酒」「シネマの名言」などがある。