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Wine Columnワイン コラム

  • 伴良美のオススメ!

伸びやかに育つ若枝をデザイン フレッシュ感あふれる極上のイタリアワイン ピエロパン・ソアーヴェ・クラッシコ2013

ラベルが語るワイン物語

CDやDVDにはジャケ買い、という言葉があるように、ワインもラベルが奇麗なものや、興味深いデザインのものには、つい手がのびてしまいます。実際にワインのラベルは、ワインの歴史や興味深いエピソードを伝えるものが多く、そこにはさまざまな情報や物語が隠れています。ラベルのささやきを聞きながらワインを飲めば、いっそう美味しく楽しく感じられることでしょう。

古代ローマから歴史ある生産地 ソアーヴェはイタリア語で「気持ちいい」

暑い夏には、果実味豊かでフレッシュなイタリアのワインを!今回はイタリアを代表する白ワイン「ソアーヴェ」の魅力と素晴らしい生産者、そして、その楽しみ方をご紹介しましょう。

ソアーヴェは、『ロミオとジュリエット』の舞台にもなったヴェローナの東30km、中世の教会や古城が残る、緑豊かな丘陵地帯で生まれる白ワイン。ローマ帝国時代から栽培されてきた、ガルガーネガという白葡萄品種から造られます。イタリア語で「気持ちいい!」の意味があるように、フレッシュな果実味と豊かな酸が魅力。その一方で長年、「歴史が長く知名度も高いが、味わいが淡白な大量生産型のワイン」とも見なされていました。

ワイン・ルネッサンスを興した極上の生産者ピエロパン

ところが1900年代に入り、ソアーヴェにワインのルネッサンスが興ります。有機農法、グリーンハーヴェスト、収量制限、など葡萄栽培の向上、ピュアな果実味を得るための圧搾法や醸造技術の向上、さらに、ピエロパン、アンセルミ、ベルターニ、ジーニ、カステッロ、マアジなど、高い意識と情熱ある生産者の登場により、イタリアで最高の白ワイン産地のひとつとなりました

中でも、ソアーヴェのリーダー的存在で最も尊敬を集める生産者がピエロパン。1890年、医者だったレオニルド・ピエロパンが創業したカンティーナです。ソアーヴェがまだ、味よりも知名度でしか評価されなかった時代に、ピエロパンではもっと先を見据えてソアーヴェの新時代を切り開いていきます。1960年代には、ソアーヴェ地方をくまなく調査して、日照、土壌、微気候など、特に恵まれた条件の畑を厳選して購入。その一つが、現在ピエロパンのトップキュヴェに使われ、樹齢40年の古木が残るラ・ロッカの畑です。

花のように芳しく 明確で清らかな果実味

さらにピエロパンでは「素晴らしいワインは、完全な葡萄から生まれる」を信念に、有機栽培、グリーンハーヴェスト、収量制限などを実践。またワインに深みやまろやかさを与えるために、収穫を2回に分けて遅摘みの葡萄を使うことも行いました。また、醸造学校を卒業した孫のレオニルドが醸造設備を刷新。健康な葡萄を徹底して選果すること、果汁の圧搾を軽くして究極の澄んだモストを得ることなどを実践し、丁寧で繊細なワイン醸造を追求しました。明確で清らかな果実味、ピュアでありながら深い味わい、花のような芳しいアロマを備える新しいソーヴェの誕生に、多くの消費者が感嘆し、同時に他の生産者もそれに追随していったのです。


完全な葡萄とチャレンジ精神 伸びやかに育つ若枝が象徴するワイン哲学

ピエロパンのワインは、味わいだけでなくラベルもたいへん優雅。そこには伸びやかに育つ葡萄の若芽と家紋が描かれ、1920年代からずっと同じデザインを続けています。また現在、ピエロパンでは3種類のソアーヴェ・クラッシコを造っていますが、どれにもこのラベルが使われています。

ラベルには「素晴らしいワインは、完全な葡萄から生まれる」という信念が。そして、「ソアーヴェの歴史と伝統を守りながらも、常に新しいことに挑戦し成長していきたい」という、ピエロパンの強い思いが込められています。

旬の和食によく合うソアーヴェの楽しみ方

ソアーヴェの清らかな果実味とフレッシュな酸は、同じく素材を生かした日本料理とよく合います。ソアーヴェワイン保護協会会長は「イタリアでは、魚介のカルパッチョやフリット、バジルやルッコラなどのハーブ、アスパラガスやズッキーニやトマトなど、新鮮な魚介や野菜と合わせることが多いソアーヴェ。同じく寿司や刺身、焼き魚、しょうがやわさび、野菜の煮物や天ぷら、など季節の新鮮な魚菜を盛り込んだ日本料理ともよく合います」と伝えています。

ソアーヴェは柑橘系の果実味と豊かなミネラルも特徴なので、刺身や天ぷらは、お醤油よりも、塩やレモンを軽く振っていただくとより美味しく楽しめます。夏の食彩である、鮎の塩焼き、アナゴの天ぷら、タコときゅうりの酢の物、鯛のお刺身、枝豆ごはん、などにもぴったりです。シソや茗荷など、夏の薬味ともよく合うので、ぜひお料理のアクセントに。

またソアーヴェには、ソアーヴェ・クラッシコ、ソアーヴェ・スペリオーレといった、特に優れた限定地域から生まれる、ワンランク上のワインもあります。これらは、まろやかなコクと深みを備え、焼き鳥や豚の味噌漬け、西京焼きなど、味わいのしっかりとした日本食ともよく合います。暑い夏はぜひともソアーヴェを和食と楽しみながら、爽やかな食卓を演出してみてはいかがでしょうか。

東急フードショーのおすすめ

ピエロパン・ソアーヴェ・クラッシコ2013
2,052円

生産者:ピエロパン
生産地:イタリアヴェネト州ソアーヴェ・クラッシコ地区
葡萄品種:ガルガーネガ85%、トレビッアーノ・ディ・ソアーヴェ15%
タイプ:白 ドライ ミィディアム・ボディ
輸入元:フードライナー

ソアーヴェで、最も尊敬される造り手として知られるピエロパン。高品質ソアーヴェの代名詞でもあるピエロパンをこの価格で楽しめることから、ワインガイド『ガンベロロッソ』では、毎年のように「コストパフォーマンスに優れているワイン」の評価が与えられています。ソアーヴェ城を望む、クラッシコ・エリアの斜面の一等地の葡萄から造られ、エレガントかつフレッシュ、明確で清らかな果実味、ピュアでありながら深い味わい、花のような芳しいアロマを備えています。魚介のカルパッチョ、グリルした魚や甲殻類、ジェノヴェーゼのパスタ、ピッツァ・マルガリータ、カプレーゼ、リゾットなどのイタリア料理とともに。さらに、生の岩牡蠣、鮎の塩焼き、穴子の白焼き、天ぷら、寿司、刺身、西京焼き、煮物などあらゆる日本料理との相性もよく、夏の食卓でぜひ楽しんでほしいワインです。

著者近影

伴 良美(ばん・よしみ)

ライター&ワインエキスパート。映画、食、旅を中心に執筆。ワインと食の情報誌「ヴィノテーク」、北海道新聞、岐阜新聞などの取材記者としても活躍。世界の銘醸地や映画の舞台を訪ねた連載コラムに、フジサンケイビジネスアイ「世界銘酒紀行」「名画の舞台」のほか「男と女 名画とお酒」「シネマの名言」などがある。