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Wine Columnワイン コラム

  • 伴良美のオススメ!

力強い生命の息吹 甲州葡萄100% スパークリング
ルミエール・ペティアン2012

ラベルが語るワイン物語

CDやDVDにはジャケ買い、という言葉があるように、ワインもラベルが奇麗なものや、興味深いデザインのものには、つい手がのびてしまいます。実際にワインのラベルは、ワインの歴史や興味深いエピソードを伝えるものが多く、そこにはさまざまな情報や物語が隠れています。ラベルのささやきを聞きながらワインを飲めば、いっそう美味しく楽しく感じられることでしょう。

皇室御用達ワインから更なる飛躍へ

まだまだ残暑が厳しい9月は、日本が誇る甲州葡萄100%の、爽やかな発泡酒ペティアンをご紹介しましょう。黄金色に輝く華やかなラベルには、緋色で『LUMIERE』の文字が気品高く描かれています。このラベルのごとくルミエールは、格式ある日本最古の歴史あるワイナリー。明治18年甲州にて900年続く武家の一族が創業しました。

大正7年には皇室御用達となり、さらに、前社長の塚本俊彦さんの時代に、ワインの質が飛躍的に向上します。塚本さんは大学院で経済学を修めましたが、家業を継ぐこととなり、東大の理化学研究所でワイン醸造学を一から学びました。やがて、彼が手がけたワインはヨーロッパをはじめとする世界各地のコンクールで数々の賞を受賞。日本ワインの素晴らしさを世界に知らしめた人物として、多くの人々から尊敬を集めてゆきます。

伝統と栄誉に甘んじない本物のワインへ

また2006年には、世界最古の国際ワインコンクールであるリュブリアナ国際ワインコンクールで、長年審査員を務めた功績を認められ、同コンクールの最優秀ワインに贈られる「ツカモト賞」が創設される栄誉に浴したのです。

しかしルミエールの素晴らしさは、こうした伝統と栄誉に甘んじることなく、更なる高みを目指していることです。「創業当時から私たちが一貫して持ち続けたのは、『本物のワインを造るには本物の葡萄を育てる』という信念です。これからも、山梨の自然を大切にしながら、更なる『新しい本物のワイン』造りに挑戦していきます」とルミエールは伝えます。

究極の自然農法ビィオディナミへの挑戦

その新たな挑戦とは2004年から『バイオダイナミクス(ビィオディナミ)』を導入したことです。究極の自然農法ともいわれるバイオダイナミクスは、オーストリアのルドルフ・シュタイナーが提唱した有機農業。農薬や化学肥料を一切使用しないだけでなく、バイオ(=命)、ダイナミクス(=エネルギー学)の語源のごとく、生命とはリズムであるという考えに基づいています。そのため、剪定や施肥や収穫などの農作業は、月や星座などの天体の動きに沿って行われ、宇宙と一体化しそのエネルギーを取り込むことで健康な葡萄を生み出していこうという考えです。

また、バイオダイナミクスは、天然の「調合剤」を葡萄樹に与えることも大きな特徴です。例えば、イラクサの葉や茎を土に埋めて腐葉土にしたもの、数種のハーブを煎じた液体、牛角に詰めた水晶の粉などで、それぞれの調合剤が惑星からのエネルギーを受けて作用し、農地がバランスのとれた有機体となることを目指しています。非常に哲学的とも言える有機農業ですが、ルミエールではあくまでも土地の個性を踏まえて柔軟に対応しながら、自然の力強い息吹を感じる葡萄造りのために導入しています。

力強い生命の息吹 ルミエール・ペティアンの誕生

他にも、さまざまな試みを行っているルミエール。ワインの熟成にマルゴーやイケムから譲り受けた樽を使う、ピュアな果実味を大切にするため果汁を重力で自然に移動させる、など自然や環境に優しいワイン造りに挑戦しています。

さらに2006年から始めたのが、スパークリングワインである『ルミエール・ペティアン』の醸造です。これは地元の、笛吹市南野呂区の最高品質の甲州葡萄100%で造る、爽やかな微発泡性ワイン。人工的にガスを注入せず、アルコール発酵中にビン詰を行い、自然に生じた天然の炭酸ガスを封じ込めています。非常に繊細でチュールレースのように柔らかな泡立ち、気品と風格の中にも、ビィオディナミの自然農法によって生まれた力強い生命の息吹を感じる美味しさです。

東急フードショーのおすすめ

ルミエール・ペティアン2012
(750mL)2,469円

生産者:株式会社ルミエール
生産地:山梨県笛吹市南野呂地区
葡萄品種:甲州100%
タイプ:白・辛口・微発泡

黄金のラベルに彩られたワインは、日本が誇る甲州葡萄100%で造る、優しい泡立ちのスパークリング。昔から甲州葡萄を栽培するのに恵まれた土地である、山梨県笛吹市南野呂地区の厳選された葡萄を使用しています。ワインを澱と1年間接触させることによって、きめ細やかな泡立ちをもたらします。ほどよい酸味、柔らかくしなやかな泡立ち、爽やかでありながら気品高い味わいが魅力。和食、洋食を問わず、料理にとても合わせやすく、中でも出汁や味噌を使った日本料理と好相性。夏はお刺身、鮎の塩焼き、ハモ、蕎麦や冷むぎ、焼きナス、などの季節料理ともよく合います。2011年、2012年ヴィンテージは、国際コンクールのデキャンターワールドワインアワードで銅賞を受賞しています。
(なお、微発泡のペティアンは、自然な泡立ちを楽しんでいただくために、瓶内発酵後の濾過を行っていません。そのため、ボトルの底に酒石などの沈殿物が残っている場合もありますが、これは葡萄果実に含まれている天然成分であり、酒質には全く関係なく安心してお飲みいただけます)

著者近影

伴 良美(ばん・よしみ)

ライター&ワインエキスパート。映画、食、旅を中心に執筆。ワインと食の情報誌「ヴィノテーク」、北海道新聞、岐阜新聞などの取材記者としても活躍。世界の銘醸地や映画の舞台を訪ねた連載コラムに、フジサンケイビジネスアイ「世界銘酒紀行」「名画の舞台」のほか「男と女 名画とお酒」「シネマの名言」などがある。