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Wine Columnワイン コラム

  • 伴良美のオススメ!

メルロの芳醇な旨みとエレガンス
シャトー・ローラン・ラ・ギャルド・トラディション2010

ラベルが語るワイン物語

CDやDVDにはジャケ買い、という言葉があるように、ワインもラベルが奇麗なものや、興味深いデザインのものには、つい手がのびてしまいます。実際にワインのラベルは、ワインの歴史や興味深いエピソードを伝えるものが多く、そこにはさまざまな情報や物語が隠れています。ラベルのささやきを聞きながらワインを飲めば、いっそう美味しく楽しく感じられることでしょう。

コストパフォーマンス抜群のボルドーワイン

神に約束された地ともいわれ、素晴らしいテロワールに恵まれたフランスのボルドー地方。ボルドーワインといえば、シャトー・マルゴーやシャトー・ラ・トゥールなど、非常に高価なグランヴァンを思い浮かべる人も多いことでしょう。しかし、ボルドーには1,000円から3,000円代の手頃な価格帯ながら、素晴らしい味わいのワインも数多く生産されています。今回は、毎日の食卓でも気軽に楽しめ、なおかつワイン通をもうならせるバリューなボルドーワインとその楽しみ方をご紹介しましょう。

古い伝統と特異なテロワール 自然農法の葡萄が生む果実の凝縮感

東急百貨店フードショーでは、手軽な価格でも素晴らしい味わいを誇るボルドーワインを数多く販売しています。そのひとつが「シャトー・ローラン・ラ・ギャルド・トラディション」(2,050円)。ラベルには、ワイナリーと葡萄畑の素晴らしいテロワールを伝える風景が、緻密なタッチで描かれています。ローラン・ラ・ガルドの畑があるのは、ジロンド河をはさんでサンジュリアンの対岸にある、ブライ地区の銘醸地サン・スーラン・ド・キュルサック。ラベルに描かれた絵からもわかるようにこのシャトーの畑は、周囲に比べ、小高い丘の斜面に広がることから、日当たりと水はけがよく、また、風車があるように、ジロンド河から吹き抜ける風の恩恵を受けて素晴らしい葡萄が生まれています。

シャトーの歴史が始まったのは778年のこと。当時はカール大帝がボルドーで広くワイン造りを推奨しており、テロワールに恵まれたブライ地区にローラン・ラ・ギャルドのシャトーが建てられました。シャトー名には、カール大帝に仕え英雄とも謳われた軍人の名前が付けられ、以来1200年もの長い歴史を誇ります。

現在、栽培と醸造を担当するのは、ボルドーで注目の造り手ブルーノ・マルタンさん。父の代からの自然農法を受け継ぎ、化学肥料、農薬、除草剤を排したビオディナミの葡萄栽培を導入しています。ピュアで健康な葡萄がもたらす、力強い果実の凝縮感、香木やハーヴなどの大地の香り、きめ細やかなタンニン、シルキーな舌触りの飲み口は優しくも深みがあり、ブライ地区でも屈指のワインとして高い評価を得ています。

高貴な出自ながらカジュアルに楽しむ「バリューボルドー」に注目!

このような、コストパフォーマンスに優れた素晴らしいワインを多くの人に知ってもらいたいと、ボルドーワイン委員会では毎年「バリューボルドー」のキャンペーンを展開しています。このキャンペーンは、日本に輸入されている小売価格1,000円~3,500円までのボルドーワインの中から約500本がエントリーされ、それらを、コンクールで優勝経験のあるソムリエやワインスクールの講師、ワインジャーナリストなどが、ブラインド試飲で10段階評価を行い、上位100本を選出するもの。選ばれたワインは「ボルドーワイン委員会の公式サイト日本語版」http://www.bordeaux.com/jpで発表され、パンフレットをダウンロードすることもできます。

世界で最も歴史あるワインから、家族や友人との楽しい夕べにぴったりなワインまで、バラエティ豊かなバリューボルドーが揃い、シーンや価格帯、葡萄品種や味わい、さらにお料理に合わせて、自分好みのワインを楽しく選ぶことができます。またサイトにはボルドーの葡萄畑やヴィンテージの特徴、生産者からのレポート、楽しい旅行案内など、魅力的な情報が満載です。

ボルドーワインで極めるマリアージュ 和の食材で彩る優雅なフレンチと

さまざまな土壌や微気候が存在するボルドーでは赤ワインだけでなく、スパークリング、ロゼ、白、甘口といった多彩なスタイルのワインが生まれています。そのため、ボルドーワイン委員会ではワインと料理との楽しみ方も広く伝える活動も行っています。今年秋には「ボルドーワインで極めるマリアージュの真髄」と題し、秋刀魚、椎茸、茄子、ハタ、ほうれん草など、日本の秋冬の味覚を豊かに盛り込んだRestaurant Ryuzuの素晴らしいフレンチとのマリアージュを、ソムリエの石田博さんのナヴィゲートで紹介しました。

例えば「新潟産八色椎茸のタルト仕立てラルドの薄いベール」のお料理は、玉ねぎやエシャロットやガーリックをみじん切りにしてバターで炒めたデュクセルを、スライスした滋味あふれる椎茸の下に敷き詰め、タルト仕立てにしたもの。ミネラル豊かで果実の凝縮感に溢れる、メルロ主体のシャトー・ド・フランの赤ワインと非常によくマッチしていました。「秋刀魚と茄子のアンサンブルタップナード添え」は、ポワレした秋刀魚とナスに貝割れを散らし、黒オリーブ、アンチョビ、ガーリック、オリーブオイル、香草、などをミックスしたタップナードソースを添えた料理。ボルドーを代表する白葡萄ミュスカデ100%の、シャトー・ラフォン・フルカの芳醇な白ワインとよく溶け合っていました。


季節の家庭料理やデザートとも好相性 パーティではフルコースで楽しんで

大西洋に面し海の幸にも恵まれたボルドーでは、白、ロゼ、スパークリングはもちろん、赤ワインも魚介類によく合います。これからの季節は、牡蠣やホタテやカニなどを、グリル、カルパッチョ、グラタン、シチューなどで楽しんでみてはいかがでしょうか。また、ボルドーの赤ワインには、樽熟成由来の上品な木の香り、凝縮した果実感、青いハーヴや森の下草などの芳香が感じられるので、たとえば肉料理にほうれん草やハーヴなどの青い野菜、キノコ、ゴボウや蓮根などの根菜を少し添えるだけでも、ワインとの相性がぐっと良くなります。また、ボルドーは甘口の白ワイン産地としても定評があり、デザートやチーズにピッタリ。

ボルドーワイン委員会のマーケティング・ディレクターのフランソワ・ジュモさんは「価格も手頃で、美しい果実の酸が生きバランスに優れたバリューボルドー。お正月やクリスマスのパーティシーズンには、さまざまな料理に合わせて、スパークリング、白、ロゼ、赤、甘口と、是非フルコースで楽しんでみてくださいね」と提案しています。

東急フードショーのおすすめ

シャトー・ローラン・ラ・ギャルド・トラディション2010
(750ml)2,050円

生産地:フランスボルドー地方 ブライ・コート・ド・ボルドーAC
葡萄品種:メルロ85%、カベルネ・ソーヴィニヨン15%
味わい:辛口赤ミディアム・ボディ

ボルドーのブライ地区の中でも銘醸地といわれる、サン・スーラン・ド・キュルサックにあるシャトー・ローラン・ラ・ギャルド。なだらかな傾斜が続くブライの土地の中でも、小高い丘の上にある約29haの一枚畑をもち、日当たりと水はけのよさ、ジロンド河からの涼風など、恵まれたテロワールによって素晴らしい葡萄が生み出されます。父の代からの自然農法を受け継いだヴィニュロン、ブルーノ・マルタン氏が、化学肥料や農薬を排したビオディナミを実践。葡萄の美しい酸を生かすために、低温でマセラシオンを行い、天然酵母で発酵、ピュアな果実味を表現するためにソフトプレスを行い、バリックとスチールタンクの両方で熟成しています。健全で力強い果実の凝縮感、フランボワーズやベリーなどの果実に、ヴァニラやスパイスの芳香が絡み合って気品あるアロマを演出。円やかなタンニンとシルキーで優しい飲み心地ながら、深みと芳醇さも備えたブライでも指折りのワインです。

著者近影

伴 良美(ばん・よしみ)

ライター&ワインエキスパート。映画、食、旅を中心に執筆。ワインと食の情報誌「ヴィノテーク」、北海道新聞、岐阜新聞などの取材記者としても活躍。世界の銘醸地や映画の舞台を訪ねた連載コラムに、フジサンケイビジネスアイ「世界銘酒紀行」「名画の舞台」のほか「男と女 名画とお酒」「シネマの名言」などがある。